トヨタ・スープラ (1986年~) トヨタ名車列伝10話

1985年のセリカFF化を機に、「(スープラ開発陣は)セリカとの共用を考慮しないでいいとなれば、この機会にやりたいことを全部やろうじゃないかと意気込んだ」と開発担当主査の和田明広氏は振り返る。スープラは、国内よりも北米市場の販売量がはるかに多い車種である。正面からアメリカで戦うには、本格スポーツカーとして世界に認められるものを目指そうというということになり、「直6高性能エンジンを積むFRレイアウトはかなり早い時点で決まっていた」と和田は言う。

和田が目指したのは、「ヨーロッパに持っていっても、誇れるだけの総合性能のあるクルマ」であった。その想いは、スープラの足回りを見れば分かる。開発陣は伝統あるヨーロッパにテストに出かけ、あらゆる道で、テスト走行を実施。設計開発担当者と実験評価担当者が一緒に公道を走り、テストを繰り返した。その結果、ボディ剛性を大幅に高めた、ドライバーにクルマを操る楽しさを提供するスポーツカーが生まれた。

こうして「2000GTに試乗した感動を思い出すクルマである」とお客様から絶賛されるほどの世界に通用するスポーツカーが誕生した。

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