未来のクルマは、空を飛ぶだけでなく自動操縦になる!?

“クルマの未来”を考えると、必ずといっていいほど想像されたのが“空を飛ぶクルマ”です。多くのSF作品に登場するだけでなく、実際にクルマに翼をつけたものが作られたこともあります。しかし、“空を飛ぶクルマ”は、やはり、どこか夢物語として語られるのが普通でした。ところが最近になって、ちょっと雰囲気が変わってきたようですよ。

ベンチャーから大手飛行機メーカーまでが開発に

昨年の秋、UAEのドバイで「空飛ぶタクシー」の試験飛行が行われて話題となりました。これはドイツのボロコプター社が開発したドローン(無人機)で、18の小さなプロペラを使って飛ぶもの。自動操縦ですが、2人の乗客を載せることができます。エンジンではなく、バッテリーとモーターを使っているため30分ほどしか飛行時間はありません。この大型ドローンを「空飛ぶタクシー」として使おうというのが狙いというから驚きます。まだ、地上を走るクルマでさえ自動運転のタクシーが実現していないのに、空を飛ぶドローンで自動タクシーを実現しようというのです。

そして、2018年1月にアメリカのラスベガスで開催されたCESショーにも、ボロコプターが登場しました。今度は、インテルの基調講演の中、屋内ホールのステージでデモ飛行を披露したのです。夢物語ではなく、リアルに大型ドローンが飛ぶ迫力は、ものすごいものがありました。

▲2018年1月に開催されたCESショーのインテルの基調講演にて披露されたボロコプターの飛行デモ。
▲2018年1月に開催されたCESショーのインテルの基調講演にて披露されたボロコプターの飛行デモ。
▲2人乗りの自動操縦のボロコプター。電動で飛行する。
▲2人乗りの自動操縦のボロコプター。電動で飛行する。
▲ボロコプターの室内。操縦するためのスティックやハンドルは存在しない。
▲ボロコプターの室内。操縦するためのスティックやハンドルは存在しない。

エアバス社とアウディ、イタルデザインによるコラボレーション

また、3月にスイスで開催されたジュネーブ・モーターショーにおいては、アウディとイタルデザイン、エアバスの3社によるコンセプトモデル「Pop.Up Next」が出品されました。これは空と陸の両方を飛行/走行する自動運転の電動車両です。2人乗りのキャビンを真ん中に、上部にプロペラを備えた飛行モジュール、下に陸上を走る車両モジュールという3分割されたパーツからなります。空を飛ぶときはキャビン+飛行モジュール、陸ではキャビン+車両モジュールで飛行/走行をこなします。もちろん操縦は自動。ちなみにエアバス社は、自社でも自動飛行の試作機を作っていますから、このアウディなどとのコラボレーションも夢物語に終わらないものを感じさせます。

▲2018年3月のジュネーブショーにて発表されたコンセプトモデル「Pop.Up Next」。
▲2018年3月のジュネーブショーにて発表されたコンセプトモデル「Pop.Up Next」。

このほかにも、ライドシェアの大手であるウーバーも「空飛ぶタクシー」の開発には積極的です。さらに日本にもCARTIVATORという団体が研究を進めています。また、ジュネーブ・モーターショーには、自動運転ではない普通の「空飛ぶクルマ」の量産モデル「PAL-V Liberty」が出品されていました。

クルマの未来の形として想像されていた“空を飛ぶクルマ”が、昨今の自動運転技術とドローン技術、電動化技術の発展を背景に、ただ空を飛ぶだけでなく、「自動」+「電動化」もプラスしてきたのが最近のトレンドのようです。しかも、夢物語ではなく、リアルな目標として、世界各地で熱心に開発が行われています。街を走る自動運転タクシーと空飛ぶ自動のタクシーが同時に見られる世の中が、もしかすると近くまで来ているのかもしれませんね。

▲ジュネーブ・モーターショーに出品された空飛ぶ自動車の量産モデル「PAL-V Liberty」。
▲ジュネーブ・モーターショーに出品された空飛ぶ自動車の量産モデル「PAL-V Liberty」。

(写真・文:鈴木ケンイチ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

関連リンク

関連記事

  • 道路インフラの将来-東京オリンピック・パラリンピックから100年後の未来まで
    道路インフラの将来-東京オリンピック・パラリンピックから100年後の未来まで
  • 電気に水素…これからの自動車は何で走るのか-世界のクルマのエネルギー事情
    電気に水素…これからの自動車は何で走るのか-世界のクルマのエネルギー事情
  • クルマの進化の方向性-自動車が抱える課題と、その解決策とは
    クルマの進化の方向性-自動車が抱える課題と、その解決策とは