積載車は名刺代わり! 「アクティブガレージ」ローダーへのこだわり

環七通り沿いに店舗を構える「アクティブガレージ」は、スーパーカーをはじめとしたクルマファンを多数抱える、ディテイリングショップ(洗車や室内清掃、コーティングなど行うお店)です。代表の阿部雄一さんと初めてお会いした時に盛り上がったのがローダートーク、つまり積載車の話でした。

「積載車はいわば名刺代わりだ」と話していた阿部さんから、改めて積載車(ローダー)へのこだわりを伺うために、お店へお邪魔しました。

「単に愛車を輝かしく仕上げるばかりでなく、新車の輝きをいつまでも!」そんな願いを込めてコーティングやプロテクションフィルム、さらに、個性的なラッピングを施工して世界に1台だけの愛車を作り上げるのが「ディテイリング」です。阿部さんは、そんなディテイリングは「施工して終わり」ではないのだとか。

ディーラーからの依頼も多いという
ディーラーからの依頼も多いという
車両の固定方法によってはアライメントが狂うことがあるため、タイヤで留める方法を指定してくる顧客も。そういうニーズにもしっかり応える。積載車は細かいこだわりを表現する場でもあるのだ
車両の固定方法によってはアライメントが狂うことがあるため、タイヤで留める方法を指定してくる顧客も。そういうニーズにもしっかり応える。積載車は細かいこだわりを表現する場でもあるのだ

「私たちはこだわりを持って、1台1台心を込めてコーディングなどの作業をしています。例えば、同じコーティング材を施工する際にも最善の仕上がりを目指して妥協をせず、温度や湿度、そしてそれぞれで定着するまでの時間などもタイマーでしっかりと管理して施工するなど、工夫しています。少しでもいい状態を見ていただきたい、大切なおクルマを任せてくださるんですから、最上の仕上がりで応えしたいと思うのです。自分としてはやりたいことをしているだけなのですが、だからこそ少しでもこだわる。これはお客様への感謝の表れですね」(阿部さん、以下同)

有名自動車ディーラーからの依頼も多数こなしている阿部さん。お客様の中には、新車を購入する際、納車のタイミングで依頼に訪れるご常連の方も少なくないのだとか。そんな時に軽やかなフットワークで引き取りへ向かい、そして施工が終わった後の納車にも活躍するのが、アクティブガレージの積載車です。

タイヤでの固定が無段階にできるように二列に細かく固定用の穴が設けられている
タイヤでの固定が無段階にできるように二列に細かく固定用の穴が設けられている

アクティブガレージの積載車は、いすゞエルフに、筆者の“マイ積載車” (http://gazoo.com/article/daily/170503.html)と同じ極東開発工業製の荷台「フラトップZeroⅡ」を架装したもの。なんと普段、こんなに大きいクルマを屋根付きの倉庫で保管をしているというのです。

後方視界が良好なのも「フラトップZeroⅡ」の魅力。ウィンチはまだ使ったことがないそうだ。挟まれているゴムマットは、車高が低いクルマの上げ底用。荷台への乗り上げや、クルマ止めに寄せてタイヤで挟み込んで使用する
後方視界が良好なのも「フラトップZeroⅡ」の魅力。ウィンチはまだ使ったことがないそうだ。挟まれているゴムマットは、車高が低いクルマの上げ底用。荷台への乗り上げや、クルマ止めに寄せてタイヤで挟み込んで使用する

「とかく運搬というと、バックヤードというか、あくまで“手段のひとつ”というとらえ方で使われるクルマが多いと思います。しかし先ほどお話しした通り、大切なクルマを引き取りにお邪魔する、仕上がったクルマをお届けに上がるのがこのクルマなわけです。そう考えると、初めてお目にかかる場面、そして、きれいに仕上がった愛車が戻ってくるときに、積載車がきれいであるということはとても大切だと思うのです。裏方どころか、私たちの顔、名刺代わり。そういってもいいでしょう」

鳥居のサイドにはエンボスで「アクティブガレージ」の文字が。メッキパーツなどでの装飾はギラつかせずあくまでも乗用車的なセンスで。見る者に「もう少しこうしたらいいのに」と思うくらいのレベルを目指しているのだとか
鳥居のサイドにはエンボスで「アクティブガレージ」の文字が。メッキパーツなどでの装飾はギラつかせずあくまでも乗用車的なセンスで。見る者に「もう少しこうしたらいいのに」と思うくらいのレベルを目指しているのだとか

