マツダ・タイタン トラックが走る海の家に!「lunch stand tipi(ティピ)」の情熱キッチンカー

キッチンカーだけど、キッチンカーと呼んでいいものか戸惑ってしまう木の佇まい。都内近郊で開催されるイベントに引っ張りだこの「lunch stand tipi(ティピ)」の車体は、まるで「海の家」のよう。マツダ「タイタン トラック」を改造した店には、キッチンカーに対する店主・葛西朋彦さんの並々ならぬ情熱が秘められていました。

「海で仕事がしたい」という思いから始まったキッチンカー

以前はケバブ屋で働いていた葛西さん。2008年に独立し、「lunch stand tipi」の前身である、ホットサンドのキッチンカー「sunny wood cafe」を夫婦で始めたそう。

店主・葛西朋彦さん
店主・葛西朋彦さん

「もともと『海で仕事がしたい』、『海の近くで店をやりたい』という夢を夫婦で抱いていました。そこで海辺に出店できるものは……と考え、移動販売に思い至りました」(葛西さん)

移動販売を最初に始めた当時の様子
移動販売を最初に始めた当時の様子

転機が訪れたのは2010年頃。ランチタイムには「ごはんもの」のメニューが出ることを実感し、タコライスを1品追加。これがヒット商品となり、屋号やメニューもリニューアル。現在はタコライスをはじめとした南国創作料理を販売しています。

クルマの装飾も、当時は伊豆の川で拾ってきた流木を使ってアレンジしていたそう。葛西さんの中で、ずっと「海の家のようなキッチンカー」を追い求めていたのです。ちなみに、現在稼働する3台を含め、計6台のキッチンカーを今まで所有してきたとか。

2代目のキッチンカー。現在のタイタンの装いに通じる「海の家」感を出している
2代目のキッチンカー。現在のタイタンの装いに通じる「海の家」感を出している

現在は神田にある実店舗とともに、平日はスズキのエブリイとキャリイ、2台のティピカーにてランチを販売中。どちらも自然や海が連想できるようなデザインです。休日は大きなティピ・タイタン号でフェスやイベントに出店しています。

平日都内で販売するティピ・キャリイ号
平日都内で販売するティピ・キャリイ号

本格的な「走る海の家」を模索し、実現

一番思い入れのあるキッチンカー「ティピ・タイタン号」の母体となるマツダ・タイタン トラックを購入したのは2016年。

「今までは流木など目立つ装飾をしてきましたが、今度は『大人の木のカフェ』というイメージで、誰もやっていないキッチンカーを作ることにこだわりました」(葛西さん)

「タイタン トラック」を自分たちで塗装。色はトヨタ「ランドクルーザー」のベージュ色を選択
「タイタン トラック」を自分たちで塗装。色はトヨタ「ランドクルーザー」のベージュ色を選択

多くのカフェを巡り、海辺に立つ木の温かみを感じるおしゃれなカフェ、といったイメージを固めた葛西さん。まず水回りを専門業者に依頼。出来上がった車両を、葛西さんやスタッフで塗装をしました。色は、以前より「かっこいい」と思っていたというトヨタ「ランドクルーザー」のベージュ色。

塗装を終え、引き渡したのは千葉県のトレーラーハウスなどを製作する会社。こちらでイメージを具現化していきました。木材は、屋外に強いということから、レッドシダーが用いられています。

ティピ・タイタン号の製作途中
ティピ・タイタン号の製作途中

「キッチンカーの中には、『クルマとテント』といった感じで、クルマとコンセプトが“分離する形”になっているものも見かけますが、私は、ちゃんとクルマとして、移動販売車として、美しいかっこいいものを目指していました。その辺を細かく製作会社に伝え、『とにかくかっこよく仕上げてくれ』とオーダーしました」(葛西さん)

「かっこいいカフェはタイルがある」ということから、蛇口の前は白いタイル貼りに。「タイルを使いたい」という要望は他にもあるそうですが、移動中の振動による破損の可能性などで手を出せない人が多いそう。けれど葛西さんは、タイル風デザインではなく、本物のタイルで!と希望しました。

水まわり前は白いタイルが貼られている
水まわり前は白いタイルが貼られている

海の家感を感じる屋外装飾にもアイディアが光ります。ティピ・タイタン号は、男女1名ずつでドリルなどの工具を使わず10〜15分ぐらいで組み立てるような仕組み。柱と壁の板が左右1枚ずつと、前のカウンターという構成で、車体の木の部分にすべてはめ込んでいくような形です。

屋外装飾の組み立て風景
屋外装飾の組み立て風景

車体の購入から完成までおよそ6カ月、約500万円(車両代込み)ほどかかったそう。けれど、それだけの労力・コストをかけた分、他に類を見ないキッチンカーになりました。

ティピ・タイタン号の様子
ティピ・タイタン号の様子

「お客さんからは『すごい!』、『どうなっているの?』という驚き声をよくいただきます。同業者からも、『写真を撮ってもいいですか?』と声をかけられますね。移動販売をしていると、荷物がすごい量になるのがわかっているから、やりたくても手を出せない人が多いみたいです。でも、どうしても、“見せる、見させるキッチンカー”を作りたかったので満足しています」(葛西さん)

どうしてもこんな形にしたい! そんな葛西さんの強いこだわりを具現化したキッチンカー。週末、どこか都内のイベントでティピ・タイタン号を見かけたら、その圧倒される「海の家」感をぜひ味わってみてください。

(取材・文:別役ちひろ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

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