クルマの印象を大きく変える「エアロパーツ」。走行性能はどう変化する?

クルマのドレスアップを考えたときに、もっとも見た目の印象を大きく変える「エアロパーツ」。しかし、本来エアロパーツは、車体のリフトを低減したり走行安定性や操縦性を向上させたりするために装着するものです。とはいえ、それはレースなど極限の状況で速さを求められる場合の話。一般公道を普通に走る上では、エアロパーツが効果を発揮しているかどうか、実際のところはよくわかりません。

そこで、トヨタのオフィシャルチューナーとして、モータースポーツで培った技術を活かし、オリジナル部品の企画・開発・販売を行っている株式会社トムスの自動車用品部 高橋氏に、市販のエアロパーツの効果について話を聞いてみました。

―そもそも、エアロパーツってなんですか?

自動車の走行風を制御する外装部品の総称です。クルマを路面に押し付ける効果(ダウンフォース)を得るために、古くからレーシングカーに採用されてきました。現在では、気流の流れを制御して安定性を高めるなど、クルマの空力全般をコントロールするパーツとして使われています。また、ロードカーでは性能の向上とともに、ドレスアップパーツとしても用いられています。

―主なエアロパーツの働きを教えてください

「フロントスポイラー」「サイドステップ」「ディフューザー」「リヤアンダースポイラー」「リヤウィング」「リヤスポイラー」の6点について、それぞれ簡単にご説明します。

フロントスポイラー

主にバンパー下部に追加されるパーツで、前面に受ける走行風をどこに導くかを決める重要な役割を果たします。車体下へ流すとダウンフォースが発生しやすくなり、ブレーキダクトやラジエターへ流すと冷却性が向上してブレーキ性能とエンジン性能がそれぞれ向上しやすくなります。また、フロントバンパー自体の形状を大きく変更し、スポイラー機能を向上させた 「フロントバンパースポイラー(下の写真)」もこの発展形です。

サイドステップ

左右のドア下部に追加されるパーツで、クルマのサイドを流れる空気を制御します。走行中に空気が抵抗にならないように後部へ流すほか、ボディ上面から巻き込んで車体下に潜り込もうとする流れを止めて、車体の浮きを抑える効果が期待できるパーツです。特にレーシングカーに多用されている板状のパーツはその効果が大きく、板面に受ける空気の力でクルマを押さえつけることにより走行時の安定性を高めています。

リヤアンダースポイラー

リヤバンパーに装着されるパーツで、車体下を流れて来た気流がバンパー内に滞留して抵抗にならないような工夫が成され、効率良く排出してくれます。さらに後述の「ディフューザー」を設けることにより、出口で気流の流速を高めると負圧が生じて車体が路面に吸い付くダウンフォース効果を発生。車体が安定するとともに、タイヤのグリップ力も向上します。フロントと同様に、バンパー全体で設計することでより効果を高めた「リヤバンパースポイラー」も存在します。

ディフューザー

車体下後端に装着される“縦フィン”とその周辺の部位パーツで、単体で用いられる事もありますが、リヤアンダースポイラーの下にも多用されています。縦フィンと斜めにせり上がった部位により気流の流速が速まり、ベンチュリー効果と呼ばれる負圧を発生させて車体を吸い付かせる効果を生むものです。ちなみに、ディフューザーは「拡散」という意味があります。

リヤウィング

写真:株式会社サード

トランクリッド上部の左右を連結する、板のようなパーツです。板の断面は航空機の翼を逆転させた形状になっていることが多く、揚力を逆転させて車体を押し付け、比較的低速でも強いダウンフォースを発生させる仕組みとなっています。市販品の多くは角度調整が可能ですが、立てすぎると抵抗が強くなりすぎるので、取り付け時は注意が必要なパーツです。

リヤスポイラー

トランクやリヤゲートに装着されるパーツで、小ぶりですが後端部をダックテール状にそり上げる事により、空気抵抗を抑えつつ車体を押さえる効果を得ることができます。

―市販のエアロパーツはどのぐらい効果があるのでしょうか?

大きさや形状にもよりますが、効果のあるものは高速道路などでステアリング操作が重くなったり、コーナリング時に車体の安定を実感できたりします。また、長時間走行では燃費に変化が現れるケースもあるので、装着前後で計測してみるといいでしょう。

弊社では、アクアやC-HRとはじめ、コンパクトカーからSUV、ミニバンまで、幅広くエアロパーツをラインナップしていますが、こうした車種の製品でもエアロパーツとしての性能を備えるよう、設計しています。

―エアロのカスタムを考えたときに、おすすめの装着順はありますか?

機能性を重視するなら、最初はフロントスポイラーがおすすめです。理由は、気流の取り入れ口が一番重要ポイントな上に、低価格で効果も得やすいパーツだから。顔立ちがアグレッシブになるところもポイントですね。次にサイドステップ、ディフューザー、リヤアンダースポイラー、つまり気流が流れる順番に装着するといいでしょう。とは言っても、極論はお好きな順でいいと思います。それぞれのスタイルで、自分だけのカスタマイズを楽しむことがもっとも大切です。

ドレスアップ目的で装着する人も増えているエアロパーツですが、公道でもその効果は発揮されるように作られているそうです。エアロパーツの装着を検討している人は、装着前後の変化をよく観察してみてくださいね。

▼株式会社トムス
URL:https://www.tomsracing.co.jp/

(取材・文:先川 知香 写真:株式会社トムス 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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