トンネル内の「ジェットファン」を開通目前の阪神高速6号大和川線で見てきた

阪神高速6号大和川線が、2020年3月に開通する予定となっています。開通すると松原ジャンクションから堺浜まで、これまで44分かかっていたのが、約15分に短縮されるという重要な高速道路です。

さらに大和川線が完成することにより、大阪都市部の高速道路が環状になるため、沿岸部とのアクセス性が大幅に高まります。

そんな大和川線のトンネル内の空調設備は、パナソニックが手がけています。高速道路のトンネルの中に、ジェットエンジンのような大きなファンを見たことがあるでしょう。まさにあれが、パナソニックの設備なのです。今回、トンネルの開通前に、それらの空調設備を見せてもらいました。

トンネル内の空気をハイパワーで吹き飛ばす

最初に見たのが、トンネルの天井に取り付けられている巨大な「ジェットファン」。高速道路のトンネル内には、排気ガスや粉じんの混ざった空気が充満しています。それを進行方向に向かって強制送風するのが「ジェットファン」の役割です。また、その空気用集塵機で、空気を綺麗にして排風機で屋外に排出します。

全長2.5mの大きなジェットファン。これが一定区間ごとに設置される
全長2.5mの大きなジェットファン。これが一定区間ごとに設置される

大和川線の場合は、10kmのトンネル内に5カ所の換気所が配置されています。そこで汚れた空気や排気ガスを処理しているというわけ。

今回、大和川線トンネル内に取り付けられたジェットファンは、全部で78台。直径1.3m、長さ2.5mで、重量は1.5トン。これが、毎秒35mの風を作り出しています。非常に過大に思えますが、従来のタイプよりも、約25%の軽量化を実現しており、本体サイズも4.3mから大幅に短くなっているそうです。

今回納入された新型ジェットファン。小型・軽量化を実現している
今回納入された新型ジェットファン。小型・軽量化を実現している

ジェットファンは、排気ガスを飛ばすだけでなく、トンネル内で火災が発生した時も、重要な役割を果たします。

火災が発生した場合、渋滞が発生していない時は、進行方向に向かって風を出すことで、後続車両に乗っているドライバーが煙に巻かれないように。渋滞の中で火災が発生した時は、前後両方に風を出すことで、火災が発生した場所に煙を滞留させ、ドライバーが逃げられるようにしているとのことです。

電気集塵で汚れを取ってキレイな空気を排出

ジェットファンで飛ばされたトンネル内の空気は、換気所で空気をきれいにして排出されます。パナソニックは、合計64台の電気集塵機と、14台の排風機を納入。トンネル内の汚れた空気から汚れを除去しているそうです。

トンネル内の空気をきれいにする流れ
トンネル内の空気をきれいにする流れ

実際に換気所に入ってみました。建物内の階段で地下まで降りると、そこは電気集塵機の前。電気集塵は、微細な粉じんをマイナスに帯電させて、プラス電極に吸着させる仕組みで、約80%の粉じんを集められるそう。

トンネル内の空気をきれいにして排出するための換気所
トンネル内の空気をきれいにして排出するための換気所

この後、きれいになった空気は排風機で加速され、集音器を通って換気所から上風に向かって排出される仕組みです。

自動洗浄もできる電気集塵機
自動洗浄もできる電気集塵機

高速道路の長いトンネルを快適に走行できるのは、これらの技術があるからこそ。
今回、ジェットファンや電気集塵機を納入したパナソニック環境エンジニアリングは、ジェットファンの国内の納入実績1位で、累計納入台数は2000台。
また、電気集塵機も国内では最初に開発し、シェア6割を誇るそうです。2018年にはトンネル事業を始めて、50周年を迎えています。

大型の集音器。ここを通過することで騒音が低減できる
大型の集音器。ここを通過することで騒音が低減できる

高速道路やトンネルを走るときは、知らないうちにジェットファンのお世話になっているわけですね。今度、高速道路を走るときは、こうした設備も気にしてみたいものです。

(取材・文・写真:コヤマタカヒロ 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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