海外で見かけたちょっと懐かしい日本車 ~欧州編 その1~
今や世界中の国々で見かける日本車。中でも、ちょっとだけ懐かしいクルマに関しては、新車が出るたびに街を彩るクルマが刷新される我が国よりも、むしろ海外の方が多く目にするような気がします。
そして、祖国日本ではすっかり見かけなくなったものの海外で元気に走り続ける日本車を見かけると、日本人としてちょっぴり嬉しくもなったりします。今回はそんなクルマの中から、ヨーロッパで見かけた「ちょっと懐かしい日本車」にスポットを当てお届けします。
マツダ・ファミリアアスティナ(ドイツ・フランクフルト)
ユーノス・ロードスターやトヨタ・セルシオなど、記憶に残る名車が数多くデビューした1989年。そんな年に登場したマツダ・ファミリア アスティナは、マツダの中核を担う人気車種ファミリアの5ドアハッチバックモデルでした。
スタイリッシュなボディとリトラクタブルヘッドランプが特徴で、当時国内で5つもの販売チャンネルを展開していたマツダのユーノス店向けには、内外装に専用パーツを使い差別化を図ったユーノス100というモデルも用意されていました。見かけたドイツでの車名はMAZDA 323Fです。
三菱GTO(イタリア・ローマ)
三菱GTOは、3.0L V6エンジンを搭載するクーペで、ホンダNSXと同じ1990年に登場しました。CM等でスーパー4WDスポーツと謳っていたGTOの全幅は1,800mmを超え、当時の日本車としては大柄なもので、そのフォルムもスポーツカーらしいものでした。
しかしながら、フロントに横置きされたエンジンとFFモデルも存在したラインナップは、スポーツカーとして少々ミスマッチな感じもあり、当時はスポーツカーの形をしたグランドツアラーという印象もあったものです。GTOという日本名の由来はイタリア語の「Gran Turismo Omologate」。ローマで見かけたGTOはリトラクタブルヘッドライトを持つ前期型でした。
ホンダ・シビック(スイス・ローザンヌ)
スイス、ローザンヌの街並みで見かけたのは、世代の違う2台のシビック。前に停まっているガンメタリックの3ドア(EP型)はイギリス生産。同型の3ドアモデルは、日本ではタイプRのみ販売されましたが、そちらもイギリスから輸入されたものでした。
後ろに停まっている黒いモデルは2005年に登場した欧州仕様。同じころ、日本ではセダン(FD型)のみ発売されていましたが2009年より2.0L VTECを搭載した3ドアモデルが、シビック タイプR EUROとしてイギリスより台数限定で輸入販売されました。ちなみに写真に写っている黒いシビックは、一見3ドアに見えるデザインですが5ドアモデルです。
三菱・パジェロiO(イオ) (フランス・パリ)
パリで見かけた三菱パジェロiO。というか、その欧州版のパジェロ ピニン。パジェロiOをベースに開発された欧州専用モデルという当時の三菱の発表はともかく、見た感じはほぼ左ハンドルのパジェロiO。車名は、生産を担当したピニンファリーナの名をとっています。日本においては、本家パジェロと末っ子の軽自動車パジェロミニとの中間的存在であったパジェロジュニアの後継モデルとして、1998年に1.8Lのガソリンエンジンを搭載しデビューしました。
ちなみに前に停まっている青い小型SUVは、トヨタのRAV4。ルノー、プジョー、シトロエンと日本でも人気の自動車メーカーが多いフランスでも、日本車はなかなか健闘しているようです。
スバル・インプレッサWRX(イギリス・スランディドノ)
イギリス、WRC「ラリーGB」観戦のために、北ウエールズの街スランディドノを走るスバル・インプレッサWRX。2000年に登場したGD型は、途中3度もの大きなフェイスリフトを受けますが、写真のモデルは2002年の登場し、ファンの間では涙目と呼ばれているタイプ(ヘッドライトはノンオリジナル)。かつてペター・ソルベルグ選手がWRCのシリーズチャンピオンを獲得したときのモデルです。「ラリーGB」の会場ではこの青いクルマ以外にも数多くのインプレッサを目にしました。
ヨーロッパで見かけるちょっと懐かしい日本車は、どのクルマも現地の日常に溶け込んでいて、旅先ゆえの旅情も加わっているせいか、日本で見ていたころよりチョッピリ素敵に見えました。オーナーの方々には、これからも大切に乗り続けて欲しいものです。
(取材・文・写真:高橋学 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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