スプリンター・カリブ(1982) トヨタが未来に挑戦したクルマたち

トヨタの車両開発史上、「お客様の期待を超えたクルマづくり」に挑み、誕生した個性的なデザインや機能を持ったクルマたち。1970年代から1990年までの中から、そんなクルマを紹介します。

皆が使える個性派

今日でいうクロスオーバーSUVだが、そうした呼称が生まれるはるか以前に、同様のコンセプトを具体化していたモデルが、スプリンター・カリブだった。

その登場は、今をさかのぼること33年の1982年。スペースユーティリティに優れた、やや背高のワゴンボディは、大きなクオーターウインドウやナンバープレートを左にオフセットしたテールゲートなどを備え、「面白4WD」というキャッチフレーズの通り、既存のカテゴリーには収まらない新たな個性を主張していた。

ラフロードや雪道は4WD車として、ハイウエーや市街地ではFF車として、従来の乗用車を超えた幅広い機能と用途を持ち、それでいて快適性が劣ることはない。しかも手ごろなサイズで使い勝手がよく、街中でも映えるしゃれた雰囲気も備えていた。

そうしたキャラクターが、テニスやスキー、アウトドアライフなどが流行(はや)った当時の世相ともマッチし、新たなマーケットの開拓に成功。当初はニッチ商品のようにも思われたが、初代の成功は歴代モデルに受け継がれ、確固たるブランドを築き上げた。

スプリンター・カリブが誕生した年 1982年

・トヨタ自工、トヨタ自販が合併。新生「トヨタ自動車」を発足
・トヨタ自動車 東京ビル(東京本社)が完成

スプリンター・カリブAV IIの価格 145万円(東京)
当時の大卒の初任給 約12.7万円

[ガズー編集部]