トヨタ シエンタ クロスレビュー ~ 吉田 由美 ~

イメチェンしても人気者

「シエンタってこんなクルマだったっけ?」
これは、初めて新型シエンタを見た時の私の感想。おそらく私だけではなく、多くの人が、シエンタに「キッズやファミリーが似合う、優しいタイプのコンパクトミニバン」というイメージを抱いていたのではないでしょうか?
例えるならば、おっとりしたかわいらしい小動物系。それがすっかりイメージチェンジ! 本当にびっくりです。

丸形だったヘッドランプが三角形に変わったり、フロントもリヤも、ライトから下方向をぐるりと囲んだ“メガネチェーンスタイル”(?)になっていたり……。さらに、「フレックストーン」を選択してボディカラーに映える色をコーディネートすると、あら不思議。たちまちスポーツテイストに大変身。
コミュニケーションカラーにイエロー×ブルーといった、流行色を導入したのもポイントですね。この配色は旬な感じでおしゃれ感満点! トヨタとしては、「トレッキングシューズ」をイメージしたのだそうです。さらにテレビCMにサッカー界の大スター、ハメス・ロドリゲス選手を起用したということもあって、スポーティ路線まっしぐら、という感じですよね。

イエロー以外でもグリーンなどの元気な色もカワイイ。一方で、地味めな色を選べば、それほど奇抜に見えないから不思議。先代モデルに近いファミリー系にも見えたりして、色によって180度イメージが変わるのが、本当に面白いです。

室内はエクステリアに比べると、おとなしい感じ。ただ、シフトレバーに野球のボールをイメージさせるようなステッチが入っていたり、オレンジのラインがアクセントになっていたり、遊び心が感じられます。
一方で、メーターフードとダッシュパネルが高いため、シートの高さをしっかり調節しないと前方が見にくいうえに圧迫感が感じられるかもしれません。センターコンソールは高めで手前に突き出ているため、運転席の包まれ感が強い点も気になりました。

しかし2列目、3列目はさすがシエンタ。抜群の使い勝手。スライドドアを開けるとフラットなフロアが現れ、乗り降りは楽々。3列目シートにアクセスするために2列目を畳む作業も簡単です。シートの厚みがしっかりあるので、それほど軽々というわけにもいきませんが、レバー操作でワンタッチ、3列目から降りるときも、2列目シート脇のロープ(?)を引っ張るだけ。こういう工夫は、さすがですね。

新型は、ガソリンエンジン搭載モデルに加えてハイブリッドモデルもあります。燃費に優れているのはもちろん、45km/hまでならEV走行も可能。そんなこんなで、イメージチェンジしたシエンタも、やっぱり人気者になりそう……(笑)。

(文=吉田 ​由美)

吉田 由美(よしだ ゆみ)

クルマまわりのエトセトラについて、独自の視点で自動車雑誌を中心に、テレビ、ラジオ、ウェブ、女性誌など幅広く活動中。
3つのブログを展開し、中でも「なんちゃってセレブなカーライフ」は、一日約20万アクセスを誇る。2015-2016年 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

[ガズー編集部]