【動画】日産キックス 試乗インプレッション 車両紹介編

日産が新たに発売したコンパクトSUV「キックス」とは、どんなクルマなのか? 動画の前編では、そのデザインやユーティリティーについてモータージャーナリストが解説する。

今回の試乗車である「キックス」が日本で発表されたのは2020年6月。入れ替わりに、それまでコンパクトSUVのカテゴリーを担当してきた「ジューク」の販売が終了した。この日産の判断に対し、賛否両論があったことは記憶に新しい。

でもグローバルな視点で見れば、今の日産のコンパクトSUVの主役はキックスである。

現行型のジュークは2019年に欧州5都市で同時に発表された。一方のキックスは2016年にブラジル・リオデジャネイロでデビューし、今回日本でも発売されたマイナーチェンジ版は、2020年にタイ・バンコクで公開された。ジュークは欧州、キックスは新興国で発表された点が違う。ここだけを取り上げ、「日本市場を新興国と同じ扱いにするのか」という不満も聞かれた。しかしキックスは、その後北米や中国でも販売されている。展開地域はこちらのほうが断然広い。

初代ジュークのデビューは2010年。そのころのSUV人気は今ほどではなかった。よって、SUVとコンパクトスポーツカーのクロスオーバーというコンセプトで個性をアピールした。しかしその後、SUV人気は急上昇。いまや主役的な位置付けになった。となると実用性や快適性も大事だ。それでも欧州はダイナミズムを重視する市場なのでジュークは残されたが、そのクーペのようなパッケージングはグローバルでは通用しにくい。

しかも日本は、その前からミニバンやハイトワゴンなど、空間効率にたけた車種が人気だった。日産がジュークではなくキックスをチョイスするのは当然と思える。

その開発の成果はしっかり出ている。運転席に座ると窓が大きく、キャビンがスクエアに近いので、見ただけでも取り回しがしやすそう。リアシートは身長170cmの自分なら足が組めるし、大きく開くドアのおかげで乗り降りもしやすい。

それでいてスタイリングにおいては、前後フェンダーの張り出し、前傾姿勢を強調するサイドのキャラクターライン、斜めの線を多用したリアビューなどにより、コンパクトSUVらしい元気さもうまく表現されている。

本音を言えば、トヨタがデザイン重視の「ヤリス クロス」と使い勝手重視の「ライズ」を併売しているように、「キックス」と「ジューク」をそろえたかったかもしれないが、どちらか1台となったらキックスという判断に、筆者は納得している。

(文:モータージャーナリスト・森口将之)

[ガズー編集部]

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