ル・マン勝利にかけた男の友情!アカデミー賞最有力映画『フォードvsフェラーリ』レビュー

世界三大レースの1つに数えられる「ル・マン24時間耐久レース(以下:ル・マン)」は、1923年にそのルーツとなる耐久レースが開催され、100年近くの歴史を持つレースです。ドライバー選手権の色合いが強い「F1」に対し、ル・マンはメーカー選手権としての要素が強いため、ル・マンでの優勝は、自動車メーカーにとって最高の名誉とブランド価値をもたらすと言われます。

このル・マンを舞台にした映画が、2020年1月10日(金)に公開された『フォードvsフェラーリ』。歴史の長いル・マンの中でも、伝説として語り継がれる1966年のレースを題材にした作品で、クルマ好きはもとより、映画好きにも十分すぎるほど楽しめる映画となっています。

『フォードvsフェラーリ』あらすじ

舞台は1960年代のアメリカ。気鋭のカーデザイナーとして活躍するキャロル・シェルビー(マット・デイモン)のもとに、アメリカ最大の自動車メーカー、「フォードモーター」から思いがけないオファーが届く。

それは、ル・マン24時間耐久レースで、モータースポーツ界の頂点に君臨する「フェラーリ」に勝てるマシンを作ってほしいというもの。ル・マンで優勝した経験を持ちながらも、心臓病によりリタイヤを余儀なくされたシェルビーは、破天荒な一流レーサーのケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)の元へ向かう。

レースへの純粋な情熱を共有するシェルビーとマイルズは、史上最高のマシンを生み出すために協力し、いつしか固い友情で結ばれる。前哨戦で結果を出し、いよいよ決戦の地、ル・マンに乗り込んでいく。マイルズのマシンがライバル、フェラーリとの壮絶なデッドヒートを繰り広げる中、理不尽な大企業の論理を振りかざすフォード副社長が横やりを入れてくるが…。

見どころは、レースだけにあらず

本作の魅力は、いわゆる自動車映画にしっかりついている「激しくも見応えのあるレースシーン」だけではありません。むしろ、レースを軸とした、人間ドラマがおもしろい作品です。

ストーリーの軸は、フォードが打倒フェラーリに燃え、シェルビーとマイルズが挑んでいく熱い自動車ドラマですが、それを彩る人物がとにかく魅力的。クルマやレースに詳しくない人でも、すんなり理解できるように描かれています。

シェルビーは元ル・マン優勝レーサーながら、心臓の病によりレーサー生命を絶たれ、しかし今もレースに熱い思いを抱いている男。マイルズは、ドライビングテクニックは抜群ながら、人の言うことはきかず、喧嘩っ早くて、誰もが扱いにこまる曲者。

会わせるだけでトラブルが起きそうなこの2人に加え、大企業気質が色濃く残るフォード社の圧力が加わり、2人はそれをなんとかかわしながら、妥当フェラーリに向かってひた走ります。

優勝という道のりを歩む中で築かれる、シェルビーとマイルズの深い友情。もちろん、これは感動必至ですが、同時に主人公を取り巻く人たちの泥臭さや優しさが、それぞれ魅力的でグッときます。

マイルズの妻の苦悩と支え、父と息子の憧れと距離感。そして、フォード二世の執念にフェラーリの王者としての嫌味ったらしいほどのプライドなど、クルマ映画なのに、これでもかと人間模様が詰め込まれています。誰もが見てものめり込め、そして楽しめる映画になっていると言えるでしょう。

「もう一度観たい」と思わせる内容

今回、筆者は字幕版を鑑賞しましたが、メカニックなどの専門用語が多用されておらず、同時に「これは!」と思う光る台詞が多いことが印象的でした。こうした部分も、アカデミー賞最有力といわれる理由なのでしょう。

事実に基づいた映画のため、分かる人はすでに結末を知っているかもしれませんが、結末を知っていたとしても、「もう一度観たい」「もう1回あのシーンを見直したい」と思わせるほど、内容盛りだくさんの「フォードvsフェラーリ」。

クルマ好き同士で観るもよし、クルマに興味のない家族と一緒に観るもよし、一人で観て胸に熱い炎を燃やすもよし。ド迫力の映像を、ぜひ映画館で鑑賞してみてください。

『フォードvsフェラーリ』
2020年1月10日(金)全国ロードショー
配給: ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation
http://www.foxmovies-jp.com/fordvsferrari/

(取材・文:おおしまりえ 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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