ラジオの「道路交通情報」ってどうやって流しているの?

ラジオに耳を傾けていると、定期的に流れる「道路交通情報」。

「道路交通情報センター○○さん、お願いします」
「はい、お伝えします……」
と、流れるような調子で、正確な道路交通情報を1年365日欠かすことなく伝え続けています。

この放送はどこで、どのような人が放送しているのでしょう。公益財団法人日本道路交通情報センターにお話を聞きました。

日本全国の道路交通情報を収集しリアルタイムで提供

――日本道路交通情報センター(以下、JARTIC)とはどのような組織ですか?

事故、渋滞、災害、工事の状況や予定などあらゆる道路交通情報を収集、整理、統合し、主にラジオやテレビの放送、インターネットなどさまざまな媒体を通して、ドライバーに向けてリアルタイムの情報をご提供しています。

また、「コネクティッドカー」のベースとなるカーテレマティックス関連企業などにも道路交通情報をご提供しております。これらの情報はナビゲーションサービスをはじめとする各種情報サービスに活用されています。

拠点は全国で133カ所に上ります。各都道府県警察の交通管制センター、高速道路や国道、都道府県道などの道路管理者に専門の駐在員を配置しています。

――情報収集はどのように行われているのですか?

情報収集の方法は、大きく分けて2つあります。ひとつは、警察や高速道路会社などの交通管制システムや道路管理システムなどに接続してオンラインで収集する方法(管理者オンライン情報)。もうひとつはJARTICの職員である駐在員が、直接、警察交通管制センターや道路管理者へ取材し収集する方法です。

取材により収集するのは、管理者オンライン情報では収集しきれない詳細な情報……例えば、事故が発生した際の処理状況(見分中やレッカー作業中など)や関係車両の車種や台数、どの車線を規制しているかなどや、工事・行事(交通規制を伴う祭り、イベント、花火大会等)の予定、事前通行規制(大雨などで基準の雨量を超えると通行止めとなる規制)・冬期閉鎖などの情報です。

電話による情報収集を行う
電話による情報収集を行う

収集した情報は、即座に地点名や路線名を付与したり、情報を関連付けたりなどし、よりわかりやすい情報に変換した上で基幹システムのデータベースに蓄積します。そこからドライバーにとって必要な情報をご提供しています。

年間でラジオからは約29万回、テレビからは約2,500回の交通情報が

――ラジオ、テレビからの道路交通情報の放送はどのくらいの回数行われるのでしょうか?

ラジオ放送は、全国各地のNHKと民間放送局102社の計103社(コミュニティー放送局含む)を通じて、年間約29万回、一日平均約800回の道路交通情報を提供しています。特に、道路が混雑する平日の朝7時台と夕方の5時台には集中的に放送を行っています。また、災害時やゴールデンウィーク、帰省・行楽シーズンには、放送局からの要望を受け、特番放送を実施することもあります。

テレビ放送については、大都市圏を中心にNHKと民間放送局1社、計2社を通じて、全国の9つのセンターから年間約2,500回の放送をしています。このうち仙台、東京、大阪、福岡ではJARTIC職員が出演し、CG画面やパネルを活用して道路交通情報をお伝えしています。

時には原稿なしで放送を行う、地域の道路交通情報に精通したJARTICの専門職員

――放送はどこから行っているのですか?

放送業務は、先ほど申し上げた133カ所の拠点のうち、各都道府県警察の管制センターや一部の高速道路管理者に駐在する拠点の53カ所で実施しています。

放送をしている拠点には、専用の放送室が設けられ、その室内に各放送局が中継機材を設置しています。通常は、そこから中継放送で音声を電波に乗せていますが、一部では、電話から放送している局もあります。

この放送室からラジオ放送を行っている
この放送室からラジオ放送を行っている

――実際にアナウンスをされているのはどなたですか?

基本的には地域の道路交通情報に精通し、さらにアナウンスの訓練を受けたJARTICの専門の職員が担当しています。ただし、民間放送局の一部では、その放送局のアナウンサーが交通管制センターからの交通情報を提供しているところもあります。

――膨大な数の道路情報が毎日流されているわけですが、原稿はどなたが作成しているのですか?

放送担当者が自ら情報を収集し、放送エリア(放送の電波が届く地域)、季節、曜日、天気、時間帯、イベント、交通状況などを踏まえ構成を考えた上で、原稿を作成しています。原稿は、一字一句書くこともありますが、情報は常に変化するため、情報のメモを取り、そのメモをつなぎ合わせてアナウンスすることが多いです。

また、状況によっては警察の交通管制センターに設置してある「交通状況表示板」を見ながら、実況中継のようにアナウンスすることもあります。

――放送で情報を提供する際に心がけていることはありますか?

まずは、地域の交通特性をより理解することです。その上で視聴者の皆さまが必要とする情報が、正確迅速、かつ、わかりやすく伝わりやすいアナウンスを心がけています。また、放送局から指定された時間の厳守はもちろんのこと、放送エリアや放送番組の内容に合っているかにも気をつけています。その他、代わりのいない専門の仕事になりますので、各自の健康管理も欠かせません。

東京・九段センター放送執務室の様子
東京・九段センター放送執務室の様子

近年、災害が増加しており、そのようなときは情報量が膨大になるとともに、情報の需要も増え、決まった時間内に全ての情報をお伝えできないこともあります。そのような場合は、ドライバーの方に影響が大きいと思われる情報からお伝えするよう素早く優先順位をつけるなどしています。


ラジオの放送が一日に平均800回も放送が行われており、しかも、原稿なしでアナウンスをすることもあるというのは驚きでした。全国の道路は、道路交通情報センターの発信するリアルタイムの正しい情報に守られていることを自覚して、交通安全をより一層心がけたいものです。

<取材協力>
公益財団法人日本道路交通情報センター(JARTIC)
http://www.jartic.or.jp/

(取材・文:わたなべひろみ 写真:公益財団法人日本道路交通情報センター(JARTIC) 編集:奥村みよ+ノオト)

[ガズー編集部]

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