安全を気にするなら知っておきたい「自動ブレーキ認定制度」とは? JNCAPとの違いも解説!

2018年に制度が発足し、2019年4月より結果を発表

昨年(2018年)の4月1日より、「衝突被害軽減ブレーキ認定制度」がスタートしました。これは、乗用車の衝突被害軽減自動ブレーキ(AEBS)が、一定の性能を有していることを国が認定する制度です。

一定の性能とは、以下の3つの条件をクリアすることです。

1、 静止している前方の車両に対して、時速50㎞で接近したときに、AEBSが作動して衝突しない、もしくは衝突時のクルマの速度が時速20㎞以下に下がっていること。

2、 時速20㎞で走行する前方車両に対して、時速50㎞で接近したとき、AEBS が作動して衝突しないこと。

3、 1および2において、AEBS が作動する少なくても0.8秒前に、運転者に衝突回避操作をうながすための警報が作動すること。

停止している車両、走行している車両に対して衝突被害軽減自動ブレーキが作動するのかを、実際に試験を行い、合格した車両を国が認定します。

そして、制度発足から1年後となる、2019年4月に初めてのテスト結果が発表され、自動車メーカー8社(トヨタ・ホンダ・日産・マツダ・スバル・三菱・スズキ・ダイハツ)/152型式が一定の性能を持っていると認定されました。

また、その後も数台ずつですが、毎月のように追加で認定車が増えています。詳細情報は国土交通省の「衝突被害軽減ブレーキの性能評価認定結果」に掲載されているので、気になる方はチェックしてみてください。また、国土交通省は、認定を受けたことを示すロゴマークも発表しています。

国土交通省が認定する衝突被害軽減ブレーキのロゴマーク
国土交通省が認定する衝突被害軽減ブレーキのロゴマーク

ポイントは「国が認定」しているところ

実は「衝突被害軽減ブレーキ認定制度」は、「サポカー/サポカーS」制度とからめて誕生しました。

「サポカー/サポカーS」は、衝突被害軽減自動ブレーキなどの運転支援システムを搭載したクルマを普及させるために、国がスタートさせた制度です。

衝突被害軽減自動ブレーキを装備したクルマを「セーフティ・サポートカー(サポカー)」、それにペダル踏み間違い時加速抑制装置などを追加装備したクルマを「セーフティ・サポートカーS(サポカーS)」とし、その普及を呼びかけています。

ところが、この「サポカー/サポカーS」制度には、実際の試験が伴いません。あくまでどのような装置が搭載されているか示すものでしかないのです。

また、衝突被害軽減自動ブレーキ自体、まだ発展途上の技術です。

そのため、国の方針として「一定の安全効果が見込まれる水準に達した先進運転支援技術から、国際基準化を主導し、安全基準の策定を検討」することになりました。

その一方で「基準策定までの間、自動車メーカー等の求めに応じ、衝突被害軽減自動ブレーキ等の先進安全技術が一定の性能を有していることを国が確認し、その結果を公表等する制度の創設」が求められた結果、今回の制度ができたのです。

まとめると、「サポカー/サポカーS」に装備されている衝突被害軽減自動ブレーキが、一定の性能を備えていると国が確認してお墨付きを与えるのが「衝突被害軽減ブレーキ認定制度」です。技術が進化して、衝突被害軽減自動ブレーキの国際基準化が実現したときは、そちらの国際基準にバトンタッチすることになるでしょう。

JNCAP(自動車アセスメント)との違いは?

乗用車の衝突被害軽減自動ブレーキのテストといえば、すでにNASVA(独立行政法人 自動車事故対策機構)が実施するJNCAP(日本自動車アセスメント)の「予防安全性能アセスメント」が存在します。

この2つのテストは、同じように見えますが、そのスタンスは大きく異なります。

「衝突被害軽減ブレーキ認定制度」では、あくまでも「AEBSと呼ぶに足りる性能を備えている」のを認めるだけ。一方、JNCAPは、より高い性能をチェックするものとなっています。JNCAPのテストでは、車両だけでなく歩行者も対象です。しかもさまざまな速度でテストを行い、点数で評価されます。合格した車両を発表するだけの「衝突被害軽減ブレーキ認定制度」とは、内容が大きく異なるのです。

レストランに例えて言えば、保健所が「最低限度の清潔度をクリアしているから開店を許す」というのが「衝突被害軽減ブレーキ認定制度」です。一方、JNCAPのテストは、安全・安心なのは当然で、その上のおいしさを星の数で評価するミシュランガイドのようなものと言っていいでしょう。

ユーザーにとってはありがたい制度

JNCAPと比べると、内容が簡単な「衝突被害軽減ブレーキ認定制度」ですが、その存在は重要です。

JNCAPは、あくまでも自動車メーカーとは関係ない第三者という立場。一方で、「衝突被害軽減ブレーキ認定制度」は、国土交通省、つまり国が認めるということ。お墨付きという意味で、十分な重みがあります。その重みで「サポカー/サポカーS」を支え、一方で自動車メーカーが性能の低い製品を世に送り出すことを防ぐことになるのです。そういう意味で、「衝突被害軽減ブレーキ認定制度」は、ユーザーにとってありがたい制度だと言えるでしょう。

(文:鈴木ケンイチ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

<関連URL>
国土交通省・衝突被害軽減ブレーキの性能評価認定結果
http://www.mlit.go.jp/jidosha/AEBS.html
国土交通省:衝突被害軽減ブレーキの性能認定制度の創設について
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000270.html
サポカー/サポカーS(安全運転サポート車)のWEBサイト
https://www.safety-support-car.go.jp/

[ガズー編集部]

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