「何歳になっても運転がしたい!」そんな願いをかなえるベテランドライバー講習体験レポート
近年問題になっている、高齢者の方による自動車事故。アクセルとブレーキの踏み間違いや、動体視力・判断力低下による誤操作等に原因があるといわれています。とはいえ、生活や環境の問題で、体力などの低下を感じていたとしても、すぐ運転を卒業するわけにもいかない場合もありますよね。
そんなご高齢者の方々の悩みを少しでも解消するための講習が、お台場にあるMEGA WEBで開催されました。65歳以上のドライバーさんを対象にした「ベテランドライバー講習」です。
- マンツーマンで講習は行われる
新型プリウスを使って行われる講習は、所要時間60分とコンパクト。参加人数は1回4組限定で、1組につき1名のインストラクターが付き、マンツーマンでしっかりと指導してくれます。
今回はみなさんと一緒に、筆者も講習を体験してきました!
運転操作の確認と最新機能の体験ができる
気になる講習内容ですが、大きく分類すると2つのパートに分かれています。
一つ目は、基本的な動作や技術の確認です。シートポジションやアクセル&ブレーキの踏み替え方法などの基本事項のほかに、フルアクセル&フルブレーキによるABSの体験も行います。
また、車内からの死角確認を行い、自動車の性能を改めて把握し直したり、自分がどの程度自動車を扱えるか、技能面の確認をしたりしていきます。
二つ目は、「プリクラッシュセーフティシステム」や「インテリジェントクリアランスソナー」など、新型プリウスに付帯されている最新の事故被害軽減機能の体験です。
事故が起きないためにも、メーカー側ではさまざまな技術を開発しています。ただCMなどで見るだけだと、どうしても実際の機能が正しくイメージしきれないもの。講習で体感することで、イメージとの溝を埋めることができます。
「プリクラッシュセーフティシステム」を体験!
今回筆者の講習を担当してくれたのは、本部学トレーナーです。
- 担当してくれるトレーナーの本部学さん
最初に、最新の機能「プリクラッシュセーフティシステム」を試しました。こちらは別名、自動(被害軽減)ブレーキといいます。
ぶつかりそうになると自動でかかるというブレーキなのですが、今回教習で使ったプリウスでは、対人の場合は10km/h以上80km/h未満、対物の場合10km/h以上のスピードでかかるようになっています。今回は、25km/hで自動車に見立てた壁に接近。どのようにクルマが止まるのかを体感しました。
- 壁に近くなると自動でブレーキがかかる。2秒後に自動で解除されるので、ホッとして自分で踏み直すことを忘れずに。
規定位置から加速し、25km/hになったところでアクセルから足を離します。その速度のまま、壁に向かって進んでいくのですが、筆者は思わず「あっ!」と壁手前で反射的に硬直。少しだけブレーキを踏んでしまいそうになりますが、ここは我慢!
次の瞬間には、壁手前でしっかり止まってくれました。
止まった2秒後には、自動ブレーキングが解除され、再びクルマが動き出すので、運転手によるブレーキの踏み直しが必要です。でも、体験してみて、一瞬の脇見運転時などでの事故防止に有効かもしれないと感じました。
ただし、この機能が作動するには、対物の場合10km/h以上のスピードが出ている必要があります。信号待ちや高速でのだらだら渋滞中に、脇見をしていてコツンと当てるといった事故は防げません。また、状況によっては正しく作動しないこともあるそうです。
機能があっても、大前提として、ドライバーの注意力がなによりも大切なのです。
フルアクセル&フルブレーキの体験
高齢者の事故では、アクセル&ブレーキワークのミスが多いと言われています。その原因のひとつに、年齢による判断力や身体能力の低下による「踏み損じ」があるのだそうです。そこで今回はフィールド内をフルアクセルで加速し、そこからフルブレーキでABSを効かせるという停車を体験しました。
「ハイッ!」という掛け声とともにアクセル全開で加速し、ランプでの合図がついたら全力でブレーキを踏みます。この時の反応時間(秒)と、ブレーキ踏力は後ほどグラフで確認。トレーナーがお手本で走ったときの反応に比べて、どれだけ遅いか、一目瞭然で分かる仕組みになっているのです。
ちなみに1本目は、トレーナーの本部さんが合図から0.4秒でフルブレーキを作動させているのに対し、筆者は0.8秒かかってしまいました。これは主にご高齢者の方の反応と同じ速度らしく、30代の筆者は地味にショック……。
- 赤が本部トレーナー、青が筆者。あきらかに踏み込み始めるのが遅い……
ちなみに2本目の走行では、前回の遅れを意識したため、もう少し良い結果に。ちょっと安心しました。ちなみに、結果は後日コメント付で郵送してもらえるそうですよ!
車内からはどこまで見える?
最後にご紹介するのは、参加者のみなさんが「おお!」と驚いていた、車内からどこまで直接目視で確認ができるかのチェックです。
クルマの周囲に置かれたコーンの高さは約70cm。これはよちよち歩きのお子さんとほぼ同じ高さとのこと。
- 3色のコーン。車外から見ると存在感があり、見落とすわけないと思いそうだが……
しっかり目視確認をしていても、小さいお子さんだと死角に入りやすいために見落としてしまい、悲しい巻き込み事故へとつながってしまうことがあります。
- 車内から確認すると、赤コーンは完全に見えず、他の色もかなり確認するのが困難なのがわかる
- 運転席に座りながら身を乗り出してみると、なんとかコーンが確認できる。それでも、赤いコーンはハッキリ見ることができなかった
今回の確認で使ったクラウンでは、車体とその周りを含めた360°をカメラで画像認識できる「パノラミックビューモニター」が搭載。これを使って死角もしっかり確認することで、見落とし防止の回避につながると同時に、ゆっくり発進することで大事故を防ぐことにつながるのだそうです。
- 360°をカメラで画像認識できる「パノラミックビューモニター」。車両の前後左右にカメラが設置されている
自分の運転を客観的に判断する機会に!
その他にも、後部座席に人がいてもしっかりクルマの後ろが見渡せる「デジタルインナーミラー」や、駐車場での発進などの際、アクセスとブレーキの踏み間違による加速を防止する「インテリジェントクリアランスソナー」などを講習内で紹介。最新の安全機能をあますことなく体験できました。
- 「デジタルインナーミラー」後部座席に人や荷持があっても、車体後部についたカメラが、バックミラーの液晶に後方風景を写してくれる
安全運転は日々の心がけから。あわせて、新しい機能を学びながら、たまにはプロの目線から運転技術を見直してみると、意外な発見があるかもしれませんよ。
【次回開催日】
9/23(月・祝)、10/13(日)、11/10(日)
※変更になる場合があります。必ずMEGA WEBホームページにてご確認ください。
(取材・文/おおしまりえ 編集/ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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