カローラ/スプリンター・リフトバック(1976) トヨタが未来に挑戦したクルマたち

トヨタの車両開発史上、「お客様の期待を超えたクルマづくり」に挑み、誕生した個性的なデザインや機能を持ったクルマたち。1970年代から1990年までの中から、そんなクルマを紹介します。

排出ガス規制下に差し込んだ“光”

型式名のKE/TE30からカローラ30(サンマル)と名乗った3代目カローラと、兄弟車であるスプリンターのデビューは1974年。前年には石油危機が起き、翌年には本格的な排出ガス規制が実施されるという、クルマにとって多難な時期の船出だった。

1975年秋には、昭和50年排出ガス規制に適合させるため、DOHCエンジン搭載のレビン/トレノを筆頭に、ツインキャブレターを備えた高性能モデルはすべて生産中止。一気に寂しくなってしまったラインナップに差し込む一条の光のように、翌年1月に加えられた魅力的なバリエーションが「リフトバック」だった。

車高の低いスプリンター・クーペをベースに、ルーフをのばしてテールゲートを設けたことによって、スポーツワゴン、あるいは気取ってシューティングブレーク(※)とでも呼びたくなるような、スポーティでスタイリッシュな雰囲気に変身。「クーペのスポーツ性、セダンの快適な居住性、ワゴンの多様な実用性をすべて持ち合わせた乗用車」というカタログのうたい文句に偽りなしのリフトバックの出現で、カローラ/スプリンターは、排出ガス対策によって削(そ)がれた勢いを取り戻した。

(※)シューティングブレーク……欧州車に多い狩猟用の高級ワゴン

カローラ/スプリンター・リフトバックが誕生した年 1976年

・全国保有車両が3000万台を突破
・トヨタ、生産累計2000万台を達成

カローラ・リフトバック GSLの価格 99.8万円(東京)
当時の大卒の初任給 約9.4万円

[ガズー編集部]

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