LINEカーナビの特徴は? 車載ナビではなくスマホナビを前提としたクルマ作りのメリットとは?

みなさんは、クルマで移動中にどんなカーナビを使っていますか?

最近は、車載カーナビではなくてスマホナビを活用する人が増えていますね。実は、自動車メーカーもそんな世の中の流れに対応しているのをご存知でしょうか? たとえば最近の新型車のカーナビの多くは「CarPlay」や「Android Auto」といったカーナビとスマホを接続する仕掛けに対応していて、クルマに備え付けのディスプレイに「Google マップ」などスマホのナビをカーナビ画面に映して使うことができます。もちろん、操作もクルマ側からできますよ。

さらに時代を反映しているのがトヨタ。新型カローラシリーズなどでは、車載カーナビを前提とすることなく、スマホナビの接続をメインとするシステムを標準装備しています。ここ20年近くの日本車は車載カーナビの搭載を前提として作られていましたから、そこから踏み出したのは大きなニュース。では、どんなシステムが搭載されているのでしょう?

新型カローラに装着されているのは「ディスプレイオーディオ」と呼ばれる、タッチパネル画面付きのオーディオユニット(車載ナビはオプション設定)。そのディスプレイオーディオは、わざわざ車載ナビを装着しなくても、スマホを接続することでナビとして機能する仕掛けです。

スマホナビのアプリの定番といえば、最速ルートを誘導するのが得意だけどときどきマニアックすぎるルートを教えてくれる「Google マップ」や親切で安定した道案内に定評のある「Yahoo!カーナビ」。いずれもアプリの使用は無料ですが、トヨタ車のディスプレイオーディオへ接続時にはトヨタへ追加料金を払ってオプション(「CarPlay」「Android Auto」接続対応機能)の開始が必要となります。

無料でスマホナビが使える「LINEカーナビ」

いっぽうで、無料でトヨタ車のディスプレイオーディオへ接続して使えるスマホナビアプリも用意されています。それが「LINEカーナビ」。

トヨタ独自ではなく、コミュニケーションアプリでおなじみ「LINE」が提供するサービスですが、実はトヨタのナビの仕掛けを利用。渋滞情報などもトヨタのデータを活用しています。そこへ、LINEが展開する音声入力AIアシスタントの「Clova(クローバ)」を組み合わせているのです。

もちろん地図は常に最新のものが提供されるし、プローブカーデータ(走行している車両から集めたリアルタイムの通行データ)を活用しているから到着予測時刻も正確。ルートは「有料道路使用」と「有料道回避」が選べますが、いずれもその時の交通状況を反映した“目的地までの最速ルート”を教えてくれます。

LINEカーナビの強みとは?

そんなLINEカーナビの特徴であり、最大の強みが(基本的には)音声入力だけで操作を完結できること。AIスピーカーの技術をいかし、人間の話した言葉を理解してナビに反映。手で操作する必要がないから、安全運転につながるというわけですね。

たとえば目的地入力は「ねえ、クローバ」と呼びかけ、続けて「お台場のメガウェブに連れてって」などと目的地をナビに語りかければOK。これだけで目的地を認識し、ルートを提案してくれます。音声認識率の高さもなかなかの実力。さすが、AIスピーカーの技術と感心します。

そのほか、こんな機能も活用できる

単にナビとして機能するだけに留まらないのも、LINEカーナビの特徴。LINEのアプリだけあってLINEメッセージの送受信(届いたメッセージを読み上げ、音声認識でメッセージを作成し音声操作で送信できる機能で現在はグループメッセージのみ対応)ほか、ニュースや天気予報を読み上げてくれたり、スマホでラジオを聞くアプリの「radiko」を操作したり、さらにはインターネットに接続している家の家電まで操作できたりと、インターネットとの連携も強みです。

ちなみにスマホと車両の連携はSmartDeviceLink(SDL)と呼ぶオープンな規格(機能としては「CarPlay」や「Android Auto」に近い)を利用しています。各自動車メーカーがプロジェクトに参画しているので、今後はトヨタ車だけに限らず、多くのメーカーの車両に搭載されるでしょう。

今後はディスプレイオーディオが主流に?

トヨタでは新型カローラに続き、最新の「カムリ」や「C-HR」、来年2月から発売される「ヤリス」にもディスプレイオーディオを搭載。車載カーナビを取り付けなくても、無料でスマホナビをクルマで使える環境としています。

実はこのディスプレイオーディオにスマホナビを接続する方法は、欧州や北米をはじめて世界各地ではごく一般的な利用方法。実は、世界的には高級車を除いて車載カーナビはあまり装着しません。ついにその波が、車載カーナビが世界一普及していると言われる日本にも押し寄せてきたといえるでしょう。

ところでユーザーにとってスマホナビを前提としたクルマ作りの最大のメリットはなんでしょうか?

それは、ナビを使うにあたっての出費が減らせることです。数万円から十数万円もする車載ナビをオプションとして買う必要がなくなるのですから。

カーナビ装着を前提としないトヨタの新型車でも、現時点では従来ながらの車載ナビをもディーラーオプションとして用意しています。スマホナビに馴染めないという人はそちらを選ぶといいでしょう。

(文:工藤貴宏 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

<関連リンク>
LINEカーナビ
https://carnavi.line.me/

[ガズー編集部]

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