部屋みたいなクルマも!? パリモーターショー2018で見かけた面白ネタを紹介
今年で120周年を迎えた、パリモーターショー。今年は参加するメーカーが減ったというニュースもありましたが、とはいえ会場にいけばやっぱり興味深いクルマや展示が盛りだくさん。今日は、現地取材で見かけた気になる車両や展示をお伝えしましょう。
メルセデス・ベンツが展示した738馬力の電動レーシングカー
8月にアメリカのイベントで公開されたのに続いてパリで展示されたのが、メルセデス・ベンツ「EQシルバーアロー・コンセプト」。1930年代の伝説的なレーシングカー「シルバーアロー」をモチーフに作られたコンセプトカーです。「EQ」というのはメルセデス・ベンツの電動車両(モーター付き車両を示していてハイブリッドも含む)のブランドで、この「EQシルバーアロー」はエンジンのない電気自動車。しかしながら出力は738馬力ととんでもないモンスターですね。
電動レーシングカーはエンジン音がなくて物足りないと言われることもあります。しかし、この「EQシルバーアロー」はF1やAMGの高性能モデルなどの音を好みで選んで奏でられるというアイデアで「わくわく感」を演出しているのだとか。
インフィニティが用意したのは、F1の技術を投入したハイブリッドカー
日産の高級ブランドである「インフィニティ」がパリで公開したのが「プロジェクト・ブラックSプロトタイプ」です。日本では売っていませんが日本流に表現すると「スカラインクーペ」にあたる「Q60」をベースに、ルノーF1チームのテクノロジーを投入したハイブリッドシステムを搭載。V6ガソリンターボエンジンを組み合わせて571馬力を発生するのだそうです。市販化は未定ですが、走りは間違いなく楽しいでしょうね。運転してみたい!
スズキ・ジムニーが欧州デビュー
日本では今年の夏にフルモデルチェンジするやいやな大人気となり、納車待ちが1年とも言われているスズキ「ジムニー」。そんなジムニーがパリで欧州デビューを果たしましたよ。来年から発売だそうです。
欧州で販売されるのは日本で「ジムニーシエラ」として用意されているモデルで、オーバーフェンダーにより拡幅したボディに1.5Lの自然吸気エンジンを搭載。欧州での反応も良く、「人気が盛り上がりすぎて納期が長くなりそうなのが心配」とか。
歴史的モデルも並べちゃう!
「自動車を生み出した国」という栄誉をドイツと競い合っているフランスだけあってか、パリのモーターショーではいくつかのクラシックモデルを見ることができました。たとえばランドローバーブースでは、今年で誕生70周年を迎えた「ランドローバー」の初期モデルを展示。徹底的にレストアされ、新車みたいなコンディションでしたよ。
汚れっぷりがすごい、トヨタのレーシングカー
トヨタブースに展示されていたレーシングカーの「TS050」。普通はモーターショーの展示車両は徹底的に磨かれているのですが、このクルマはちょっと違いました。まるで高速道路を何百キロも走ってきてそのまま展示したかのように、車体が汚れていたのですから。
でも実は、この汚れにこそ意味あり。TS050は今年のル・マン24時間レースで優勝しましたが、このクルマはなんと優勝した個体そのもの。汚れも含め、ゴールした栄光の状態で保管されているのです。それにしても、超高速で24時間も走り続けるとこんなに汚れるものなのですね。
天井を塗り分けた2トーンカラーが流行中!?
トヨタブースの展示車両の多くにある共通点が。ひとつは燃料電池車「MIRAI」と次期「スープラ」を除きすべてハイブリッドだったこと。もうひとつは、天井を塗り分けた2トーンカラーの車両が多かったことです。「オーリス」も、「RAV4」も、そして「ヴィッツ」の欧州仕様である「ヤリス」も。日本では軽自動車やコンパクトカーを中心に流行しているのですが、もしかして欧州でも流行らせようとしている?
マニアを喜ばせる、ポルシェの展示が上手!
市販予定車「911スピードスター」をパリで公開したポルシェ。さすがだな、と思ったのは展示方法です。911スピードスターを囲むのは、そのルーツとなった1950年代の「356スピードスター」と大先輩である「930型 911スピードスター」。ブランドは歴史があってはじめて成り立つともいいますが、ポルシェはそれをしっかりと理解し、しかも上手に活用しているメーカーだというのがよくわかりますね。プレス仲間と情報交換をしてみたら、この展示を見ただけで感情が高ぶっているメディア関係者は、どうやら僕だけではなかった模様。
常識では理解不能!? 移動はリビングルーム感覚で
「不思議なコンセプトカーは日本メーカーのお家芸」なんていわれていましたが、もはや外国のメーカーだってぶっ飛んだ“未来のクルマ”を発表するようになりました。たとえばルノー。ここ幾度のモーターショーでクルマの概念を超えたコンセプトカーを発表していますが、パリでは「観光地を案内する車両」をイメージしたクルマをお披露目したのです。
それにしてもソファーもキャビネットも備えたインテリアはまるで「部屋」。もちろん自動運転なので運転席はありません。そして外観も相当、今の常識とはかけ離れて先をいっちゃっています。未来の自動車はこんなふうになるのでしょうかね。
ベトナムの新興自動車メーカーが新車をお披露目
「VINFAST」はこれまで自動車産業がなかったベトナムに誕生した新興自動車メーカー。なんとデザイン決定から約1年で新車を開発したとのことですが、これまで技術もノウハウもなかったのにそんなことができるのは不思議ですよね。実は、BMWから知的財産権を購入し、セダンは先代「5シリーズ」、SUVは(もうすぐ先代になる)「X5」のプラットフォームを活用しているのだとか。そんなのアリ?
ちなみに、お披露目の式典ではゲストとしてサッカー選手のベッカムが登場しました。なぜ?
これは見事。100万個のレゴで作った実物大のシロン
エンジンは排気量8.0LのW16型クワッドターボで出力は約1500馬力、価格は日本円にして約3億2000万円というとんでもない超高性能車、ブガッティ「シロン」。パリモーターショーではそんなシロンの本物も展示されていましたが、本物以上に目立っていたのがこのシロン。
なんと100万点を超えるレゴブロックを使って1万3000時間をかけて作られた実物大なのです。タイヤ&ホイールは実物を使っているのですが、あとは(見える部分は)すべてレゴブロック。スゴ過ぎです。しかも、電動のパワートレインが組み込まれていて、最高速度約20km/hとのことですが実際に走ることもできるのだとか。アメージング!
本物のシロンも相当貴重ですが、これは間違いなく本物よりも貴重ですね。
世間では「モーターショー離れ」なんていわれていますが、実際に出かけるとやっぱり楽しいものです。来年の東京モーターショーでは、いったいどんなクルマが見られるのか、そしてどれだけワクサクドキドキ体験ができるのか、期待したいですね。
(文:工藤貴宏 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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