トヨタ エスクァイア 徹底ガイド Special “4人家族で”使い勝手を徹底検証!

みんなの笑顔のために

デザイン・質感のみならず、5ナンバーミニバンとしての利便性や快適性も追求したという、エスクァイア。では、ファミリーユースでの使い勝手は、どれほどのものなのか? 都心を出発し富士周辺の湖へと向かうドライブでチェックしてみた。

積んでビックリ

いささか古いニュースであるけれど、2014年10月29日にデビューしたトヨタ エスクァイアは、発表後1カ月で2万2000台もの受注があったという。ちなみに月販目標台数は4000台だから、新車効果があるとはいえ目標の5倍以上というヒットを飛ばしたことは注目に値する。
つまり多くの方が、「扱いやすい5ナンバーサイズ」と「上質感」を両立したミニバンを待ち望んでいたのだ。

では、人気のエスクァイアを実際に使うとどうなのか。今回の趣旨は、一般的なファミリーが使ったと仮定して、このクルマの使い勝手を検証することである。試乗車には、エスクァイアの2.0リットルガソリンエンジン搭載モデルで、シート配列は前席から「2・2・3」の7人乗り仕様を用意した。
ただし、わが家の2人の豚児は家族で出かけるには大きくなりすぎた。そこでフリーランスのライター/エディターとして活躍する竹井あきらさんと2人のお子さんにご協力いただくことにした。

竹井家にお迎えにあがると、久しぶりに会ったココちゃん(小学4年生)とカオルくん(4歳)が大きくなっていて驚く。「西湖に着いたらバーベキューをやるよ」と伝えると、ふたりは「バーベキュー! わーいわーい」と小躍りする。あまりのかわいさに、ヒゲ面のカメラマン氏の表情もゆるむ。

早速、コールマンのテーブルやチェアなどを積み込む。驚いたのは、荷室床下の収納スペースの深さと広さ。テーブルやチェアを次々と飲み込む。この収納スペースには「スーパーラゲージボックス」という名前が付いているけれど、大げさなネーミングではないと感じた。

3列目シートの下にもかさばる荷物を潜り込ませることができるから、エスクァイアは3列目シートまで使うフル乗車の状態でもかなりの荷物を積むことができる。また、このクルマは荷室床面の位置が低いから、重い物の積み降ろしが楽ちんである。

  • 車体後部に設けられたラゲージスペース。2列目および3列目シートを畳むことで、その容量を大幅に拡大できる。
  • フロアボードの下にもまとまった収納スペースが確保される。
  • 長尺物は、シート下に収めることもできる。
  • 2列目のキャプテンシートにチャイルドシートを装着した様子。
  • 運転席まわり。ややフラットなダッシュボードや細めのピラーなど、良好な視界が得られるようデザインされている。
  • いざ出発。ツインムーンルーフを通して見られる景色も、楽しみのひとつだ。

ポイントは「低い床」と「高い屋根」

コンビニでお菓子と飲み物を調達してから、本日限定の仮想4人ファミリーでエスクァイアに乗り込む。ここで4人全員が感心したのが、乗り降りのしやすさだった。まず、スライドドアを開いた時の開口部が広い。しかも床が低いから、年中組のカオルくんも楽々乗り込める。

東京都交通局のノンステップバスは地面から床までの距離が300mm以下に定められているそうだけれど、エスクァイアはそれに迫る360mm。もしこのドライブにおじいちゃん、おばあちゃんが加わることがあっても、これなら安心だろう。

乗り込むと、今度は天井の高さがありがたい。室内高は1400mmとこのクラスのミニバンの中でもトップクラスで、身長109cmのカオルくんはもちろん、身長130cmのココちゃんも立ったままの姿勢でダウンジャケットを脱ぐことができる。
ちなみに文部科学省の統計によると、小学5年生男子の平均身長が139.0cmだというから、このあたりの年頃まで室内で立ったまま着替えができる。

出発にあたっては、着座フォーメーションを次のように決めた。パパは運転席、2列目にココちゃんとカオルくん。あくまで使い勝手の検証が目的なので、ママは助手席と3列目を試すことにして、まずは3列目に座ってもらう。

ここでママより貴重な意見。2人の子どもがもう少し小さければ、運転席から「2・3・3」の8人乗り仕様のほうが使いやすいとの指摘を受ける。2列目に3人で座って2人の面倒を見るというのだ。

