衝突被害軽減ブレーキや衝撃吸収ボディ……進化するクルマの安全性能と交通事故を減らすための心がけ
このところ、痛ましい交通事故のニュースが多く報道されています。
交通事故による死者数自体は近年大幅に減少し、2018年は全国で3532人。これは統計を取りはじめた1948年以来最少であり、ピークだった1970年の1万6765人の4分の1以下です。
とはいえ、この数字はゼロになることが理想であり、私たちはそのための努力をしなければなりません。
クルマの安全性向上が、交通事故による死者数を減らした
交通事故死者数が近年大きく減った理由のひとつが、クルマそのものの安全性向上です。かつては、乗車中の事故による死者数がもっと多かったのですが、衝撃吸収ボディや衝突被害軽減ブレーキシステム(いわゆる「自動ブレーキ」ですが、誤解を招くので自動ブレーキという表現は公式なものではありません)などが広く普及した結果、乗車中の事故死者数は大きく減少しました。
衝撃吸収ボディとは、頑丈な部分(居住部分周辺)とあえて車体をつぶす部分を作り分けることで、衝突時に乗員へ伝わる衝撃を緩和する車体構造のこと。衝突時には、いかに身体への衝撃を減らすかが死傷者を減らすポイントとなります。自動車開発における衝突のシミュレーション技術の進化もあり、乗員の安全性は年々高まっています。
そして衝突被害軽減ブレーキシステムは、危険が迫るとクルマ自らがブレーキをかけて衝突時の速度を落とす機構。速度が落ちれば衝突時のエネルギーが小さくなることで乗員への衝撃が減るので、事故時に乗員の損傷を軽減することができます。
いまではごく当たり前となった衝突被害軽減ブレーキシステムですが、衝突しそうな状況をクルマ自らが判断して完全停止までおこなう機構が日本ではじめて認可されたのは2009年。わずか10年前のことです。ちなみに、日本で初搭載したのはボルボでした。
対応速度や対象範囲の拡大など、衝突被害軽減ブレーキシステムの性能は年々向上。近年は、道路上に現れた大型動物(シカ)にも対応したり、対向車と正面衝突しそうな状況を検知すると減速したりする衝突被害軽減ブレーキシステムもあります。
いずれも技術の進化や研究開発に伴い、自動車乗車中の安全性は今後もさらに高まることでしょう。ただし、シートベルトの装着が安全装備のなによりの前提なので、後部座席でもしっかりシートベルトを締めなければならないのは言うまでもありません。
日本における課題は、歩行者や自転車を守ること
いっぽう、自動車乗車中の事故が減るのにつれて比率が高まってきたのが、歩行中や自転車移動中の巻き込まれ事故。
もちろん、自動車自体の安全技術も、歩行者や自転車走行者をできるだけ事故に巻き込まないように進化しています。当初は車両だけを対象としていた衝突被害軽減ブレーキシステムですが、人や自転車も検知できるようになり、最近では夜間にも人を認識したり、飛び出しに対応したりするタイプも増えてきました。
また、ブレーキをかけるだけでなく、路肩などにいる人に接触しそうになると、それを避けるようにハンドル操作をアシストして進路を変える機能を組み込んでいるメーカーもあります。
そういった先進安全技術で人との接触を避けるのと並行し、もし接触してしまった際でもダメージを最小限に抑える技術も進化。専門用語で「歩行者保護性能」と言いますが、車体の前部やボンネットは万が一の接触にも歩行者へダメージを与えにくい構造にすることが定められています。その基準(法律で定められている)は年々引き上げられているので、新しい設計のクルマであるほど歩行者にもやさしいといえます。
さらに昨今はボンネット後方にエアバッグを備え、歩行者の頭部への衝撃を緩和する仕掛けを採用するクルマも登場。「歩行者保護エアバッグ」と呼ばれるものです。
ときには、自分の運転を振り返ってみる
しかし、どんなにクルマの安全技術が進化しても、やはりドライバーに事故を減らそうという気持ちがなければ事故はなくなりません。スピードは出しすぎない、信号はしっかり守って黄色になったら早めに停止する、安全確認をおろそかにしない。それらはクルマを運転するうえで基本的なことですが、とても大切です。
さらには、歩行者などを守るためにドライバーとしてできることを心掛けなければいけません。
市街地の狭い道はゆっくり走る。
歩行者や自転車との距離はしっかりとり、距離が近い場合は徐行する。
右左折時は周囲の確認をしっかり行う。
歩行者や自転車の人を守るために、私たちができる心がけはたくさんあります。もちろん、いまもそういう優しい運転をしているドライバーが多いでしょう。しかし、自分の運転がしっかりと周囲、とくに歩行者や自転車などに対してやさしい運転になっているかをもう一度振り返ってみましょう。
(文:工藤貴宏 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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