クルマの限界を体験!一般参加できる「モビリタ」の交通安全体験プログラム
1987年、トヨタはドライバーの安全運転技術向上を目的とした「トヨタ ドライバーコミュニケーション」プログラムを発表。全国のサーキットなどを巡回し、普及に努めてきました。そして2005年に、より多くのドライバーに参加してもらえるよう、富士スピードウェイ内に専用の施設「トヨタ交通安全センター モビリタ」(以下:モビリタ)を開設します。
モビリタでは、一般・個人ドライバーに向けたプログラムや企業・団体に向けたプログラム、そしてスーパーGT参戦ドライバーがインストラクターとなる「トヨタレーシングドライバーミーティング」など、参加するドライバーの興味やスキル、参加しやすい環境を考慮した交通安全プログラムを用意しています。
では「トヨタ ドライバーコミュニケーション」とは、具体的にどのような内容のプログラムなのでしょうか? 今回は一般・個人向けプログラム「総合トレーニング」を取材してきました。
モビリタとは、どのような施設?
富士スピードウェイで催されるスーパーGTやスーパーフォーミュラといったビッグイベントを観に行った際、専用の駐車場ではなく、東ゲート近くの広いスペースにクルマを停めたことがある人もいるかと思います。あの駐車スペースがモビリタの敷地です。
参加者は用意されたクルマを運転し、およそ10万平方メートルの広大なフラットコースという安全な環境下で、さまざまな「走る、曲がる、止まる」を体験し、クルマの限界を学びます。
あらためて知る死角の広さに驚愕!
「安全運転は、人やクルマの限界を知ること、運転環境の変化にすばやく対応できること、人を思いやることから始まる」
この一文は、冊子「安全運転プログラム『トヨタ ドライバーコミュニケーション』のご案内」に書かれたもの。この理念に基づいて、各プログラムのメニューは組まれています。
この日、取材した「総合トレーニング」では、死角の確認といった基礎を学ぶほか、あえてクルマの限界を越えた状況に陥らせ、限界付近で起こったクルマの挙動を体験します。あわせて座学で「限界付近でなにが起こったのか?」、「クルマの安全装備はどう役に立っているのか」を再確認しながら理論を学び、総合的なスキルアップを図る内容となっています。
講師は、モビリタ専任のインストラクターとして教育と訓練を受けており、受講者を飽きさせないよう身振り手振りを交え、軽快な口調で講義を進めます。
まずは始業点検の重要性を学んだのち、クルマにどれほどの死角があるのかを学びます。
画像のカラーコーンの高さは約70センチ。歩き始めた幼児や、身体をかがめた児童と同じ程度の高さです。
「多少、見えづらくなる」程度に考えていたのですが、いざ、クルマに乗り込むと衝撃的な光景が目に飛び込んできます。
サイドミラーも含め、すべてのカラーコーンが見えなくなりました。教習所で死角について習い、理解していたつもりでしたが、実際には想像以上の死角があるのだと再確認させられます。ほかにも35度バンク(傾斜地)でクルマを止め、正しい運転姿勢を学ぶなど、実技と座学を交えながら安全運転の基礎講習が行われました。
安全な場所で、限界付近や限界を越えた先を学ぶ
昼食後、いよいよ本格的にフラットコースでの講習が始まります。
- 講習車のマークXには2020年のオリンピックに向けた、特別なカラーリングが施されている。講習車として過酷に使用されるため、4年ほどで車両は入れ替えられる
講習に使用される車両は、トヨタ・マークX。特別な改造は施されていませんが、ABS(アンチロックブレーキシステム)やVSC(横滑り防止装置)といった安全装備を任意で解除できるスイッチがありました。講習車としてマークXが選ばれた理由は、安全装備の効果や限界付近の挙動を体験するには、パワーのあるFR(後輪駆動車)が適しているからだそうです。
コースには複数人のインストラクターが立ち、FMラジオで車内の講習者に指示が与えられます。
- 安全装備を解除したクルマは、予想よりもずっと遅い速度でコントロールを失ってしまう
コースの一部は散水が行われ、クルマが滑りやすい環境が作られています。乾いた路面と濡れた路面、安全装備が機能している状態と機能していない状態、低速走行時と高速走行時など、さまざまな状態からフルブレーキや旋回を行って挙動の違いを体験し、タイヤの限界や安全装備の限界を学びます。また、視界の狭まる装置を用い、飲酒により低くなった認知機能を疑似体験するプログラムも用意されていました。
この文章を読んでいると、講習は怖そうに感じられるかもしれません。けれど広々としたコースのおかげで事故のおそれがないこともあり、どの受講者も怖さを感じつつも、楽しく体験している様子でした。
最後にこの日、学んだことをおさらいする総合走行が行われます。ただ走行するだけでなく、高さを低くしたカラーコーンをトランク上に乗せ、急な加速や減速、急旋回で落とさないよう条件が加えられます。
急に吹き出す水のカーテンを避けるといった予想のできない障害もあり、カラーコーンを落とさず走り切るのは、なかなか難しいようです。
交通ルールを守ることや、安全装備の充実したクルマを選ぶことも大切ですが、本質的に安全運転を理解するには、クルマとドライバーとのコミュニケーションが欠かせない。「トヨタドライバーコミュニケーション」の根幹には、そんな思いがあるように感じられました。
2019年8月時点で、「トヨタドライバーコミュニケーション」の一般・個人向けプログラム「総合トレーニング」の受講料金は、昼食込みで1万3650円(税込)ですが、各種割引が用意されており、最大で50%の割引が適用されます。詳しくは公式サイトを参照ください。
(取材・文・写真:糸井賢一 編集:木谷宗義+ノオト)
<関連リンク>
トヨタ 交通安全センター モビリタ
https://www.toyota.co.jp/mobilitas/index.html
[ガズー編集部]
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