【ラリージャパンを1000倍楽しもう!】梅本まどかのラリー基礎講座 新城ラリー参戦から学ぶ「ラリーの用語」前編

こんにちは! 梅本まどかです! 2020年もいよいよラリーシーズンがスタートし、3月13〜14日に開催されたJAF全日本ラリー選手権第2戦『新城ラリー2020』に参戦したのですが、残念ながら今回はリタイアとなってしまいました。応援してくれた皆さん、ごめんなさい。次戦は心機一転がんばるのでまた応援してくださいね。

さて、前回のセントラルラリーでは、『ラリーの話題の中で必ず出てくる用語』をご紹介しましたが、今回はこの新城ラリーに参加する中で、私が実際に体験している流れに沿って登場するラリーの用語やルールをお伝えしていきたいと思います。
前編として、まずは競技が始まる前の参加受付から練習走行までの内容をご紹介しますね。

今回はコロナウイルス感染拡大の予防のため、無観客イベントとなってしまった新城ラリー2020。感染予防に努めるとともに、早期の収束を心より願います。私は今年も『DL WPMS Vitz CVT』でドライバーの板倉麻美さんと一緒に参戦。leg1は雨によるヘビーウェット路面にとても苦労しました。そんな参戦レポートはまた次の機会に。

私たちウェルパインモータースポーツが参戦しているJAF全日本ラリー選手権は、だいたい前年の12月くらいに翌年のシリーズカレンダーが発表されます。

そこで最初に始まるのが、チーム同士によるホテルの争奪戦です。というのも、全日本ラリーにはその開催地域ごとに、ラリー関係者に人気のホテルがあるんです。リーズナブルで、駐車場があって、HQやサービスパークに近いビジネスホテルはすぐに予約でいっぱいになってしまうので、タイムトライアルはここからスタートしているというわけです。

ラリー期間はチームごとにいくつかテントを張って、車両を整備しクルーやスタッフが食事や休憩する拠点となる「サービス」を設置します。そのサービスが集合して配置されるのがサービスパークです。新城ラリーでは、県営新城総合公園の駐車場がサービスパークに指定されています。
ラリー期間はチームごとにいくつかテントを張って、車両を整備しクルーやスタッフが食事や休憩する拠点となる「サービス」を設置します。そのサービスが集合して配置されるのがサービスパークです。新城ラリーでは、県営新城総合公園の駐車場がサービスパークに指定されています。

【ラリー基本用語】「ラリーガイド」と「特別規則書」

無事にホテルの予約を終えてホッとするのも束の間、ラリーの2ヶ月前あたりには主催者より「ラリーガイド」や「特別規則書」が発行されます。
このラリーガイドに従ってエントリーフォームで必要書類を送って、エントリーフィーを振り込んだら参加受付完了です。エントリーリストが発行されるまで、受理なのか不受理なのかドキドキしながら待つことになります。

また、ラリーガイドには、ラリーの概要やスケジュール、エントリー方法などが記されていて、参加者はこれを参考にしながらチームの動きを決めます。
ちなみに、ラリーガイドは公式ホームページから誰でもダウンロードして見ることができるので、ラリーに詳しい観戦者の方たちも、これを参考にして観戦スケジュールを組み立てたりするそうですよ。

それから、ラリーにはシーズン初めにJAFより発行される「統一規則書」があって、さらに各ラリーのローカルな内容がそれぞれの主催者から「特別規則書」として発行されます。
特別規則書は、ラリーガイドと比較して、より具体的にそのラリーの概要が記されていて、内容に規則的な拘束力があります。

【ラリー基本用語】「タイヤテスト」

茂原ツインサーキットでのタイヤテストのようす。私は名古屋でお仕事があったので、残念ながら参加できませんでした。
茂原ツインサーキットでのタイヤテストのようす。私は名古屋でお仕事があったので、残念ながら参加できませんでした。
ラリータイヤは各メーカーから発売されていますが、私たちはサポートしてくださっているDUNLOPさんの製品を使用しています。
ラリータイヤは各メーカーから発売されていますが、私たちはサポートしてくださっているDUNLOPさんの製品を使用しています。

