グランエース最速試乗!? VIP感満載の新カテゴリー車は、運転してみてもサイコーです
先日、ガズー編集部でとある新型車の取材をする機会をいただきました。急遽、カメラを片手にお邪魔したトヨタ車体の富士松テストコースで待ち構えていたのは、トヨタの新型車「グランエース」。編集部員だけで取材する機会もなかなかないのですが、ジャーナリストの方とは一線を画す、ユーザー目線全開でグランエースの魅力をお届けしていきましょう。
VIP4人を送迎することができるクルマとして誕生したグランエースですが、全長5,300mm、全幅1,970mmという巨体と、ベースがハイエースということで、走りはさておき、内装の上質さが特徴のクルマかと思いきや、
なんといっても走りが楽しい!
テストコースでの走行であり、高級セダンと直接比較したわけではないことを差し引いたとしても、いい意味で大きく裏切られたグランエースの走りを中心に、グランエースの特長をお届けしていきます。
乗り味としては、アルファードのあのふわりとした乗り味に通ずるものを感じることができます。輸入車に慣れている方はもう少しガッチリした乗り味が好きな方も多いかもしれませんが、車重の重さを感じさせないハンドリングとコーナリングのスムーズさ、少しだけ浮きながら走っているようなある種の軽やかさみたいなものを感じることができます。
しかし、アルファードとの大きな違いはハイエース譲りの後輪駆動(FR)であること。ゼロからのスタートは若干重たさを感じますが、少し動き始めた後のスムーズな加速感は、ミニバンでは味わったことのない新感覚で、直進走行での安定感も高いです。
ブレーキもコントロールしやすく、十分な制動力を発揮してくれていて、重さと高さがあるクルマ特有のつんのめり感もうまく抑えられています。ブレーキングからの右左折でも、しっかり止まることと、FRのため駆動と操舵が別であることで、スムーズに曲がっていく感じが、5,300mmもあるクルマなんだということをすっかり忘れさせてくれます。
そこには、シャシー、ボディの剛性、足回りの絶妙なセッティングが大きく寄与しています。
フロアのメンバーを一直線にして捻れ剛性を高めたストレートラダー構造と、各ピラーをアンダーボディと結合した環状骨格構造により、車全体の一体感を高める高剛性化が施されています。
これだけ真四角なボディやスライドドアの開口部が1,000mmあるなど、剛性を出すのは難しい構造なのですが、そこは大型車両を多く手掛けるトヨタ車体の経験と努力により高剛性化を実現し、クルマ全体の一体感を感じます。
そして、足回りですが、フロントはマクファーソンストラット式、リアはトレーリングリンクアーム車軸式を採用しています。
ハイエースの板状のばねを複数枚重ね合わせたリーフスプリングとは別次元の乗り心地で、電子制御も取り入れたショックアブソーバーが最適な減衰力で路面への追従性を高めるとともに、ショックを上手にいなしてくれています。
実際に、テストコースにある細かい石が敷き詰められたうねりのある悪路を走行してみましたが、クルマが跳ねてシートからお尻が離れてしまうこともないし、左右別々のうねりにも車体が大きく揺れることなく、前に進むことができました。
(※映像では、テストコースのため普通ではありえないガタガタ道で、そのうえ、手持ちのため相当揺れてしまいました)
驚きなのが、最小回転半径が5.6mという小ささです。グランエースは45度(乗用車は30度~35度程度)という、トラック並みのタイヤの切れ角があります。5ナンバーで全長4,695のノアが5.6m、全長4,240mmの86が5.4mであることと比較すると、そのすごさが伝わりますでしょうか。
実際に運転していると、「あれっ、まだ切れるんだ!」という感覚で、後ろのタイヤを中心にぐるぐる回っているくらいの印象になってきます。
連続して入っている間も、テストコースの制限速度の100km/hはスイスイと出てしまうし、剛性、制動、ハンドリングどれもコントロールしやすく調整されてているため、まったく不安なくコーナーに突っ込んで(!?)いくことができます。
さて、ここまでグランエースの驚きの走りについてお届けしてきましたが、グランエースの本来の目的である2列目、3列目の乗り心地もお知らせしていきましょう。
プレミアムグレードでは2列目と3列目に同じエグゼクティブパワーシートが搭載されていますが、特に3列目の乗り心地が秀逸なんです!
リアタイヤ上付近にある3列目のシートは、なんとなくバスの後方の席の揺れを想像するかもしれません。ところが、グランエースの3列目は快適そのもの。上下左右の揺れが2列目とほとんど変わりなく、車体後方だから跳ねてしまうことも、騒音が気になるということもありません。
むしろ、2列目よりも前方の席があることやフロントガラスからも遠く、またFR車両のため床面が高くなっていることで、低床なミニバンより室内高が短いことなども相まり、なんとなく落ち着ける“個室感”の雰囲気があり、ワゴンというよりセダンの後席に乗っているような錯覚を覚えます。
さらにうれしいのは、サイドガラスがルーフギリギリまで大きくとってあることと、ヒップポイントが高めの位置にあることで、サイドガラスの下端が肩よりも下にあります。そのため外の見晴らしがよく、海外のVIPが来日した際、日本の景観を十分に楽しんでもらえたり、開放感があることで窮屈さを感じさせることはありません。
あえていえば、荷室がすぐ後ろなため、荷物がガタガタしないように積んだり、巨大なリアドアが電動式ではないため静かに閉めるなど、荷物係さんの腕のみせどころかもしれません。
今回、8人乗りに試乗することはできませんでしたが、ベンチシートとなる4列目の乗り心地などは、機会があればお届けできればと思います。
グランエースは、上質なVIPの送迎車両という、新しいカテゴリーで生まれるクルマですが、トヨタ自動車のホームページにその世界観を凝縮したムービーも公開されているので、ぜひチェックしてみてください。
【グランエース】Tune You UP
記念すべき編集部試乗動画シリーズ(続くのか?)の第一弾が、グランエースという、かなりインパクトのある車種でしたが、今後も注目のクルマをユーザー目線でお届けできればと思っております。
執筆:山崎リク
[ガズー編集部]
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