ドライビングシューズやグローブが試せる「A PITオートバックス東雲」のレーシングシミュレーター

プロのドライバーが実際に使っているというレーシングシミュレーター。今では全国各地で誰でも体験できるようになりました。そのシミュレーターを使って、一歩踏み込んだサービスを行っている店舗がありますのでご紹介します。

プロドライバーがプレイしても寸分違わぬ高精度シミュレーター

その踏み込んだサービスを行っているのは、カー用品量販店「オートバックス」のフラッグシップストア「A PIT オートバックス東雲」。オートバックス全店の中でも、レーシングシミュレーターを設置しているのは、この店舗だけです(2019年5月15日現在)。

東雲駅から徒歩1分の場所にある、オートバックスの旗艦店「A PIT AUTOBACS SHINONOME」
東雲駅から徒歩1分の場所にある、オートバックスの旗艦店「A PIT AUTOBACS SHINONOME」

有名ドライバーのサインが書かれたガラス張りの部屋に入ると、レーシングスーツと50インチのディスプレイ3面を備えたシミュレーターの機械が目に飛び込んできます。プレイ料金は10分1000円、30分2500円です。

「A PIT AUTOBACS SHINONOME」3階にあるガラス張りの一室に、ドライビング・シミュレーターが試せる部屋がある
「A PIT AUTOBACS SHINONOME」3階にあるガラス張りの一室に、ドライビング・シミュレーターが試せる部屋がある
ガラスにはプロドライバーである土屋圭市さんや大津弘樹さんのサインが書かれている
ガラスにはプロドライバーである土屋圭市さんや大津弘樹さんのサインが書かれている

システム本体はレーシングシミュレータープロショップ「D.D.R」.のもので、PlayStation4ではなくWindow PCによって稼働。イタリアのビデオゲームデベロッパーKUNOS Simulazioniが開発した「Assetto Corsa(アセットコルサ)」というソフトが使われています。映像は3枚の50インチディスプレイに映し出されます。

50インチ画面により迫力のプレイが楽しめる
50インチ画面により迫力のプレイが楽しめる
パイプフレーム筐体のWindows PC
パイプフレーム筐体のWindows PC

コースは、国内外の主要サーキットを収録。マシンは市販車からGT3、そしてF1と幅広く、豊富に選べます。憧れのマシンはもちろんのこと、車種が合えば、普段乗られている愛車で憧れのサーキットを走る、ということもできます。ちなみにほかの場所でプレイしたAssetto Corsaの車両データなどの持ち込みは不可とのことです。

鈴鹿サーキットだけでも、フルコース、西コース、東コースが選べる
鈴鹿サーキットだけでも、フルコース、西コース、東コースが選べる

SUPER GTなどで活躍されているプロドライバー、大津弘樹選手がレースで使用しているホンダ・NSX GT3でプレイしたところ、レースのラップタイムと1秒と変わらなかったということからも、その精度の高さが伺えます。

激しく雨降る中、Modulo KENWOOD NSX GT3のステアリングを握る大津選手 (2019 AUTOBACS SUPER GT Round 2 FUJI GT 500km RACEの決勝レースで撮影)
激しく雨降る中、Modulo KENWOOD NSX GT3のステアリングを握る大津選手 (2019 AUTOBACS SUPER GT Round 2 FUJI GT 500km RACEの決勝レースで撮影)

店舗ではこのシミュレーターを販売しており、お値段はセットで258万3000円(税抜・ハンドルとシート含まず)。実際に、購入を検討されている方が数名いらっしゃるそうです。

レーシングシミュレーターのシステム料金(左)とプレイ料金(右)
レーシングシミュレーターのシステム料金(左)とプレイ料金(右)

普段見かけることの少ない様々なグローブとシューズが試せる!

せっかくシミュレーターに触れても、玩具のようなシートやハンドルで本気になれない……。そんな方もいらっしゃるでしょう。こちらの店舗のシミュレーターには、ドライカーボンシェルを採用したレカロのフルバケットシート「PRO RACER RMS 2600A」(税抜45万円)、ブラックスエードが奢られたイタリアの名門・MOMOの競技車専用ステアリングと、レースの世界でも使われている物が取り付けられています。「ゲームだと思われる方もいらっしゃいますが、これはシミュレーターです。やるからには本物でないとおもしろくありません。ですので本物にこだわりました」と担当者は笑顔で語ります。

レカロのカーボン製フルバケットシートPRO RACER RMS 2600A(税抜45万円)
レカロのカーボン製フルバケットシートPRO RACER RMS 2600A(税抜45万円)
ブラックスエードが巻かれたMONOのステアリング
ブラックスエードが巻かれたMONOのステアリング

本物志向は、シートとハンドルだけにとどまりません。1日500円でプーマもしくはアルパインスターズの各種ドライビングシューズとドライビンググローブの貸し出しサービスが行われているのです。モータースポーツ用のレーシングギアは取扱店舗が少なく、また取り扱いがあったとしても種類が少ない、欲しいサイズがない、試着が難しいといったことがありますが、こちらの店舗では、手や足を通すだけでなくシミュレーターで試用ができるというわけです。有料とはいえ、実際に試用できるのは、おそらくここだけでしょう。「せっかくですので、本物を……」とは担当者の弁。もちろん気に入ったモデルがあれば購入できるのは言うまでもありません。

棚に置かれたドライビンググローブとシューズ
棚に置かれたドライビンググローブとシューズ

ところで、なぜA PITオートバックス東雲店でこのようなサービスを行おうと思われたのでしょうか?