エントリー作業が終わると、次は実際にチームとしてラリーを戦う準備が始まります。例えば、ラリーカーやタイヤのテストなどです。

全日本ラリー選手権では2020年からタイヤの使用可能本数が変更され、昨年より少ない本数でラリーを走り切らなければいけなくなりました。
私たちが使用しているDUNLOPさんのタイヤ「DIREZZA 94R」で、ターマックラリーに対応しているのは、基本的に3種類です。
M・ミディアム(固め)、S・ソフト(柔らかめ)、W・ウェット(濡れてる路面向け、とっても柔らかめ)というようにタイヤのゴムの硬さ、正確に言うとコンパウンド(ゴムや配合物の素材、その配合)が異なります。

昨年は主にSを使用していたのですが、今年はそれだと本数的に足りなくなってしまうので、Mを主に使っていくことになりそうです。そういったタイヤの違いを、ドライバーである板倉麻美さんのホームコース・茂原ツインサーキットなどで実走テストをして確認しました。

【ラリー基本用語】「チームムーブメント」

特別規則書にしたがってチームムーブメントなども作成します。簡単に言うと「遠足のしおり」です。
ラリーチームは、ドライバーとコドライバーの他に、監督、マネージャー、エンジニア、メカニックなど様々な役割の人たちで構成されているので、「朝はホテルロビー5時集合でAとBとCの人は、移動車1に乗ってサービスパークに移動して」など、パートごとの動きを具体的にまとめた行動予定スケジュールを作るのです。
ラリーは「準備が8割、現場の対応力が2割」なんて言われたりもするそうですが、こういった感じで様々な準備を整えて、いよいよ本番のラリーウィークに望みます。

【ラリー基本用語】「レッキ」「ペースノート」

新城ラリーのSS設定は全部で10本。使用するのは「船着」5.97km(2本)、「ほうらいせん一念不動」7.47km(2本)、「鬼久保」6.96km(4本)、「雁峰西」16.26km(2本)で4種類のコースで合計87.24kmとなります。この4つのコースを2回ずつ走行してペースノートを作ります。
新城ラリーのSS設定は全部で10本。使用するのは「船着」5.97km(2本)、「ほうらいせん一念不動」7.47km(2本)、「鬼久保」6.96km(4本)、「雁峰西」16.26km(2本)で4種類のコースで合計87.24kmとなります。この4つのコースを2回ずつ走行してペースノートを作ります。

実際にラリーが開催されるラリーウィークの動きとして、基本的にクルーは木曜に現場入りします。新城ラリーは金曜の早朝5:50〜6:10がレッキ受付のため、金曜移動では間に合いません。
一方で、経費削減のため、監督やエンジニア、一部のメカニックさんなどは金曜のお昼入りだったりします。
私は木曜夜にホテルで麻美さんと合流して、少し打ち合わせ。翌日の金曜朝はホテルを5時に出発してサービスパークへ。
レッキ受付を済ませて、メカニックさんにインカーカメラを整えてもらって、いざレッキに向かいます。

SS(競技区間のこと)のスタートからフィニッシュまで、コース状況やドライバーの走り方を書いたノートを「ペースノート」と呼びます。
ペースノートは「レッキ(競技走行するSSの試走)」をして、ストレートの距離やコーナーの曲がり角度、路面の滑りやすさ、注意箇所などを記載して作っていきます。

レッキは朝6:00からスタートですが、すべてのSSを2回ずつ走ってペースノートが完成したころにはもう12:00近く。そのままサービスパークに戻って、次は参加確認に向かいます。

私たちのサービステントです。ここでレッキや車検の準備、競技中の整備などが行われます。
私たちのサービステントです。ここでレッキや車検の準備、競技中の整備などが行われます。

