ボルト・ナットの「杉浦製作所」の展示に「チェス」!? 【東京モーターショー2017】
10月25日(一般公開は28日)〜11月5日まで行われる「東京モーターショー2017」。西展示棟4階で出展する「杉浦製作所」のブースに、ボルト・ナットで作られた「チェス」が展示されています。
クルマに使うボルトやナットを製造
愛知県にある「杉浦製作所」は、クルマに使用するナットやボルトなどの機能部品・締結部品を製造する金属ファスナーの専門メーカー。独自のノウハウで設計から金型加工、鍛造、加工や表面処理、品質検査まで自社で一貫して行っています。
ブース前の一角に驚き!
「SSC」と大きなロゴが掲げられた杉浦製作所のブース。その顔となる通路に面する部分に突如、チェスが展示されています。よくよくその駒を眺めてみるとなんとそれはボルトやナットの金属部品で作られているではありませんか! 駒を手に持ってみるとしっかり重量感があり、実際にゲームを行う駒というよりは、むしろアート的な要素が大きいかもしれません。「そもそもスクラップ業者に下ろす廃却品を活用して何かできないかな、と思いまして。キズがちょっと付いてしまっても製品としてクルマに使用することはできませんから」とグローバル営業部の吉田裕司さん。なんでも2014年、廃却品となってしまったボルトやナットをプラモデルのように組み合わせてみたら、チェスの駒のような形が生まれたそうです。アーティステックなリユースアイテムですね。
- 杉浦製作所 グローバル営業部の吉田裕司さん
- チェスの傍らに、駒の一覧が写真付きで紹介されていた
解説! どんなナットやボルトが使われている?
それでは駒の解説です。どの駒も複数の部品を組み合わせて作られています。
まず「キング」を構成するのは、下からトラック用の「ホイールナット」、中心となる軸にエンジン用のボルトである「スタッドボルト」、その上に「スクエアナット」、「六角ナット」、一番上にはナックル部分を留める「キャッスルナット」でできています。
次に「ナイト」。下からマフラーに使うO2センサーの「センサーボス」、その上にボルトとナットで留めるとき、長さが足りない場合に補う部品の「カラー」、狭い箇所などで通常の工具が入らない部分で活用される「プレートナット」を上下に2つ、しかも上のプレートナットのプレート部分はちょっとだけ曲げているそうです。最後、頭の部分にフランジナットにキャップを溶接した「キャップナット」。塗装が入らないようにカバーするための部品だそうです。
最後に「ポーン」。これは白と黒でちょっと違います。まず白い駒は「ホイールナット」の上に、六角ナットの下部につばがついた「フランジナット」で構成されています。一方、黒い駒はフランジナットではなく、樹脂部分に圧入するための部品「インサートナット」で作られています。
チェス駒を眺めながら部品を学べる
「クルマ1台でおよそ3万点の部品が使われていて、そのうちのファスナー(ボルトやナット)は約1割の3000点。ナットはおよそ600点使われています」(吉田さん)。一つひとつの部品の名前や、どこに使われているものなのか。チェス駒が展示されていることでとても興味深く見ることができました。東京モーターショーで未来的で華やかなクルマに触れた後、そのクルマを作る小さな部品にもぜひ触れてみてください。
(写真・文:別役ちひろ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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