2018年にデビュー35周年を迎える国産車たち(前編)

今まで多くの周年車を紹介してきた本企画ですが、今回は今から35年前の1983年に登場した車種を振り返ります。1983年と言えば、テレビでは連続テレビ小説「おしん」が大ヒットし、4月には「東京ディズニーランド」が開園、7月には任天堂から「ファミリーコンピュータ」が発売された年でもありました。さて、一方の自動車はどんなモデルが登場したのでしょうか?

ホンダ・バラードスポーツCR-X

ライトウェイトスポーツのとしても名高いCR-Xの初代モデルのデビューは1983年7月のこと。正式名称は「バラード・スポーツCR-X」であり、バラードのスポーツモデルという位置づけでした。なお、バラードとは1980年に登場したシビックセダンの兄弟車で、CR-Xは83年9月に登場した2代目バラードがベースとなっており、セダンに先駆けてのデビューとなっています。

そのため、広い意味ではシビックシリーズの1車種ということになりますが、シビックで最もスポーティだった3ドアハッチバックモデルに比べてもホイールベースが180mmも短い2200mmとなっており、車両重量も軽いグレードでは700kg台と、前輪駆動モデルながらライトウェイトスポーツの要素が詰め込まれた車両に仕上がっています。

さらに84年11月には久しぶりに復活したホンダのツインカムエンジン、ZC型(1.6リッター)を搭載した「Si」グレードが追加。ライトウェイトスポーツの地位をより不動のものとしています。87年には2代目へとフルモデルチェンジを果たしますが、キープコンセプトのまま89年にはよりパワフルなVTECエンジンを搭載するなど、モータースポーツでも人気の車種となっていました。

しかし、92年のフルモデルチェンジで3代目になったタイミングで「CR-Xデルソル」へと名前を変更。脱着式ルーフを持ったコンパクトオープンへと方向転換を果たし新たな魅力を創造しましたが、従来のスポーティさを求めるユーザーには受け入れられなかったのか、この代で終了となってしまいました。

いすゞ・アスカ

いすゞの中型セダンであったフローリアンの後継車種として1983年4月に登場したのが、アスカです。当初はフローリアンの後継車種であることをアピールするために「フローリアン・アスカ」と呼ばれていました。そんなアスカは当時、資本提携をしていたGM(ゼネラルモーターズ)が立ち上げた「世界戦略車構想」から生まれており、シボレー・キャバリエやオペル・アスコナ、ホールデン・カミーラといった当時のGMグループの車種と共通のボディを持ったものでした。

といっても、基本骨格以外は各車オリジナルに富んでおり、アスカの場合はボディタイプが4ドアセダンのみ。搭載されるエンジンは1.8リッターと2リッターで、2リッターには自然吸気とガソリンターボ、そしていすゞ得意のディーゼルターボというラインナップとなっています。

そんなアスカ最大のトピックはやはり84年9月に追加された、世界に先駆けて開発された本格的量産型の電子制御式自動5段変速機「NAVi5」でしょう。これは従来のマニュアルトランスミッション、乾燥単板クラッチを用いながらクラッチ操作はクルマ任せという、今のクラッチレスMTの先駆者と言えるものだったのです。

しかし、2代目アスカはスバルから供給を受ける形のOEM車となってしまい、3代目以降はホンダ・アコードのOEM車となり、2002年の日本国内での乗用車部門から完全撤退をもってアスカの名前も消えることとなってしまいました。

三菱・シャリオ

まだ「ミニバン」という言葉が一般的ではなかった1983年2月にデビューしたのが三菱・シャリオです。すでに前年に日産から同様のコンセプトのプレーリーが登場しており、そちらは両側スライドドア&センターピラーレスと、現代のミニバンに非常に近いパッケージでしたが、実はシャリオの元となったモデルがSSW(スーパースペースワゴン)という名前で1979年の東京モーターショーにすでに登場していたのです。

そんなシャリオは、2列目と3列目のシートを向かい合わせるシートバック反転機構やフルフラットシートなど、当時のキャブオーバー型ワンボックスカーで人気だったシートアレンジを実現しながらも、セダン的な運転感覚を持ち合わせた新ジャンルの1台となっていました。

搭載されるエンジンは当初は1.6リッターと1.8リッターの自然吸気エンジンのみでしたが、のちに1.8リッターターボや2リッター、1.8リッターディーゼルターボエンジンなども追加され、4WD仕様も用意されるなど徐々にバリエーションも拡大されています。そして91年には2代目へとフルモデルチェンジ。2代目にはランサーエボリューションにも搭載された4G63型2リッターターボエンジンが搭載されるグレードも存在し、三菱らしいスポーツミニバンとして人気を集めていました。

いかがでしたか? 次回も1983年にデビューした懐かしの国産車たちをご紹介します。

(文:小鮒康一 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

あわせて読みたい!

  • 今年、メモリアルイヤーを迎える国産名車たち~20周年編(2)
    今年、メモリアルイヤーを迎える国産名車たち~20周年編(2)
  • 今年、メモリアルイヤーを迎える国産名車たち~20周年編(1)
    今年、メモリアルイヤーを迎える国産名車たち~20周年編(1)
  • 今年、メモリアルイヤーを迎える国産名車たち~30周年編
    今年、メモリアルイヤーを迎える国産名車たち~30周年編
  • 今年、メモリアルイヤーを迎える国産名車たち~40周年編(2)
    今年、メモリアルイヤーを迎える国産名車たち~40周年編(2)
  • 今年、メモリアルイヤーを迎える国産名車たち~40周年編(1)
    今年、メモリアルイヤーを迎える国産名車たち~40周年編(1)
  • 今に続く名車のベースも誕生。2018年にデビュー45周年を迎える国産車たち
    今に続く名車のベースも誕生。2018年にデビュー45周年を迎える国産車たち

コラムトップ