【ラリー基本用語】「参加確認」

競技の受付や進行、審査などがおこなわれるラリーの大会本部「ヘッドクォーター(HQ)」。今回は新型コロナウイルス感染拡大対策として、HQの前にアルコール消毒薬が設置されていて、1クルーごとに入室し受付を行うという措置がとられていました。
競技の受付や進行、審査などがおこなわれるラリーの大会本部「ヘッドクォーター(HQ)」。今回は新型コロナウイルス感染拡大対策として、HQの前にアルコール消毒薬が設置されていて、1クルーごとに入室し受付を行うという措置がとられていました。

HQの受付で、クルーや参加者が揃っているか、書類に不備はないかをオフィシャルの方に確認してもらいます。問題なければ、今回のラリーに必要な、ロードブック、タイムカード、ゼッケン、競技会証明書、公式ステッカーを受け取ってサービスパークのチームテントに戻ります。

【ラリー基本用語】「ロードブック」「タイムカード」

ロードブックです。昨年最後のセントラルラリーではロストしたり道を間違えてしまいましたが、今回はそんなことのないように。
ロードブックです。昨年最後のセントラルラリーではロストしたり道を間違えてしまいましたが、今回はそんなことのないように。

タイムカードは、オフィシャルによってTCの到着時間やSSのタイムなどが記入されるカードです。

サービスパークを出発して戻ってくるまでの道順は、ロードブックのコマ図形式で案内してくれます。コマ図は、分岐点と距離とを簡単な図の連続で表されています。このコマ図を見ながら、ラリーコンピューター(事前に指定したペースと、走行距離や平均速度との差などを自動で計算してくれるコンピューターのこと)などで移動距離を測って、ドライバーに分岐の曲がり方を指示して目的地に導くことも、私たちコドライバーの大切な仕事のひとつです。

【ラリー基本用語】「公式車検」

車検と聞くと2年に1度の自動車検査登録制度を思い浮かべますが、ラリーの走行前に主催者が行う公式車検では、主に安全性や道路交通法に準じているかという点がチェックの重点ポイントです。
車検と聞くと2年に1度の自動車検査登録制度を思い浮かべますが、ラリーの走行前に主催者が行う公式車検では、主に安全性や道路交通法に準じているかという点がチェックの重点ポイントです。

私たちが参加確認を済ませているときも、車両はメカニックさんたちによって公式車検の準備が進んでいます。参加受付で受け取ったゼッケン、競技会証明書、公式ステッカーをメカニックさんに渡して指定の場所に貼ってもらいます。

そして私たちのヘルメットなどレーシングギア一式を車両に乗せて、車検準備が終了です。あとは、公式車検の私たちの時間になったらオフィシャルが呼びに来てくれて、それにしたがってメカニックさんが車検場に向かいます。
クルーは同行しなくてもOKなので、私たちクルーはチームテントに残って、ランチをとりつつレッキのインカー映像を見ながら先ほど作ったペースノートの確認、修正、清書を行います。

そうこうしているうちにメカニックさんが車検場から戻ってきました。無事に車検合格、ということだったので、金曜日の行程は無事に終了です。
麻美さんとヴィッツに乗ってそのままホテルに戻ります。ホテルでもペースノート確認の続きを行なって、早めの就寝。明日から始まるleg1に備えて休息をとりました。

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というわけで、ラリージャパンを楽しんでもらうためのラリー用語講座の第2回目は、ラリー出走前までの流れを現地での様子を交えながらお伝えさせていただきました。
次回はSSがスタートしてからゴールまでの後編をお伝えしたいと思いますのでお楽しみに。

(文:梅本まどか 写真:梅本まどか、ウェルパインモータースポーツ)

梅本まどか

<プロフィ―ル>
1992年生まれ、愛知出身。元SKE48メンバー。在籍当時からモータースポーツやオートバイに関心を持っており、卒業後は地元名古屋を拠点としながら他分野で活躍するタレントとして活躍中。2019年にはWRC招致応援団としてラリーの魅力を幅広い方に向けて発信。

[ガズー編集部]

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