タイヤの直径4m! 最新技術が詰め込まれている「重ダンプトラック」の秘密
採掘場や規模の大きい工事現場などで働き、家ほどの大きさがある「重ダンプ」。現在、30~40代の方なら、昔テレビ番組で流れていた「はたらくくるま」という歌の映像で見たことがあるかもしれません。
この巨大なダンプカー、どうやって現場まで運ばれてどんな働きをしているのか、気になったことはありませんか? 石川県小松市にある建設機械や産業機械などを展示する体験型施設、「こまつの杜」の担当者さんにお話を聞きました。
大きいものだと重量は通常のダンプの20台分!
重ダンプとは、最大積載量11トンを超えるダンプトラックのこと。つまり、この積載量を超える車両はすべて重ダンプと呼ばれます。用途は、主に大型の採石場や工事現場での土砂や鉱物の輸送。
「こまつの杜」に展示されている、「930E」という小松製作所製の重ダンプは、ボディサイズが全長:15.6m、全幅:9.6m、全高:7.3m。車体重量は、一般的なダンプの約20台分となる202トン! 積載量は297トンもあります。全幅が、中型バスの全長ほどもある巨体のため、もちろん公道は走れません。また、この大きさの重ダンプになると、日本で使われることはあまりなく、海外での活躍がメインとなるそうです。
巨体を支えるタイヤやエンジンも特別製
重ダンプトラックはその巨体を支えるために、足回りも巨大です。
「930Eは、タイヤだけで4m近くあり、重さはタイヤ・ホイールひと組あたり4.8トン。タイヤ一本で、およそ80トンの重量を支えます」(こまつの杜担当者)
4mと言えば、ヴィッツの全長と同じぐらい。スケールが大きすぎて想像がつきませんが、930Eは、この大きさでありながら、最高速度は64.5km/hにもなるそう。この速度を出すため、エンジンは3,500馬力というハイパワーです。
また、駆動方式も普通に公道を走るクルマにはないもので、「電気駆動式」という方法がとられています。これは、ディーゼルエンジンで発電機を回し、その電気でホイール内に設置された電気モーターを駆動して走るもの。“インホイールモーターのシリーズハイブリッド”というわけです。
コマツは、この電気駆動式の重ダンプ技術で世界的に有名だそう。なお、現在コマツの最新型重ダンプである「980E」は、930Eよりさらに大きく、最大積載量は362.9トンにもなります。
巨大な重ダンプトラックは部品ごとに輸送して現地で組み立てる
その大きさをイメージするとこんな疑問が沸いてきませんか? 「どうやって輸送しているのか?」です。
「この大きさの重ダンプになると当然、公道は走れません。930Eは主に海外の現場で活躍していますが、パーツごとに船積みして、現場で組み立てるという方法をとっています」(こまつの杜担当者)
930Eクラスの場合は、部品ごとの輸送という手段を取りますが、前記したように重ダンプの大きさにはかなりの幅があります。比較的積載量の小さい、トレーラーに乗る程度の重ダンプに関しては、そのままトレーラーで輸送することもあるようです。
現場ではGPSなどを駆使してなんと無人運転も可能
さらに、コマツの重ダンプの場合は、現場で人が運転しなくても動かせるのだそう。これを「無人ダンプトラック運行システム」と言います。
「GPSと障害物検知センサー、各種コントローラー、無線ネットワークシステムなどを搭載したダンプトラックを、中央管制室で運行を管理しています。GPSで常に周囲の車の位置を確認しているので、ぶつかる心配はありません」(こまつの杜担当者)
こういったシステムは、一般車両の往来がない工事現場専用の車両ならではと言えますよね。無人運転化には、運転手の疲労によるヒューマンエラーの防止、最適なスピードで安定した運行をすることによる排気ガス軽減などを目的としているそうです。国内にはこういった重ダンプが何台も活躍している現場がないので、無人で動いている車両を見ることができないのはちょっと残念。しかし、世界で日本のハイテク重ダンプが活躍しているのは、うれしいですね。
▼こまつの杜
住所:石川県小松市こまつの杜1
TEL:0761-24-2154
URL:http://www.komatsunomori.jp/
(取材・文:写真:斎藤雅道 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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