トヨタ・マークⅡ/チェイサー/クレスタ (1988年~) バブル時代の名車たち1話 

生産:1988年 ~1992年

1980年代に一世を風靡(ふうび)したハイソカー・ブームの中心的存在だったのが、マークⅡ/チェイサー/クレスタの、いわゆるマークⅡ3兄弟。80年デビューの型式名GX61系の後半から火がつき、84年に出た次世代のGX71系で人気が爆発。3兄弟合わせて毎月2万台以上を売るドル箱車種となった。

その後を受けて88年に登場したGX81系。アップデートされ、洗練されたものの、先代より角を丸めたスタイリングは控えめな印象。広告のイメージキャラクターは先代から引き続いて俳優/歌舞伎役者の松本幸四郎で、キャッチコピーは「マークⅡらしいモデルチェンジができました」という、「どこが?」と突っ込んでくれと言わんばかりのもの。総じて新型のインパクトは薄く、ヒット車種ほどモデルチェンジはむずかしいということを再認識させられた。

ところがいざふたを開けてみたら、先代と同様にスーパーホワイトのマークⅡハードトップを中心に、先代をさらに上回る勢いで売れまくり、結果的に歴代マークⅡおよび3兄弟のなかで、最も多い販売台数を記録したのである。モデル自体は外見こそキープコンセプトだったものの、一新されたシャシー、全車DOHC化されたエンジン、そして途中から3ナンバーサイズのモデルも加わるなど、先代より確実に商品力は上がっていた。しかし発売時期がバブルの頂点でなければ、ここまでのセールスは実現できなかったのではないだろうか。その意味では、まさにバブル時代を象徴する1台であろう。