C-ZEROにセディチ……海外で見かけた「エンブレム違い」の日本車
海外に出かけた時、街を走るクルマの中に日本車を見つけて、ちょっぴりうれしい気分になることがよくあります。国によっては、その大半が日本車の場合すらあるのですが、時折「あれっ? 日本でよく見るクルマだけど、車名どころかメーカー名やエンブレムすら違う!」と気づかされることもあるものです。今回はそんな「エンブレム違い」の日本車を集めてみました。
シトロエン「C-ZERO」(イタリア・ローマ)
映画『ローマの休日』にも登場する有名な観光スポット、スペイン広場で見かけたパトカーは、三菱「i-MiEV」……と思いきや、その欧州版のシトロエン「C-ZERO」でした。わが国のi-MiEVは、軽自動車枠に収まるボディサイズでデビューし、現在は全長の拡大にともない小型車枠となっていますが、C-ZEROはどちらの日本仕様とも微妙にボディサイズが異なります。いづれにしても、その個性的なフォルムが崩れることなく、ローマの街でも異彩を放っていました。イタリアの街で、日本で生まれたフランスメーカーのEV(電気自動車)が活躍している姿にグローバルな時代を感じます。
フィアット「セディチ」(イタリア・ローマ)
こちらもローマでの1コマ。スズキ「SX4」の欧州版、フィアット「セディチ」です。SX4はフィアットと共同で開発され、ハンガリーで生産されたことを考えると、欧州で見た日本車ではなく、生まれながらの二重国籍とも言えそうですが、日本人が見るとやはり「おっ、ちょっと変わったSX4だ!」となってしまいます。
プジョー「4007」(フランス・パリ)
パリで見かけたシルバーのSUVは、プジョー「4007」。フロントマスクはプジョーらしいデザインになっていますが、車体をよく見れば三菱「アウトランダー」であることがわかります。エンジンバリエーションやサスペンションなどは、日本で販売されたアウトランダーと異なるようです。
ジオ「トラッカー」(メキシコ・エンセナダ)
日本でも人気を博したスズキの初代「エスクード」。「ジムニー」を擁するスズキが1980年代後半に発売した、本格的なオフロード性能と都会的なデザインを併せ持ったコンパクトなクロスカントリー4WD車です。しかし、初代エスクードの北米での車名は「サイドキック」、欧州では「ビターラ」だったはず……。
このジオ「トラッカー」は、かつてGMカナダと日本のスズキの合弁会社「CAMIオートモーティブ」で生産されたもの。写真の「ジオ」ブランド以外にも、シボレーやポンティアックなど、日本人にも馴染みのあるブランドや、ちょっと馴染みの薄い「アスナ」というブランドからも「サンランナー」という名前で売られていたそうで、エスクードは世界的に見ると実にたくさんの名前を持つ1台だと言えそうです。
振り返って見ると、日本でもホンダが自前のSUVやクロカン4WDを持っていなかった時代には、ランドローバー「ディスカバリー」のOEM車として「クロスロード」というモデルが存在していました。また、1990年代前半に乗用車の生産から撤退したいすゞ自動車が、スバル「レガシイ」やホンダ「アコード」を自社で生産していた「アスカ」の後継車として販売していたこともあります。
世界中の自動車メーカーが、時にはライバルとして時には手を取り合い補完しながら今に至っている歴史をエンブレム違いのクルマに感じるのも、なかなかおもしろいものです。
(取材・文・写真:高橋学 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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