トヨタ・セリカ/カリーナ (1971年~) トヨタ名車列伝6話

「未来からやってきたクルマ」として、斬新なスタイルでデビューしたスペシャルティーカー「セリカ」。ヨーロッパ車のテイストに仕上がり小気味良い走りが特徴のファミリーカー「カリーナ」。1970年に同時発表されたこの2つのクルマは、プラットフォームが同じ双子車なるも、性格の全く異なるクルマ。設計には前例のない苦労があった。例えば試作車の数はセリカ/カリーナそれぞれ、当時としては非常に多い50~60台もがつくられ、様々なテストや検討に活用された。群を抜くスタイリングの美しさと評され「セリカ」の原型になったのは、1969年の東京モーターショーに出展、その未来的デザインで高い人気を呼んだ「TOYOTA EX-1」である。これは、デザイン部で最先端のデザインを追及していた「アドバンス・デザイン・チーム」が手がけ、この先行的デザインをそのまま号口車に取り入れた特殊な例である。当時のデザイン担当の納所克志氏は、「スタイルを最優先し、これほどクルマとしての美しさを自由に探求したことはない」と振り返っている。一方、カリーナは正攻法なデザインプロセスで開発された。ファミリーカーでありながらスポーティな走りが好評で、後に「足のいいやつ」のキャッチフレーズが浸透し、セリカと人気を競い合った。