交通事故のよくあるパターン<ワースト4>と対策
クルマ社会に生きる人として、最も避けたいものが「交通事故」。被害者には、もちろんなりたくないけれど、加害者だって嫌ですよね。誰もが望んで加害者になるわけではありませんから、気を付けないと、明日は自分が被害者・加害者のどちらかになる可能性も。
そこで交通事故に遭わないために、ぜひとも知ってほしいのが“事故のパターン”。
交通事故には決まったパターンが多いので、それを覚えておけば、ぐっと交通事故に遭う可能性が低くなるというわけです。
ワースト4は昔から変わらない
交通事故の実態を知るには専門家のデータを見るのが一番。そこで注目なのが、公益財団法人交通事故総合分析センター(通称:ITARDA/イタルダ)が毎年に発表している「交通統計」。
これを見ると、平成28年(2016年)の交通事故の総数は49万9201件。平均にすると毎日1364件も発生している計算になります。そして、その資料には「事故類型別・昼夜別交通事故件数」があります。
これを見れば、どんなパターンの事故が多いのかが一目瞭然。その中で抜きんでて件数の多い事故パターンが以下の4パターンでした。
ワースト1:追突
なんと、事故全体の37%が「追突」です。
渋滞の末尾のクルマに、ドカンと追突。信号で止まった前走車にドカンといった具合です。
<原因>
この「追突」事故の原因の多くは、ドライバーが「前を見てなかった/見えなかった」というもの。それは「他のモノに注意がいっていた/わき見していた」「眠気・飲酒・急病」というのが理由とか。ひどく単純であるがゆえに、ゼロにすることが難しいのが、この「追突」の理由です。
<対策>
対策としては、「注意力が散漫になってきたら休憩する」ことにつきるでしょう。最新のクルマに装備されている「衝突被害軽減自動ブレーキ機能」は、こうした「追突」防止には効果絶大ですから、そうしたクルマを選ぶのもおすすめです。
また、追突されないためには、「早めの減速/予告ブレーキ」「渋滞末尾に止まったらハザード」も覚えておきましょう。
ワースト2:出会いがしらの衝突
こちらは全体の24.2%。
ちなみに「追突」と「出会いがしらの衝突」を比べると、件数は「追突」の方が多いですが、死亡数は「出会いがしらの衝突」の方が上。つまり危険度は、「出会いがしらの衝突」の方が高いため、さらに注意が必要です。
<原因>
事故のパターンとしては、「交差点で、信号・一時停車を無視した車両と衝突」「交差点で、出てきた相手が止まると思い込んで直進して衝突」「見通しの悪い交差点で、相手車両に気が付かずに衝突」というもの。「相手車両の存在に、まったく気が付かない」というケースもありますが、「相手車両に気づいている」状況での衝突が意外にも多いということなのです。
<対策>
ほかの車両を見つけて安心するだけでなく、相手は「信号や一時停止を無視する」「こちらに気が付いていない」可能性があることをお忘れなく。油断は禁物です。また、見通しの悪い交差点には、その多くの場所にカーブミラーが設置されているはず。ぜひとも、しっかりとカーブミラーを確認する習慣を身につけましょう。
ワースト3:右折時衝突
いわゆる「右直事故」と呼ばれるもので全体の8%。
事故パターンの典型は「右折した車両と直進してきた車両(クルマ/オートバイ/自転車)が衝突する」というもの。また、「右折した車両と、横断歩道を歩いている歩行者/自転車との衝突」も含まれます。特徴は、右折車も直進車も信号を守っているケースが多いということです。
<原因>
そして事故の理由は、車両対車両の事故に関しては「右折する車両の判断の誤り」、横断歩道の歩行者/自転車との衝突は「右折する車両の安全不確認」がほとんどとなっています。
<対策>
つまり「右折時衝突」の事故は、「右折」するドライバーがカギを握ります。対面する直進車に対しては、無理をせずに安全なタイミングを待つことが重要です。曲がった先にある歩道の状況を忘れずに確認することもポイントです。
ちなみに、右折車と直進車が対面した場合、優先すべきは直進車というのが原則です。ところが、たまにそのルールを守らない人もいます。ですから、自分が直進側のドライバーであっても相手を過信せず、慎重に交差点に入るようにしましょう。
ワースト4:横断中の人と車両
最後が「道路を横断する歩行者と車両の事故」で6%です。
これは、「信号を無視した車両が道路を横断する歩行者をはねた」「信号のない場所で横断する歩行者を直進する車両がはねた」というものが典型です。最近は高齢者の横断中の死亡事故が増えていますから、注意の必要な事故パターンと言えます。
<対策>
ドライバーは夜間や人気の少ない時間帯でも、しっかりと信号を守るようにしましょう。また、信号のない横断歩道に歩行者が立っていたら、歩行者を優先するのがルールです。さらに横断歩道のない場所で、道を横断する歩行者も存在します。そのため、ドライバーは道路の左側だけでなく、右側への注意も怠らないようにしましょう。
ワースト4つだけでも事故の75%に!
ここに挙げた事故パターンを合計すると75.2%にもなります。このパターンの事故は、最近になって増えたものではありません。昭和の時代から続く、交通事故の定番中の定番なのです。ですから、事故パターンを覚えることは、安全な運転の実現には必要なことでしょう。
(文:鈴木ケンイチ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
<関連リンク>
公益財団法人交通事故総合分析センター
http://www.itarda.or.jp/
[ガズー編集部]
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