ココちゃんは、2列目シートのスライド機構の使い方を直感で覚えたようだ。レバーを引っ張りあげると前後にスライド、もうワンノッチ引くと左右に動くのだ。
ちなみに今回のように4人で動くのであれば、3列目シートを跳ね上げ、そのスペースを使って2列目シートを思い切り後ろに下げる「スーパーリラックスモード」でくつろぐのもいい。

  • エスクァイア自慢のキャプテンシートには、キッズも大満足!?
  • 車体後半のプライバシーガラスは、全車標準のアイテム。ご覧のとおり、車内の様子は外からほとんどわからない。
  • 4人の身長は、写真左から157cm、109cm、180cm、130cm。写真から、クルマのサイズ感が伝われるだろうか。
  • クラス最大級となる805mmの開口幅を持つ、エスクァイアのスライドドア。乗降性に配慮した低いフロアもセリングポイントだ。
  • 2列目キャプテンシートのスライドは、前後方向/左右方向ともに1本の操作レバーを使って行う。
  • 3列目シートに腰掛けた様子。乗車定員は3人となっている。

ママもキッズも使えるように

ガラ空きの中央道を、富士五湖方面に向かう。グローブボックスに助手席アッパーボックス、センタートレイにセンターコンソール、ドアポケットにセンターロアボックスなどなど、前席には収納スペースがたくさん用意されていて、うかつにモノを置くとどこにしまったのか忘れてしまいそう。

2脚の2列目シートの間に位置する折りたたみ式のサイドテーブルは、子どもの力でも簡単に畳める。ここを畳むと、停車時に2列目と3列目を自由に行き来できるので、好評だった。

途中の談合坂サービスエリアで休憩。ここでママが3列目シートから助手席に引っ越す。同時に、助手席側の2列目シートを前方に出して、カオルくんのケアがしやすいポジションを取る。トヨタが「前席ベビーケアモード」と呼ぶこのポジションだと、助手席からの2列目シートの世話が容易だ。
総じて、シートアレンジメントは入念に練られており、使い勝手が良好だという印象を受けた。

助手席に座ったママは、シートヒーターの温かさに感心することしきり。車幅感覚もつかみやすいし、細かいところまで気が利いている。

  • 高速道路を行くエスクァイア。ガソリンエンジン車Giの燃費値はJC08モードで16.0km/Lと公表される。
  • 3列目からの眺め。前2列よりも、高いアイポイントが得られるようになっている。
  • 助手席前の収納スペース。ふた付きのアッパーボックス、気軽に物が置けるオープントレイ、グローブボックスで構成される。
  • 1列目用のカップホルダー。四角いブリックパックにも対応する。
  • 最大810mmのスライド量をほこる、2列目のキャプテンシート。写真手前側が“超ロングスライド”のポジションである。
  • 2列目の超ロングスライドを行うには、3列目シートを収納する必要がある。スプリングの作用もあって、跳ね上げ動作は女性でも気軽に行える。

快適なハコ

高速道路での乗り心地はしっかりしたもので、横風を受けた時やコーナーでも安定している。高級セダンのしなやかで快適な乗り心地よりは硬さを感じさせるけれど、長距離ドライブでも疲労感は残らない。

ということで、西湖の湖畔に着いてから荷物を降ろし、バーベキューの準備を開始。周囲は雪景色だけど、幸いにして無風で晴れているので、日差しとたき火にぽかぽか温めてもらいながら、雪景色の中のバーベキューという非日常を楽しむ。

子どもは元気で、おなかがいっぱいになると子犬のように雪原を駆け回る。たくさん食べて、たくさん走ったから、帰りの車内では当然ながら熟睡だ。そういえば帰りは、カオルくんの希望で3列目シートにチャイルドシートを移した。
子どもはなぜ、狭い場所が好きなのか? 秘密基地のように感じるのか?

ともあれ、広々とした室内で、2人の子どもは寝息を立てている。もちろんスポーツカーも楽しいけれど、人生のある時期、数年間をこんなクルマで過ごすのも貴重な時間なのかもしれない。

(text:サトータケシ/cast:竹井あきら&ココ&カオル/photo:峰 昌宏)

  • 首都圏から西湖へと向かう道すがら。真っ白に雪化粧した富士山が迎えてくれた。
  • 収納式のサンシェード。全グレードに標準で備わる。
  • エスクァイアのボディカラーは、今回テストしたホワイトパールクリスタルシャインを含む、全7色がラインアップされる。
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