トヨタ アルファード(ハイブリッド車)試乗レポート
快適性と高級感で上を行くハイブリッド
ガソリン車の4気筒が2.4Lから2.5Lに換えられたのに伴い、ハイブリッドも新しいパワーユニットになった。19.4km/Lという驚異的な燃費を誇るハイブリッド版のアルファードに乗った。
ハイブリッド車も2.5Lベースの最新世代に
初代、2代目ともに歴代アルファードではモデルライフ途中に追加されてきたハイブリッド車だが、今回のアルファードでは初めてデビューの最初からラインナップされることになった。先代アルファード/ヴェルファイアでは、販売台数全体の約20%をハイブリッドが占めたという。
2.5Lガソリン車と同じく、ハイブリッドシステムもアルファードとしては新しいパワートレーンとなる。従来型が2.4Lベースだったのに対して、今回は当然のごとく、2.5Lベースの最新世代にチェンジした。
トータルでの体感的な動力性能は「2.5Lガソリン車と3.5Lガソリン車の中間」といった印象だ。新しい2.5Lガソリン車が先代の2.4Lより力強くなって、ハイブリッドとの動力性能差は先代より確実に縮小されたが、ハイブリッドも性能を増して、特に市街地での発進加速や追い越し加速などで、ハイブリッドならではのアドバンテージが明確にあるのもまた事実である。
パワートレーンが世代交代しても、動力用のニッケル水素バッテリーが左右フロントシートの間に置かれるのはこれまでと同様。ガソリン車の一部グレードとは違って、ハイブリッドの前席には、巨大なセンターコンソールが形成される。
市街地で際立つ静粛性
アルファードは「ライバルはもはやミニバンではなく、国内外の高級サルーン」とうたう。今回のモデルチェンジではインテリア各部が驚くほど高級になった。たとえば、上級グレードのセンターコンソールの左右エッジ部分には、職人技によるていねいな作りのレザーパッドがあしらわれている。
ミニバンとして純粋なスペース効率を考えれば、このハイブリッド特有のセンターコンソールはネガティブに捉えられることが多い。しかし、アルファードを高級サルーンとして見ると、このセンターコンソールが高級感表現の大きなハイライトでもあり、ラグジュアリーなドライバーズカーの雰囲気を醸し出すのにひと役買っているのが面白い。
アルファードHYBRIDの走りは、市街地で特に際立つ。エンジンが停止したまま走るシーンはこれまで以上に頻繁で、エンジンの停止や再始動の瞬間をほとんど意識せずに済むのがトヨタ式ハイブリッドの真骨頂。静粛性は2.5Lや3.5Lのガソリン車の比ではなく、電気動力を使うハイブリッドらしく、多くのケースでより少ないアクセルの踏み込み量で事足りるので、実質的にはさらに静かなクルマ……と実感するのだ。
“重さ”が生きる乗り心地
車重は大ざっぱにいって、2.5Lガソリン車比で200kgほど、3.5Lガソリン車比で100kgほど重い。高速コーナーや山道などハイスピード領域でその重さを意識させられるケースが確かにあるのだが、市街地や低速の都市高速では、この重さが乗り心地やフラット感に大きなメリットになっていることもまた事実。
そんなアルファードHYBRIDではグレードを問わずに快適性重視のサスチューンとなっており、標準状態ではガソリン車にある18インチを用意せずに、基本的に17インチをメインサイズにしている。市街地での乗り心地のよさには、このタイヤサイズの選択が効いていることも確かだろう。正直にいうと、休日にアウトドア趣味があり、荷物を満載して山道にガンガン走っていきたい……という向きなら、ガソリン車を選んだほうが重宝するシーンが多いだろう。
しかし、市街地がメイン、そして遠出も家族や仲間でワイワイと高速道路をゆったり……という用途なら、ハイブリッドにありがたみを感じるケースが多い。アルファードHYBRIDのフットワークチューンを体感すると、こうしたハイブリッドの特性を理解したプロの目利きに感心せざるを得ない。
極上の居心地を味わえるExecutive Lounge
現行モデルのアルファードで初登場した最上級のVIPサルーンとなるExecutive Loungeは3.5Lガソリン車とハイブリッドに用意されるが、こうした市街地でのマナーのよさや社会的に環境意識の高さをアピールできることなどから、Executive Loungeでは、ハイブリッドがメインとなることが予想される。
エグゼクティブラウンジシートの座り心地や機能は、航空機の下手なビジネスクラスシートより豪華であり、スペース的にはさらに優位。しかも、エグゼクティブラウンジシートは専用グレードでのみ入手可能な特別なシートということで、ドアトリムなどのシート以外の室内調度も専用なのだ。
現行モデルのアルファードでは2列目、3列目の乗り心地向上も顕著で、その極上の居心地が走りだしてもスポイルされないのが素晴らしい。
Executive Loungeの価格は、ハイブリッドで700万円オーバー。トヨタ屈指の高価格車でもあるが、だからこそ、これを所有するVIP感はたまらない。「いつかはExecutive Loungeに」と立身出世を夢見る若者も増えるだろう。
大いに迷う価格設定
従来の定番VIP用シートだったエグゼクティブパワーシートもラインナップに残されている。コストダウンの方策として仕様数やグレード数が削減されるパターンもめずらしくない昨今において、アルファード/ヴェルファイアはとにかく「あらゆるニーズと欲望」に応えてくれるのがスゴい。
4月から基準が変わったエコカー減税制度はこれまでより複雑なので一概にはいいにくいのだが、ハイブリッドの実質購入価格を2.5Lガソリン車と比較すると、4WD(ハイブリッドは全車E-Four)より60万円ほど、FFなら85万円ほど高い計算になる。この価格差をハイブリッドで節約できるガソリン代で取りかえすには、単純計算で10万km以上の走行距離が必要となる。
こうして書くと、一般的なパーソナル用途では2.5Lガソリン車のほうが得か……と考えそうになる。しかし、市街地での力強い走りや静粛性、あるいはキャンプなどで重宝する1500Wという大容量アクセサリー電源などのハイブリッド特有の満足感、そしてより有利になるであろうハイブリッドのリセールバリューまで考えると、そう簡単に結論はでない。購入をお考えの方にとっては、悩ましいところである。
[ガズー編集部]
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