担当者によると、「昨年11月、A PITオートバックス東雲としてリニューアルするにあたり、何か目玉がほしいと考えました。そのとき、都内にレーシングシミュレーターのある場所はいくつかあるけれど、どこも駐車場がない、ということに気が付いたのです。車好きの方が気軽に来られるようにと考えると、駐車場も完備した方が望ましい。その環境が用意できるのは私たちしかいないと思いました」とのこと。ちなみにシミュレーターにはいくつかシステムがありますが、D.D.R.を選んだのは「価格と内容の折り合いですね」とのことでした。

本物の質感に気分アップ間違いナシ!

まずプレイをする前に、お店のスタッフさんにデモンストレーションをお願いしました。エンジン音が部屋に轟かせ、筐体が前後左右に動きながら、コースをまるでミズスマシのように駆け抜けて、とても簡単そうに見えます。

富士スピードウェイのコカ・コーラ・コーナーへ侵入するスタッフさん
富士スピードウェイのコカ・コーラ・コーナーへ侵入するスタッフさん

ひと通りプレイを拝見したあと、グローブとシューズをお借りしシートに座ると、ガッチリとしてタイトなホールド感、そしてグローブ越しに伝わるスエードとハンドルの感触が何とも言えません。ミッションはパドルとフロアが選べ、ATも選択できます。常連の中には「自分用のセッティング」を見つけ出して保存されている方もいらっしゃるそうです。

筑波サーキットの第一ヘアピンへ侵入する筆者
筑波サーキットの第一ヘアピンへ侵入する筆者

さて、プレイすると……アンダーステアが出てまったく曲がりません。すぐにコースアウトしてグラベルにつかまります。「最初はみんな、こういう感じですね」と担当者は笑いながら「まずしっかりとブレーキングをして、前輪に加重をかけてください。それからステアリングを切るのです」とコツを教えていただきました。

シフトダウンやブレーキングをするとガクンと前傾に。そこからステアリングを切ると、たしかな手ごたえとともに、今度はロールします。バケットシートがとても硬いため、よれることがなくダイレクトに挙動が伝わってきました。「カーボン製バケットシートならではの感覚です。クルマの挙動がわかりやすいのではないでしょうか」という説明も納得です。ちなみにプレイする際にシート交換は不可とのことです。

レーシングシューズを履く筆者。柔らかい質感に驚きます
レーシングシューズを履く筆者。柔らかい質感に驚きます

レーシングシューズも初めて履いたのですが、スニーカーで運転するのとはまったく異なります。底が薄くて柔らかで、ペダルが滑らないどころか、吸い付いたような感覚。さらに踵のグリップ感も異なります。レーシングシューズを履いて運転したら、街乗りでも楽しくなりそうです。「底がすぐに減ってしまうので、街歩きはされない方がいいと思いますよ」とのことでした。

縫い目が外にあるレーシンググローブ越しにハンドルの質感が伝わる
縫い目が外にあるレーシンググローブ越しにハンドルの質感が伝わる

レーシンググローブは、縫い目が外にあるのか中にあるのかでフィーリングがかなり異なります。いろいろと試したところ、グレードやメーカーによって、手の平のグリップ感や指先の感覚の差がかなり大きいことがわかりました。これは実際に手を通すだけではわかりづらいところです。「普段の運転でもレーシンググローブをつけると、ハンドルが滑らなくて運転がラクになりますよ」とのこと。

プレイしている様子を後ろから見た様子
プレイしている様子を後ろから見た様子

あっという間に10分間のプレイ時間は終了。クルマを何度となく壁にぶつけてしまいましたが、途中でゲームオーバー、ということはなく、時間内なら何周でもできます。後半になるとだいぶ感覚がつかめ、もっとプレイしたい気分と、ここちよい疲れが。「初めての方は、大抵10分プレイされて慣れたころに終わります。常連の方は30分プレイを選ばれますね」だそうです。

その後、自分のクルマを運転して家まで帰ったのですが、心なしか運転が上達したような気分になりました。それはシミュレーターによって「クルマをしっかり動かすにはどういう動作をすればよいのか」が少し身についたからでしょうか。そして「グローブやシューズの感触」が忘れられず、運転しながら「買えばよかったなぁ」とも……。

サーキット走行をされる方はもちろん、モータースポーツに興味がある方や、運転を上達させたい方、そして「本物」の感触を味わいたい方はぜひ一度、同店のレーシングシミュレーターを試してみてください。

ブース内にはプロドライバーのグッズが飾られ、気分がアガること間違いナシ!
ブース内にはプロドライバーのグッズが飾られ、気分がアガること間違いナシ!

(取材・文・写真:栗原祥光 編集:木谷宗義+ノオト)

<関連リンク>
A PIT AUTOBACS SHINONOME
https://www.apit-autobacs.com/

[ガズー編集部]

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