山形・酒田のNPO法人が廃エアバッグをリサイクルした救命浮輪を考案

今や自動車の標準装備となっているエアバッグ。事故からドライバーの命を守る大切なアイテムです。山形県酒田市にあるNPO法人「みなと研究会」は、廃車のエアバッグをリサイクルした救命浮輪を考案し、実用化を目指しています。

第二の人生も「人の命を守る」ものに

みなと研究会は、自然と共生する海岸保全、海洋生物の保護を目的に活動し、過去、廃シートベルトを海藻に見立てたハタハタの産卵場所を製作したこともあります。

今回、理事長の守屋元志さんは、埋めても土に返らず、CO2が発生するため焼却処理も難しい廃エアバッグに注目。

廃車から集められたエアバッグ。破れたものなども多く、選別されている
廃車から集められたエアバッグ。破れたものなども多く、選別されている

昨今、異常気象による豪雨や大型台風が増えています。水難、風水害、津波などで防波堤や堤防が決壊し、町ごと流される場合もあります。こうした事態で、特に子どもやお年寄り、障がいのある人などが、泳いだり助けを求めたりすることは容易ではありません。そこで人命を助けることができる浮輪を廃車部品のエアバッグを利活用してできないものか、と考えました」(守屋さん)

そもそも人命を守る安全装備であることから、その耐久性、強度を活かした「次なる活躍の場」を考え、約3年の構想期間を経て、試作品を製作しました。

シンプルながら合理的な作り方

製作された救命浮輪はとてもシンプルな作り。市販のビニール浮輪をエアバッグの生地で覆う、というもの。また廃シートベルトを使った取っ手が4箇所に付けられています。こちらは浮輪の下部の穴が空いておらず、中に耐水性の袋に入った防水トランジスタラジオ、笛、LED電灯など防災グッズがセットされています。

製作された救命浮輪
製作された救命浮輪

取っ手を掴むことのできない幼児や、障がいのある人がより安全に救助が求められるよう、浮輪下部の穴に落下防止用ネットが取り付けられているタイプもあります。ネットには2段階に長さを調節できる紐が取り付けられています。

救命浮輪に付けられた落下防止用ネット
救命浮輪に付けられた落下防止用ネット

「増水し流れが早くなっている河川では、ビニールの浮輪だけでは流木などにぶつかり破れてしまうため、耐久性に優れたエアバッグの生地で包むことで強度が増すと考えました」(守屋さん)

機能、強度、安全モニタリング等は、消防員や自衛隊のアドバイスや指導を受けながら製作。微調整を繰り返して試作品を完成させたそうです。

耐久テストも実施。実用化を目指す

守屋さんは2020年3月10日、酒田北港内で試作品の耐久テストを行いました。

直径55cmの浮き輪に約15kgのコンクリートウエイトを乗せてテスト
直径55cmの浮き輪に約15kgのコンクリートウエイトを乗せてテスト

この日、さまざまな重量のウエイトを落下防止用ネットに入れて海面に浮かべ、しっかりと浮くことができるかを検証。直径75cmの浮輪には落下防止用ネットに60kgの重りを入れました。浮力もネットの耐久性も確認されました。

浮力も無事確認
浮力も無事確認

今後もテストと改良を重ね、1年ほどで実用化を目指す考えだそうです。

 

人の命を守るエアバッグの“第二の人生”。新たな使命を担い、また人の命を守るものとなる。いつ起こるかわからない有事に備え、いち早く実用化してもらいたいものです。

(取材・文:別役ちひろ 写真:みなと研究会 編集:奥村みよ+ノオト)

<取材協力>
NPO法人みなと研究会
http://minato.yamagata-npo.net/

[ガズー編集部]

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