【動画】フェラーリ328GTS 試乗インプレッション 試乗編
新旧さまざまなフェラーリを知る自動車ライター清水草一は、1980年代に生まれた「328GTS」こそ最高だと断言する。現代のフェラーリでは得られない、その走りの魅力とは?
現在私が愛車にしている、ブラックメタの「フェラーリ328GTS」は、1989年式。GTSはルーフを取り外してオープンにすることができるタイプで、通常のメタルトップを持つ「328GTB」に比べると、はるかに多くの台数が生産された。
当時のフェラーリは、アメリカが圧倒的な主力市場。現在でもそれは変わらない。だからフェラーリには、アメリカ人の好みがさりげなく反映されている。アメリカ人はオープンカーが大好きなのだ。
日本は雨が多いし、夏の日差しは猛烈すぎる。屋根を閉じた時のボディーラインの美しさも、メタルトップのほうが美しいし、ボディー剛性も高い。台数的にも希少なので、人気はGTBのほうが断然高く、相場も高い。
でも、生産から30年以上を経たいまになると、もはやボディー剛性などの性能はどうでもいい。ただ美しくて、エンジンが気持ちよければそれでいいんだよね。
雨の日は乗らないし、エアコンの効きが弱すぎるから夏も乗らない(断言)。フェラーリは、無理して乗るクルマじゃない。この328GTSで、気持ちのいい季節の、気持ちのいい時間帯にだけ、オープンにして1時間くらいドライブすれば、「この世にこれ以上のぜいたくがあるだろうか」なんて思うことができるんだ。
328に対しては、周囲の目も温かい。最新のフェラーリだと、「ケッ」という敵意を感じることが多いけれど、これくらい古くてかわいいフェラーリになると、道行く人々が、それこそ昔のアイドルを見るような、愛ある視線を向けてくれる。
実は私にとって、これは生涯4台目のフェラーリ328だ。いったいなぜ、同じモデルを4台も買ったのか。あまりにもヘンすぎる! おかしいんじゃないか? と思うだろうが、好きすぎるとそういうこともあるんだよね。自分にとってフェラーリ328は、永遠のアイドルなのだ。
(文:自動車ライター・清水草一)
[ガズー編集部]
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