お話を聞いていると、ちょうど引き取りに行っていたという積載車が戻ってきました。日没の早いこの時期。すっかりあたりは暗くなってきましたが、そんな中でもさん然と輝いています。ピカピカの積載車はすでに3年目。こちらでは4~5年で買い替えているというので、もうその時期もそう遠くないのかもしれませんが、昨日納車されたばかりと言われても全く不思議ではない輝きを保っています。

取材中、タイミングよく引き取りから戻ってきたアクティブガレージの積載車。窓の反射で伝わりにくいのが残念だが、とにかくきれいなのだ
取材中、タイミングよく引き取りから戻ってきたアクティブガレージの積載車。窓の反射で伝わりにくいのが残念だが、とにかくきれいなのだ

これはアクティブガレージが、積載車にも人気の「プロテクションフィルム」を施工しているから。プロテクションフィルムは海外ではかなりメジャーで、大切なクルマの塗装を、飛び石や砂ぼこりから守るためのフィルムです。トラックに施工するのは、まだまだ稀とのこと。

「仕事道具として自分のトラック、愛機を少しでも大切にするという方も少なくないので、これから増えていくかもしれません。高級なXPEL社のフィルムをカットして前面に貼っています。投影面積が大きいトラックは飛び石など案外受けるものです。そして乗用車よりも塗装面が薄いため、ちょっとした傷がサビの原因になることも少なくありません。比較的近くに国道6号線や4号線など結構ダンプなどがたくさん走っていることもあり、効果は大きいと思います。乗用車よりは使用するフィルムは大きいですが、平面が多い分、施工時間は短いので乗用車と同等か、もしかすると少し安価にできるかもしれません」

積載車へのこだわりを話し出すと、ディテイリングに勝るとも劣らず。阿部さんのトークは止まりません。

XPEL社のプロテクションフィルムを張ったキャビン。よく見ると境目がわかる。フィルムの張られている部分は触り心地も違い、指紋や手垢などもつかない滑らかさ。当然汚れもつきにくい
XPEL社のプロテクションフィルムを張ったキャビン。よく見ると境目がわかる。フィルムの張られている部分は触り心地も違い、指紋や手垢などもつかない滑らかさ。当然汚れもつきにくい

「スタッフにもいつも言っているのですが、トラックに乗っている時こそ、いつも以上に穏やかな運転を心がけるようにしています。結構子どもたちから注目されますので、トラックは怖いもの、と思われることはあってはいけません。あまり通学路は通らないように、できるだけ走りなれた大きな道を通るように……そんなことに気を付けて乗っています。僕もそうでしたが、子どもたちは働くクルマが好き。じっと見ていたりする子がいれば、たまに荷台に乗せてあげたりしているんです。もしかしたら、積載車は名刺であるとともにコミュニケーションツールともいえるかもしれませんね」

「積載車の保管こそ屋内で」これがアクティブガレージ流
「積載車の保管こそ屋内で」これがアクティブガレージ流
ちなみにエルフが保管されているのはコーティングやフィルムの施工をするファクトリーの一角だ
ちなみにエルフが保管されているのはコーティングやフィルムの施工をするファクトリーの一角だ
取材したときにはフェラーリとポルシェが施工途中だった
取材したときにはフェラーリとポルシェが施工途中だった

最後に阿部さんは力強く言います。

「家と積載車は3度買い替えないと納得したものは手に入らないと感じています。今回は荷台のサイドをできるだけ薄くしました。そうすると運んでいるクルマを一層かっこよく見せることができるので。だいぶ納得いくものができたとは思います。でも次はリアの踏み板が電動で開閉するものにしたいですね」

自動車関連ビジネスでもエンドユーザーに近いアクティブガレージには様々な商品や技術も多数集まる。塗布タイプの静電気防止剤2ウェイコートは早くもレースシーンから全くクルマに関係のない分野まで早くも世界中から注目を集める
自動車関連ビジネスでもエンドユーザーに近いアクティブガレージには様々な商品や技術も多数集まる。塗布タイプの静電気防止剤2ウェイコートは早くもレースシーンから全くクルマに関係のない分野まで早くも世界中から注目を集める

クルマを一層輝かしく魅せるディテイリングへのこだわり同様、積載車へのこだわりにも、明確な意思と動機がしっかりとある阿部さん。勉強になると同時に、お話を伺っているだけで前向きな気持ちになれるひと時となりました。

(取材・文:中込健太郎 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]