ホンダS800で「COPPA DI TOKYO 2019」に参戦して見えたクラシックカーラリーの醍醐味

さまざまなカーイベントが開催されている昨今、多くのクルマ好きやオーナーが自分の好きな車種やジャンルのイベントに参加されていることでしょう。その中のひとつに、クラシックカーラリーがあります。

ラリーといってもWRC(世界ラリー選手権)のように、公道を封鎖したSS(スペシャルステージ)でコンマ1秒のタイムを競うのではなく、華やかなクラシックカーの祭典として、多くの沿道の方々に見守られながら街中を走るものです。

では、具体的にどんなことが行われているのでしょうか? 今回はナビゲーターとして同乗し、参加者の目線で追ってみることにしました。

イタリア街を中心に開催されるCOPPA DI TOKYO

2019年11月23日(土)、東京・汐留のイタリア街と言われる一画でクラシックカーラリー、「COPPA DI TOKYO(以下:コッパ ディ 東京)が開催されました。このイベントは、1991年に信州八ヶ岳で行われた「COPPA DI KOUMI(コッパ ディ 小海)に端を発するもの。2007年より開催され、今回で12回目になります。

汐留イタリア街を埋め尽くすクラシックカー
汐留イタリア街を埋め尽くすクラシックカー

参加対象は、1965年までに製造された車両と1966年以降の主催者が参加を認めたスポーツカー。これらを6つのクラスに別けてA~Eクラスとされていたほか、今年は「カロッツェリア ザガート」の100周年を記念してZクラスが設けられました。ザガートがデザインした車両、開発に関与した車両で、「CLUB Zagato Giappone」が認めたものが対象となります。

アルファロメオ、MG、ポルシェ、アストンマーチンなど名車が並ぶ
アルファロメオ、MG、ポルシェ、アストンマーチンなど名車が並ぶ

出発地にはオーテック・ザガート「ステルビオ」の姿も

今回、筆者はホンダ「S800」でエントリーする、福田氏に同行しました。福田氏は「仕事柄、長期休暇を取ることはできませんが、コッパ ディ 東京は1DAYイベントで、会場も自宅から遠くないのでエントリーすることができました。海外製のクルマが多い中、S800で参加することに意義があると思っています」と話します。

筆者がナビゲーターとして同乗した福田氏のホンダ「S800」
筆者がナビゲーターとして同乗した福田氏のホンダ「S800」

コッパ ディ 東京は年々、注目度を高めており、今年は120台を超える過去最高の参加台数となったそう。当日はあいにくの天候となったものの、イタリア街から溢れんばかりのクラシックカーが集まりました。テーマがザガートということもあり、さまざまなカロッツェリア ザガートの手になる作品が出走を待ちわびています。

ザガートが手掛けた「フィアット・アバルト 750GT ザガート」
ザガートが手掛けた「フィアット・アバルト 750GT ザガート」
オーテック・ザガート「ステルビオ」。日産とザガートのコラボレーションで1989年に生まれた
オーテック・ザガート「ステルビオ」。日産とザガートのコラボレーションで1989年に生まれた

名車と呼ばれるザガートの作品が並ぶ中、筆者が注目したのは、こちらの黒いクルマ。名をオーテック・ザガート「ステルビオ」と言います。日本のオーテックとザガートでコラボしたモデルで、ベースモデルは日産「レパード(F31型)」です。フェンダーにボンネットと一体化したミラーを持つ、現代においても極めて特殊なデザインが採用されています。

ついにスタート!始めからミスコース……

出走受付を終え10時になるといよいよスタートです。ラリーである以上、その進路はコマ地図により指示をされます。渡されたコマ図に従ってルートを進んで行き、再びイタリア街へ戻って来てゴールです。

このコッパ ディ 東京では、一般的なラリーのようなチェックポイントまでの時間計測はありません。ですが、もちろんただルートを走るだけではなく、途中にはPCと呼ばれる時間計測区間があり、指定された距離(十数メートル)を指定時間で走るというものです。

コマ図にしたがってドライバーに指示を出すのがナビゲーターの仕事
コマ図にしたがってドライバーに指示を出すのがナビゲーターの仕事

このPCで順位が決まりますが、結果を競う競技というよりクラシックカーオーナーの社交場という意味合いの強いイベントであるため、真剣に臨む人もあれば、あまり気にせず通過する人もいます。中には、ナビゲーターとタイミングがうまく図れずに、苦戦するチームも。筆者も、ドライバーである福田氏となかなかタイミングを取ることができませんでした。

イベントコースは、東京都心を約2時間で回るように設定されていますが、筆者の乗るS800 は走り始めて数分でいきなりコースを見失うアクシデント……。頼りはコマ図だけなので、自分がどのぐらいコースから外れているかもわかりません。

しかし、救いはあるもので、たまたま前に出てきたジャガー「Eタイプ」が、我々の先導役を担ってくれました。どうやらベテランの方らしく、すぐにミスコースに気が付いた様子。おかげで無事にコースへと復帰ができました。

ジャガー「Eタイプ」の先導によりコースに復帰できた。感謝!
ジャガー「Eタイプ」の先導によりコースに復帰できた。感謝!

コースには数カ所のチェックポイントがあり、必ずそこを通らなければなりません。そうしたチェックポイントでは、協賛スポンサーの商品や地元の特産品などを受け取ります。クルマ関連に限定されないところが、コッパ ディ 東京のいいところです。最後のチェックポイントである柳橋の小松屋さんで、小さな包みをいただくと、そこには佃煮が。

神田明神では安全祈願のお祓いを受けた
神田明神では安全祈願のお祓いを受けた

この日はほかに、神田明神で安全祈願のお祓いを受け、今戸神社(沖田総司の最後の地として知られる)ではおみくじを引くなど、東京を楽しむポイントが設けられていました。

クラシックカーの醍醐味は「楽しむこと」

アクシデントはあったものの、福田氏と筆者を乗せたS800は、無事に汐留イタリア街に戻ってくることができました。

イタリア街へと戻ってくる参加車たち
イタリア街へと戻ってくる参加車たち

「ご夫婦でご参加の皆様、くれぐれも夫婦喧嘩をされませんように」とは、福田氏が以前に参加した沖縄のラリーで主催者が語ったことだそうですが、中には熱くなって喧嘩をしてしまうペアもいるのでしょう。しかし、クラシックカーラリーは決して難しい競技ではなく、「楽しむこと」が大切なのだと、今回のコッパ ディ 東京を通じて感じました。

フェラーリ・365GTB/4の姿もあった
フェラーリ・365GTB/4の姿もあった

もちろん、参加するならば優勝を狙いたいものですが、こうして走り終えてみると、コマ図だけではなく、街並みを見ることの大事さに気づかされます。沿道の方々に見送られ、その街を走りながら知る。それこそがクラシックラリーの楽しみではないでしょうか?

(取材・文・写真:きもだこよし 編集:木谷宗義+ノオト)

<関連リンク>
COPPA DI TOKYO
https://www.coppa-di-tokyo.com/

[ガズー編集部]

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