日産・セフィーロ…CMが印象的だったクルマ

往年のクルマの中には、自動車そのものの魅力はもちろんのこと、そのテレビCMでも多くの人に知られた“名車”があります。そんな懐かしのモデルの中から今回は日産・セフィーロをCMとともに紹介します。

60年以上続いた昭和が終えんに近づいた1988年に誕生した、初代日産セフィーロ。デビュー時のCMは、いろいろな意味で話題となった。

発売前のティーザーCMには和田 勉と、中沢新一が出演。彼らに続いて登場した井上陽水が、発売後のイメージキャラクターも務めた。
ニューヨーク郊外で撮影されたという最初のバージョンでは、自身が歌うCMソング『今夜、私に』をバックに走行するセフィーロの助手席から、陽水が笑みを浮かべながら「みなさんお元気ですか？」と問いかけた。なぜ助手席なのかといえば理由は単純で、当時彼は運転免許を持っていなかったからである。糸井重里の作という「くうねるあそぶ。」というキーワードを含めて、摩訶（まか）不思議な作風は、バブルに浮かれ“なんでもあり”だったこの時代ならではのものといえる。

放映開始から間もなく、昭和天皇が体調を崩した。自粛ムードに染まった世間から、「みなさんお元気ですか？」というフレーズが時節柄好ましくないという声が寄せられたため、急きょその部分の音声を消して放映を続けた。結果、シュールな雰囲気がますます強調されたのだった。

[ガズー編集部]