レクサスLX600 オンロードでの乗り心地は最高だった

優れた走行性能ゆえに、海外でも絶大な支持を受けているレクサスのフラッグシップSUV「LX」。その最新世代となる「LX600」の仕上がりはどうか? 寺田昌弘がオンロードでの走りについてリポートする。

誕生から四半世紀。レクサスLXは北米・中東を中心に、ユーザーの要望を反映しながら進化を続けています。

日本でよく比較されるのはメルセデス・ベンツの「Gクラス」やランドローバーの「レンジローバー」ですが、それぞれ進化の過程には違いがあります。いずれもラダーフレームを採用し、未舗装路での耐久性と走破性の観点から前後リジッドアクスルでしたが、LXは1998年にはいち早くフロント独立懸架とし、フラットダートでの操安性やオンロードでの乗り心地のよさを追求してきました。2007年に「LX570」へと進化したときには、車体がより強靱(きょうじん)になったことで車両重量が増え、いい意味ではゆったりした走りともいえましたが、発進加速やコーナリングの進入時のレスポンスが鈍いという印象もありました。

Gクラスは後にフロント独立懸架となり、レンジローバーはモノコック化され、悪路走破性はそのままに、オンロードでの乗り心地のよさを向上。LXもオンロードでの操安性、乗り心地のよさ、居心地のよさを一段と高める必要がありました。

今回、LXの最新型であるLX600に乗り込み、まずエンジン始動したときの静粛性の高さ、振動のなさには驚かされました。走りだすとその加速感は前モデルとは比較にならないくらい軽やかで、アクセル開度にリニアに反応するのがおもしろい。ラダーフレームでありながらステアリングの舵角に合わせてクイックに、ほとんどロールせずに曲がっていきます。AVS(Adaptive Variable Suspension system)と電動パワーステアリングなどの協調制御もすばらしい。

直線での段差では突き上げを感じられるものの、ざらざらした細かい路面の凹凸は見事に吸収され、静粛性も高い。モノコックのSUVと比較するのは無粋なこと。ラダーフレームでここまで走行性能を高めているのは、長年ラダーフレーム車で世界中を走ってきている私にとって驚きでした。

ドライビング以外で驚かされたのは、AHC(Active Height Control suspension)による車高調整のスピードが格段に速くなったこと。制御が格段に進化してオンロードでのドライバビリティーや快適性がアップしています。そしてLX600は、信頼性、耐久性、悪路走破性を同時に高めていることがすばらしい。あるテレビCMでビジネスマンがジャングルや砂漠の真ん中でひとりデスクワークをしているシーンを目にしたのですが、そこまで働きに出かけても、無事帰宅できるクルマがLX600なのだと確信しています。今度はぜひ、オフロードでその進化のほどを体感してみたいです。

(文:寺田昌弘)

[GAZOO編集部]

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