これって本当? 車庫入れや縦列駐車でする「据え切り」がクルマを痛める
クルマを停車させた状態でハンドルを切る操作を「据え切り」と呼びます。車庫入れや縦列駐車を行う際に行いますが、かつてはステアリングに関わる機構を痛める、タイヤを痛める、ホイールアライメントが狂うなど、さまざまな理由から「行うべきではない」とされていました。
しかし、10年くらい前から、据え切りを禁じる声は小さくなり、初心者や運転に不慣れなドライバーに向けた記事や動画でも、据え切りを用いて車庫入れや縦列駐車を行うよう指示しています。JAF(日本自動車連盟)がYouTubeで配信する「JAFチャンネル」のユーザーテスト動画でも、据え切りを行っています。
なぜ、よくないとされてきた据え切りが、今では認められるようになってきたのでしょうか? JAF東京支部事業課交通環境係の高木孝さんにお話をうかがいました。
ほとんど影響はない。しかし……
単刀直入にお伺いします。据え切りをすることでクルマに悪影響はないでしょうか?
「現代のクルマに使用されている部品は強度も精度も高く、操舵機構の設計も精錬されているため、数度の据え切り程度ならば、ほとんど影響はないと言えます。しかし、据え切りによるクルマへの負担が、まったくないわけではありません」(高木さん)
以前よりも据え切りに寛容になったのは、部品の精度が上がったことによる信頼性の向上が理由。とはいえ、構造自体が変わったわけではないため、据え切りを多用し続ければタイヤの摩耗や足回りなどの破損につながることも……。
「私どもJAFでは、車庫入れや縦列駐車に特化した安全講習会を開催していますが、過去には講習車両を使って何度もハンドルを切り返し、車両間隔を身につけるカリキュラムがありました。その講習に使用する車両はタイヤの磨耗が激しく、タイヤ寿命が短かったです。これは何十人という受講者が絶え間なく、何度も何度も据え切りを行った極端なケースですが、わずかな負担でも度を超えてかけ続ければ、タイヤなどに影響が出てくるわけです」(高木さん)
それでもJAFインストラクターが据え切りを用いた方法を教えているのは、「ドライバーに落ち着いて、安全・確実な操作をしてもらうため」だそう。万一の破損の可能性よりも、まずは安全で確実な操作の方が大事というわけ。
「私どもでも、据え切りを推奨しているわけではありません。ドライバーが運転に慣れ、落ち着いて安全な車庫入れや縦列駐車が行えるようになったら、次のステップとして据え切りを用いず、クルマへの負担の少ない、やさしい運転操作を身につけてもらえればと思っています(高木さん)
安全講習会に参加するドライバーや講習動画を見るドライバーは、初心者や運転に不慣れな人がほとんど。難しい車庫入れや縦列駐車のときには、不安や焦りから周囲の安全確認がおろそかになり、操作も荒っぽいものになりがちなため、「事前に停車し、落ち着いてしっかりと安全確認をしたのちに自分のペースで確実な操作をしてもらうため、据え切りを用いた操作方法を採用している」のだそうです。
- クルマが動いている状態での慣れない操作は、焦りを招いてしまう。止まって切り返し(据え切り)を行うことで、落ち着いて操作することができる
JAFの据え切りへのスタンスは、「据え切りによるクルマへの影響よりも、ドライバーが落ち着いて、安全な運転操作のできる環境を作ることを優先する」といったものでした。据え切りによるクルマへの影響も、過度に行わなければ問題はないようです。
車庫入れや縦列駐車が苦手なユーザーも、JAFチャンネルの動画や過去に掲載されたGAZOOの記事を参考に、据え切りの使用を最低限にした運転操作を心がけましょう。
(取材・文:糸井賢一 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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