海外で見かけたちょっと懐かしい日本車 ~欧州編 その3~
今や世界の多くの街の風景に溶け込んでいる日本車。街を散策していると、本国の日本ではすっかり見かけなくなってしまったモデルを見かけたり、よく見ると日本とは違う名前であったりと、いろいろな発見があります。
今回は、販売終了から日が浅く日本でもまだまだ見かけるモデルもありますが、ヨーロッパの街中で、とても印象に残った個性的な日本車をお届けします。
日産「マーチ」、ダイハツ「ミラジーノ」(フランス・パリ)
日本生まれのコンパクトカーが、パリの郊外で揃い踏み。両脇をかためている2台は、丸みを帯びた個性的なフロントマスクとリアビューが特徴の日産「マーチ」。現地での車名は「マイクラ(Micra)」です。このモデルのオープンカーだけは、日本でも「マイクラC+C」という名前で販売されていたので、その名前に聞き覚えがある人もいるかもしれません。
ちなみにマーチとして3代目にあたるこのモデルは日本、欧州ともに同じデザインで販売されていましたが、現行モデルは欧州向けマイクラと日本向けマーチで異なるデザインを採用しています。
2台のマイクラに挟まるように停められた、さらに小さなクルマはダイハツの軽自動車「ミラジーノ」です。現地での車名は「トレヴィス(Trevis)」で、同じ3気筒ながら日本版の660ccに対し、欧州版は1000ccのエンジンを搭載しています。日本ではパステルカラーなど華やかな色も選べることが多いコンパクトカーですが、このようなシックな色合いもなかなか似合っていますね。
トヨタ「iQ」(イタリア・ローマ)
日本の5ナンバーサイズに近い車幅を持ちながら、軽自動車より短い全長を持つ独特のフォルムの「iQ」。鮮やかなオレンジのボディは、よく晴れたローマの街角にとてもよく似合っていました。2016年には後継車が登場しないまま販売を終了してしまいましたが、独特のコンセプトを持つこのクルマは、世界中の多くの人から支持された1台です。
ホンダ「エディックス」(イタリア・フィレンツェ)
フィレンツェの街角で見た生活感のある「エディックス」。現地での車名は「FR-V」。前席、後席ともに3席ずつ配した6人乗りのシートが最大の特徴で、同じようなシートレアウトをもつクルマとして、フィアット「ムルティプラ」という“先輩”も存在しました。そんなフィアットのお膝元でエディックスに出会うのは、感慨深いものです。ちなみにこのエディックスもトヨタiQと同様、後継車が出ず1代限りのモデルとなっています。
マツダ「RX-8」(スイス・ローザンヌ)
2003年に登場し、9年間にわたって生産されたロータリーエンジン搭載のスポーツカー、マツダ「RX-8」。ヨーロッパ(西ドイツ)で生まれた独特な機構を持つエンジンを長年育て上げ、量産し続けたマツダによる最後のロータリーエンジン専用モデルです。(2020年3月現在)
一見2ドアクーペにも見えますが、実は観音開きの小さなリアドアを持つ4ドア車で、エンジン以外にも随所にオリジナリティを感じます。フロントタイヤをグルリと囲むような造形のフェンダーなど、各部が攻めたデザインでありながら奇異に感じないまとまりを見せるスタイリングは、小粋さすら感じさせ、ローザンヌの街並みによくなじんでいました。
ちなみにRX-8の背景に見える走行中のガンメタリックのSUVは三菱「アウトランダー」です。写真の左端にはトヨタ「ヴィッツ(ヤリス)」も見えるように、ヨーロッパの街並みを歩いていると本当にたくさんの日本車と出会います。
日本にもとてもたくさんの欧州車が輸入されていて多くの人に愛されていますが、欧州の人にも日本車が愛されているようで、日本人としてとてもうれしく思いました。
(取材・文・写真:高橋学 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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