令和になった今、振り返る。30年前の平成元年は後世に残る名車が多く登場した記念すべき年だった
5月1日から「令和」という新しい時代が始まりました。
昭和生まれとしては「平成」ってあっという間だったな」という気もしますが、冷静に考えてみれば30年間というけっこうな長さ。クルマも飛躍的に進化し、カーライフも大きく変わりました。クルマが手元のスマートフォンとつながったり、今では常識の「追突被害軽減ブレーキ」なんて、30年前にはイメージすらできませんでしたしね。
今回は平成から令和への改元にちなんで、平成元年に登場したクルマを振り返ってみましょう。
ちなみに平成元年といえば、日本は“バブル”と呼ばれる空前の好景気の真っただ中。日本の企業が時価総額世界ランキングの上位に名を連ね、「東京23区の地価でアメリカ全土が買える」とも言われていて、誰もが浮かれていました。そんな時代背景だったんですね。
世界の高級車を驚かせた、トヨタ・セルシオ
トヨタの最上級セダンとして平成元年の10月にデビューしたのが初代「セルシオ」。北米では初代「レクサスLS」として発売されました。
トヨタが“世界の最高峰”を目指して開発した初代セルシオの凄さは、静粛性や乗り心地などの快適性。メルセデス・ベンツをはじめとするそれまでの高級サルーンを大幅に凌駕する快適性は世界に衝撃を与え、それ以降の高級車作りの常識を変えたほどです。
速く走るために生まれてきた、スカイラインGT-R
R32型と呼ばれる、新しい世代の日産「スカイラインGT-R」がデビューしたのも平成元年。高度な4WDシステムなど、市販車を改造して行うレースで速く走るために採用された最先端技術の数々が世界をアッと言わせました。「グループA」と呼ばれる当時の人気レースでは、デビューウィン以降全戦全勝。その速さは伝説となり、中古車は今なお驚くほどの高値で取引されています。
R32型「スカイライン」は、最高峰モデルのGT-Rだけでなく一般モデルも高い走行性能が世の中を驚かせました。懐かしいですね。
Z32型フェアレディZも平成元年にデビュー
平成元年の日産といえば、「フェアレディZ」の美しいスタイルもクルマ好きを魅了しましたね。このデザインを実現するために、完全専用設計の車体に、実質的に専用設計のV6エンジンを搭載するなど手の込んだクルマでした。
世界を虜にした、小さなオープンスポーツカー
後に「世界で最も多く生産された2人乗り小型オープンスポーツカー」としてギネスブック認定を受けることになる、ユーノス「ロードスター」(現:マツダ・ロードスター)がデビューしたのもこの年。発売されるやいなや、世界中のスポーツカーファンから大歓迎されて爆発的なヒット作となりました。
このロードスターのヒットをきっかけに、メルセデス・ベンツ「SLK」、BMW「Z3」など小型のオープンスポーツカーが欧米の自動車メーカーからこぞって発売されることに。ロードスターは、世界のスポーツカー市場に大きな刺激を与えた1台なのです。
日本車が世界に追いつき、世界を超えたのが平成元年だった!
初代セルシオにGT-R、そしてユーノス・ロードスター……。こうして振り返ると、平成元年は後世になお残すクルマが数多くデビューした年だったということがわかります。クルマ好きの間では、良質なワインになぞらえて「日本車ビンテージイヤー」と呼ばれているほどなんですよ。
平成元年は、それまで欧州や北米のクルマに「追いつけ追い越せ!」と努力していた日本のクルマ作りが一気に開花した年だったともいえます。日本のクルマ作りが欧米に並んだ、そして一時的に追い越して世界にいくつもの衝撃を与えたことは日本の自動車史においても大きな出来事でした。それが、今から30年前の、とにかく元気いっぱいで輝いていた日本の新車事情なのです。
そして翌年には、世界に衝撃を与えた国産スーパーカーもデビュー
平成元年ではなく翌平成2年には、ホンダ「NSX」がデビュー。約1000万円という当時の日本車最高価格も話題になりましたが、実はこのNSXも世界に衝撃を与えたクルマでした。
それまでのスーパーカーといえば、扱いにくいから運転には特殊なテクニックが必要で、快適性もないようなもの、メンテナンスも大変、というのが例外のない常識でした。しかしNSXは、一般的な乗用車と同じように楽に運転でき、快適で、メンテナンスも普通のクルマと同じ水準。従来のスーパーカーの常識では考えられない、フレンドリーなクルマだったのです。
そんなNSXには世界中のスポーツカーメーカーも驚愕。あのフェラーリやランボルギーニまで影響を受け、NSXのデビュー以降どんどん快適で扱いやすいスーパーカーへと進化しました。
果たして、新しい時代「令和」ではどんなクルマが登場するのでしょうか?
クルマ好きのひとりとしては、いつの時代もみんながワクワクでき、乗る人も見る人も幸せになれるようなクルマがたくさんデビューすると嬉しいな、と思わすにはいられません。
(文:工藤貴宏 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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