輸送業界も「持続可能」がキーワードに。「ITV次世代ビークル展」で見た環境対応製品

2019年10月1日(火)~3日(木)の3日間、千葉県千葉市の幕張メッセで、トラック、バス、トレーラーといった“働くクルマ”の次世代技術を公開するイベント「ITV次世代ビークル展」が行われました。「新しいトラックショー」をテーマにしたこのイベントは、特装車からMaaSまでさまざまな企業が、自社の取り組みをアピールするもの。展示物の関係から、来場者は企業関係者が多いのが特徴です。

今回は、その中から環境保護や持続可能な社会に向けた技術に注目しました。輸送業界でも、SDGs(持続可能な開発目標)を意識した、社会や環境に配慮したものを使うことに関心が強くなっています。

トラックの床材を環境に配慮した竹材に! 信和自動車工業の試み

トラック部品を開発・販売している「信和自動車工業」のブースでは、数ある自社のトラック部品をあえて紹介せず、ただ一点のみ、「竹床材」をアピールしていました。ブースのゲートにあったキャッチコピーは「まだ、『アピトン床材』ですか?」。アピトンとは、現在トラックの床材としてメジャーな東南アジア原産の木材です。このアピトンが今、大きな問題になっているそうです。

「床材に使うアピトンは、一般的に樹齢60~80年のものを使います。伐採したあとは森林を休ませなくてはいけないのですが、需要が増えている影響で森林の復活が間に合わなくなっていて、違法伐採などが横行し、重大な環境問題になっています」と担当者。

その問題を解決するために同社がおよそ10年前に開発したのが、竹を利用した床材「グリーンボード」です。アピトンより10%軽く、丈夫で長持ち。そして、成長速度の早い竹を使うことで、大量生産しても環境負荷が少ないことが大きな特長です。

担当者は、「竹は4~5年で材料として使えるようになります。さらに、どこでも生えるので持続可能な森林管理が容易なのです。おまけに丈夫なので、使えば必ず満足いくものになっていると思います」と話します。

トラックの床材は通常、5年前後で交換となりますが、運送業界は変化を嫌う保守的な会社が多く、「いつも通りアピトンで」というオーダーが多いそう。今回、同社が竹床材一本に絞って出展したのは、その保守的な意見を「実際に見て変えて欲しい」という願いがあったとのことでした。

洗車ができて発電効率もいい車載ソーラーシステム

太陽電池のメーカーの「Miasolé」とバックミラーなどを製造する部品メーカー「村上開明堂」の合同ブースでは、次世代の大型車向け車載ソーラーシステムをアピールしていました。

ソーラーパネルの電力を使ってリフトやエアコン、コンテナの冷蔵庫、その他トラックの機能を車載バッテリーに代わって担当させるものですが、今回のアピールポイントはソーラーパネルそのものにあります。現在、広く普及しているシリコン結晶系のパネルとは違う、「Miasolé FLEX」という独自規格を採用しています。

担当者にその性能を聞くと「Miasolé FLEXは柔らかく、軽く、さらに薄いという特性があります。発電効率もいいので、小規模で済むのも魅力です。また、耐久性が向上しているので、従来のシリコン系では不可能だった洗車機等の水洗いにも耐えられます」とコメント。

すでにDHLのトレーラー車や、ノルウェーの大手バス会社が使用しており、燃費が5~10%向上した成功実績があるそう。また、エンジン始動をバッテリーではなくソーラーパネルからの電力に頼れるので、バッテリーも長持ちするそうです。

「原油価格の変動が激しいので、燃費の節約は魅力的だと思います。また、その分CO2を削減できるので、環境保護を重視する企業というアピール材料にもなります」と担当者。2030年に政府が実現を目指している「エネルギーミックス」に関する取り組みのひとつとしてアピールしていきたいとのことでした。

いままで廃棄されていたバッテリーを蘇生して使用するという提案

今まで消耗品だと思われていたものを再利用してはどうか、と注目する企業もあります。「関越エコロジー」ではこれまで使い捨てだったバッテリーを蘇生するシステム「BRE-1」を公開していました。

運送業でのバッテリーの寿命は3~4年といわれ、現在日本では年間約2,400万個の使用済みバッテリーが発生しています。バッテリーは鉛を取り出したあと廃棄されますが、大半のものは硫化鉛が結晶化して電流の流れが阻害され、電力が落ちているだけだそう。その硫化鉛の結晶を分解させ、再度バッテリーを使用可能にしようというのが「BRE-1」です。

担当者は「操作はタッチパネル式で、簡単です。専門知識も必要ありません。作業中に出る有害なミストはすべて作業ケース内に排出され、中和されるようになっています。家庭用のプラグでも使用可能です」と話します。このシステムを使うと数回はバッテリーの再利用が可能で、内部より外側の劣化でバッテリーが交換時期になることが多いとのことでした。すでに、何社かの運送会社が実験的に同システムを試しているそうです。

環境関連のほかには、2025年には到来するといわれている、日本の人手不足問題に着目した、重労働を少人数で代行できる製品などの紹介もありました。トラック・トレーラー業界にとって環境や雇用を含めた、持続可能な社会の実現はかなり大きな課題になっているようです。

(取材・文・写真:斎藤雅道 編集:木谷宗義+ノオト)

<関連リンク>
次世代ビークル展 ITV(株式会社日新)
http://www.truck-x.com/2019itv/

[ガズー編集部]

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