東京オリンピック期間中の渋滞問題を考える「2020夏の交通市民会議」

「東京グッドストリーム」は、「市民の力で2020年のトウキョウに良い流れをつくる」をキャッチコピーに、混雑や渋滞を寛容に受け止め、 ポジティブに心を切り替えて楽しもうとする人たちが かつてないムーブメント作りに挑戦する 市民主体型ソーシャルプロジェクト。

その一環として行われた今回の「2020夏の交通市民会議」は、オリンピック期間中の交通混雑に対して「自分たちにもできることはないか?」と考える人たちによる、公開ワークショップ型の会議です。『WIRED』日本版編集長の松島倫明氏と「東京グッドストリームラボ」編集長の真田武幸氏をモデレーターに、さまざまな業界から解決を目指すゲストと参加者が“良い流れ”を作るため、意見を交わしました。

ゲストをはじめとする様々な企画

虎ノ門ヒルズにある「THE CORE KITCHEN/SPACE」で行われた今回の会議では、ゲストによるさまざまな問題の提起とそれに対する解決方法などが挙げられたほか、およそ100人の一般の参加者たちの声をスクリーンで紹介。参加者の声を集める手法として、QRコードを読み取ることでスマホからコメントを書き込んだり、問いかけに対してYes、Noを回答できたりするシステムが採用されていました。

ゲストは、五輪関係者や首都高速道路、シェア関連企業、物流関連会社の方など、さまざまなジャンルの方がおり、オリンピック開催時の人や物の流れがどうなるか? それが円滑になるには? といった具体例を提示。一例として、通勤時間をずらして混雑を解消する「時差Biz」を行ったり休暇を取ったりすることや、車両のシェアや乗り合いなどで台数そのものを減らしていくことなどが、話し合われました。

公開ワークショップ型の会議というだけあって、ステージと客席ではなく、テーブルを囲むようなスタイルで行われており、モデレーターやゲストと同じ目線で参加できるのが特徴的。一般の参加者の中にはタクシー配車ソフトの制作会社や地図サービス会社の方がおり、「ソフトウェアサービスの点からサポートができないか?」など、さまざまな観点からの意見も。それらはすべてホワイトボードに書き込まれ、渋滞解消や課題解決へ向けたアイデアとして記されていきました。

アイデアとしては時差Bizやテレワークの積極的な活用、シェアリングサービスによる車両などの共有化、休暇取得の推進により東京都内の交通量を減らすといったものが、次々と挙がりました。また、東京オリンピック観戦方法として、極めて精巧な3Dによる自宅でのバーチャル観戦ができれば、会場に足を運ばずとも臨場感を得られるのではないか、といった意見も。バーチャル観戦は、会場に足を運べない子どもたちに向けた試みも実際に行われているそうです。会場からは「ここからオリンピックが変わった、と言われるものにしたい」という声が上がっていました。

あなたの標語が電光掲示板に「黄パト大喜利」

イベントの後半には「黄パト大喜利」なるコーナーも。「黄パト」とは、首都高で道路に事故車や落下物などがある場合に、誘導をしてくれるあのクルマです。今回の会議では、その車両を目にした人がクスッと笑って安全運転をしてもらえるように、車両に装備されている電光表示版に表示するメッセージを大喜利形式で集められました。標語には「その運転いいね!」や「安全運転の未来とは」「Come on Baby 2020夏」といった標語が5点ほど選ばれ、実際に表示されました。

オリンピック期間中の交通混雑は、おそらく避けられないでしょう。しかし、混雑や渋滞を寛容に受け止め、ポジティブに受け取れば、きっと“良い流れ”はできるはず。市民の力で“良い流れ”ができるなら、積極的に取り組みたいですね。

(取材・文・写真:きもだこよし 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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