ホンダのレトロなEVに最速ランボルギーニも。フランクフルトモーターショー2019でデビューした注目の市販車

いまや欧州の金融の中心になりつつある、ドイツのフランクフルト。そこで2年に一度開催される国際的なモーターショーが「IAA(Internationale Automobil-Ausstellung)」、通称フランクフルトモーターショーです。ドイツと言えばフォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツ、アウディ、そしてBMWなど世界的な自動車メーカーが存在する国。もちろんモーターショーでは、ドイツを中心とする欧州メーカーが新型車を数多くお披露目しました。

今回は、現地取材で気になった注目の「最新市販車」を紹介しましょう。

フォルクスワーゲンの次世代を担う電気自動車「ID.3」

ドイツでもっとも大きな自動車メーカーがフォルクスワーゲン。最量販モデルであるゴルフの新型デビューを控えていますが、ここで発表したのは「ID.3」というニューフェイス。なんと車体から専用設計された電気自動車(EV)です。

フォルクスワーゲンによると「新しい時代のフォルクスワーゲンを担っているモデル」となるのだとか。このモデルの発表に合わせ、なんとフォルクスワーゲンのロゴまで新しくしたエピソードからも、いかに力を入れた新型車なのかが伝わってきますね。車体はゴルフサイズで、駆動方式はなんと後輪駆動(後輪を動かして路面に力を伝える仕組み)というから驚き。

日本でも2020年から発売? ホンダの電気自動車「Honda e」

こちらは日本メーカーであるホンダの電気自動車。都市内移動を考えたコンセプトで、電気自動車専用設計とした全長4mを切るコンパクトな車体に航続距離220kmのシステムを搭載しています。キーの代わりにスマホでドアロックが解除できたり、システム起動ができたりするなど搭載された新しいアイデアも斬新。2020年には日本でも発売されるとも言われています。

単なる偶然なのでしょうか? なんと、このクルマもフォルクスワーゲンの「ID.3」と同じく、前輪駆動ではなく後輪駆動です。ホンダが乗用車に後輪駆動を採用するのは、20年前(1999年)に発売したスポーツカーの「S2000」以来なんですよ。どことなくレトロ感が漂う、キュートなスタイルも魅力ですね。

ポルシェ初の電気自動車「タイカン」は速さが自慢

ポルシェも市販する電気自動車を出展。ショー開幕直前に発表され、モーターショーが実質的なお披露目の場となりました。実は、ポルシェが電気自動車を市販するのは初めてとのこと。大きなセダンのボディで、同社の「パナメーラ」に近い車格ですね。

高出力モデルの「Turbo S」の最高出力は761ps。これはなんと一般的な軽自動車(自然吸気エンジン)約13台分に相当。最大トルクは1050Nmと軽自動車(自然吸気エンジン)の16台分もあります。停止状態から時速100kmまでは、わずか2.8秒で加速し、最高速度は260km/hとか。とんでもない速さです。

どうやら電気自動車でも、エコより速さをアピールするのがポルシェ流のようですね。

あのMINIからも電気自動車がデビュー

日本でも人気の「MINI」からも電気自動車がデビューしました。ミニの電気自動車はかつて少量が作られてテストされたことがありましたが、今回は量産モデル。グレード名としては「クーパーSE」と呼ぶようです。

専用デザインのフロントグリルやホイールが用意されているほか、メーターも通常のエンジン車とは異なる全面液晶タイプになっていました。

ランボルギーニ史上最速の「シアン」は限定わずか63台

こちらは電気自動車ではありませんが、ランボルギーニ初のハイブリッドモデルという肩書を持つスペシャルモデル。同時にランボルギーニ史上最速だそうです。

同車のフラッグシップモデル「アヴェンタドール」をベースとしたいわばスペシャルモデルで、排気量6.5LのV12エンジンはなんと785 ps。そこにモーターを組み合わせ、システム出力は819psというモンスターですね。最高速は350km/h以上。価格は日本円で約2億5000万円とのことですが、限定生産台数63台は発表前に完売なのだとか。包み隠さず正直に言うと、買える人がうらやましい!

ついに「ディフェンダー」の新型がデビュー

イギリスのSUVメーカーと言えば「ランドローバー」ですが、その原点と言えるのは1948年にデビューした「ディフェンダー」。わずか3年ほど前まで、まるで生きた化石状態のクラシックなモデルが作られ続けていましたが、ついに新型がデビューしました。写真はショートボディの3ドアですが、もちろんロングボディの5ドアも用意しています。

先代がクラシックなスタイルのまま長く作り続けられていたという意味ではメルセデス・ベンツの「Gクラス」と同様。ですが、Gクラスがフルモデルチェンジしても外観デザインの変更がほぼなかったのに対し、こちらはすっかりモダンになったのが対照的です。

モダンなのにどこか懐かしい感覚は「Honda e」にも近いですね。果たして、熱狂的なファンはどう反応するでしょうか?

ライバルは「パナメーラ」? BMWの大型スポーティサルーンが登場

「8シリーズグランクーペ」は、大型クーペの「8シリーズ」をベースにした4ドアセダン。いわゆる「クーペスタイルのセダン」で、ライバルはポルシェ「パナメーラ」やメルセデス・ベンツ「AMG GT 4ドアクーペ」で、それらに宣戦布告というわけです。

BMWのフラッグシップサルーンと言えば伝統的に「7シリーズ」ですが、「それでは退屈。もっと若々しく」という人のための大型セダンですね。

こうしてフランクフルトでお披露目された注目の新型車を見ていると、やはり電気自動車に力を注いでいるメーカーの姿勢が伝わってきます。その理由は社会的なアピールだったり、来年からグッと厳しくなるメーカー平均値で計算される燃費規制(クリアできないと膨大な罰金をとられる)で状況を有利にするためだったりということでしょう。

しかし一方で、ハイパフォーマンスカーも開発するのは「エコばっかりじゃなくて、エンジンをブイブイいわせるクルマも忘れないよ」というクルマ好きに向けたメッセージなのかもしれません。

(文:工藤貴宏 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

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