気まぐれな雨に翻弄された具沢山のレース ~SUPER GT 第6戦現場レポート~

ウェイトハンデ最大となる『GTオートポリスラウンド』。マックスで120㎏も搭載した6号車(現実には、120㎏相当のハンデで燃料リストリクターの調整も入ります)そんな戦いが九州のオートポリス(大分県日田市)で行われました。

ほんと気まぐれな雨に翻弄されましたね。わたしのB型の気まぐれより、はるかに上をいっていたと思うのですが、刻々と変わる難しい路面コンディション、みんなイコールなんだけど、さてどうするの?としかめっ面しながらレースを見ていました。

でもね、普段見られないシーンがあったり、雨の中を走るGTドライバーのスキルを目の当たりにしたり、難しいコンディションだからこそ見えてくるものがあったりと、いろんな感情が沸き起こるレースでした。振り返ります。

とにかく台風の影響で落ちつかない天候。ただでさえ、オートポリスは山の上なので本当に天候が読めません。今回は、とにかく暑かったり風も強かったり、日焼け止めを忘れてしまい、ありがたいGT焼けで真っ黒になった私。

タイラウンドのように、オートポリス戦は、皆さん、なかなか行けませんから、少しでも何か感じるものをと日曜はずーっと外にいました。だからもう日焼けで汚いおばさん…でして。決勝では、土砂降りや3度のセーフティカーと、思い出すだけで台風の影響?雨のやつめ…です。

今シーズンは開幕戦を思い出してみても、LEXUS好調のシーズンの予感のない結果だったように思います。しかし、シーズンも、折り返し第6戦後のランキングをチェックしてみると、上位はLEXUS勢。今般のレースで、ディフェンディングチャンピオンの1号車や、トップ3にいた23号車は、ノーポイントで終わってしまい、さらにLEXUS上位。

1号車のクラッシュは、ガードレール直撃でしたから、次のSUGOラウンドまでの短期間でせっせとメカさんが直してくださるはずですが、痛々しかったな…。23号車というか日産勢は、全体が下位に沈んでしまいましたね。これもちょっと驚き。

12号車のジェームス・ロシター選手が急病で、急遽、千代勝正選手にスイッチしたことも驚き。正確なことは把握しておりませんが、とにかく早く良くなりますように。予選日に話しをしていただけに、驚きも増し残念でした。

レース中、太陽が出ていたので、モニターやテレビを見ているだけでは雨をあまり感じなかったため、セーフティカーランの時に、ちょっとパドックに出てみたら、トランポの上に結構な水がたまっていましたね。

雨は奔放に降ってくれたのを確認、また気温が高いため、コースがどんどんドライアップしてきて、レインタイヤとスリックの入り乱れる混沌としたレースでしたね。難しいってホントに。

当然ピットも混雑。その時の状況でタイヤを瞬時に判断して交換していますが、レインを選択して当たりと思われたLEXUS勢の3台。そのうちの1台のポイントリーダー6号車山下健太選手に伺ったところ、ピットに大嶋和也選手が戻った時はとにかく雨が降っていたので、大嶋選手から迷わずレインと言われたそうです。判断としては賭けでもなんでもなかったようですね。終盤の最後の一降りで迷いが生じたチームはいくつかあり…。6号車も監督さんとチーム側で判断がそれぞれ違っていたとのことです。

ステイアウトで我慢するか、ピットへ向かうロスタイムを、換えたタイヤで補うか。もうね、誰も答えはわかりませんでしたね。テレビをまたじっくり見ましたが、解説陣も当然翻弄されていますね(笑)。

ラスト5周の一気にコースが乾いていくスリック優勢からの我慢が功を奏したGT300クラス60号車の優勝。GT500クラス、37号車のファイナルラップのごぼう抜きもありと、終わってみれば普段見られないシーンがふんだんに見られたと。

GT500クラスの39号車のレイン逃げ切りの優勝とで、LEXUS両クラス制覇で終わりましたが、これ…誰が予想できたでしょう。とにもかくにも、おめでとうございました。

GT300クラスのこのRC F GT3は、2台GT300 クラスに投入されておりますが、こちら60号車は未勝利でした。長い車両の開発期間も含め、やっとその時がきました。

TRDの開発陣も涙でしたね。吉本大樹選手の自分にではなく、チームにおめでとうを言いたいという言葉は苦労を知っているからでしょう。飯田章監督も涙。ご自身も昨年までドライバーとして走ってましたから。

宮田莉朋選手は、まだ二十歳ですが、大人たちのこの涙をしっかり見届けて、ますますのびのび選手生活を謳歌して欲しいです。

いまだリザルトを見ても、摩訶不思議ですが、難しい路面とタイヤの関係はセンシティブで、大きなギャップも生まれるというのを久しぶりに目で見ることができましたね。GT300 クラスのレインタイヤを履いたマシンが、悠々とGT500クラスをパスしていくシーンなど、これからSUPER GTを見ていただく方への良いサンプルになるようなシーンでした。

さて、ランキングはトップ6号車、37号車が、ポイント差が10に縮まりました。ウェイトハンデを考えたら、2台ともノーポイントでもおかしくないはず。しかし、6号車は6位、37号車は3位と、この“しぶとさ”がプロ。レースでの強み、そしてドライバーの速さでしょ。ね!

37号車の若い二人のオーバーテイクはシビレましたね。キャシディ選手の抜かれたら抜き返すの一気に2台抜き、平川選手は、終盤スピンしましたが、そのスピンすら綺麗にカバー。上手い!とテレビの前でうなずいた方は多いはず。

スリックで土砂降りもすべて走り切りましたね。この若い二人の手堅いレースは、「運」という言葉はまったく似つかわしくなく、実力。さすが最年少チャンピオンを獲っただけあります。速いですホントに。

そして、ポイントリーダー6号車!次のSUGOラウンドも37号車とそろって、燃料リストリクターの調整付きのウェイトハンデ。2台だけみんなよりもさらに苦しいですが、どんな結果になるのか楽しみにしています!

台風の影響で、帰りの飛行機の心配ばかりしていましたが、横浜の自宅が停電していてビックリでした。千葉県は、すぐそこというのに、これを書いている現在も甚大な被害で復旧がまだまだ先。お見舞い申し上げます。少しでも早くの復興をお祈りいたします。

レースウィークのもろもろの写真は、Instagramで!では、また!

(写真:折原弘之 / テキスト:大谷幸子)

[ガズー編集部]

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