新型「DS 4」「快適を通り越して快感の域にある」驚くべき乗り味だ

洗練された内外装のデザインが目を引く新型「DS 4」は、運転しても驚かされる点が多い。同モデルならではの乗り味とはどのようなものか、モータージャーナリスト森口将之がリポートする。

DS 4のパワーユニットは、1.2リッター直列3気筒ガソリンターボと1.5リッター直列4気筒ディーゼルターボ、さらに1.6リッター4気筒ガソリンターボにモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドの3タイプがある。

グレード名がパリの地名に由来しているのはDSならではで、DS 4のガソリン車のみに設定される「トロカデロ」と、3つのパワーユニットが選べる「リヴォリ」がある。今回はリヴォリのガソリン車をドライブした。

全長4415mm、全幅1830mm、全高1495mmというサイズのボディーを、1.2リッター3気筒の小さなエンジンで満足に加速させられるのか、疑問を抱く人もいるだろう。でも、問題はない。それには、8段ATが“機を見るに敏”な変速をしてくれることが大きい。

プレミアムブランドなのに3気筒というのは、昔なら不釣り合いに感じたはず。でも、ブランドとして若いDSにはしっくりくる。電動化時代になってもパワーやスピードを意識しすぎる、旧来の価値観から抜け出せない老舗との意識の違いが感じられる。

足まわりに関するトピックは、「DS 7クロスバック」や「DS 9」に続いて、「DSアクティブスキャンサスペンション」が装備されていることだ。

これは運転支援システムに使うフロントガラスのカメラからの情報をもとに、4輪のショックアブソーバーの減衰力を電子制御するというもので、ドライブモードをコンフォートに切り替えると、周期の長い揺れがドライバーを包み込むようになる。

かつてシトロエンの「C6」や「C5」などに備わっていた「ハイドラクティブ」を思わせる、ゆったりした揺らぎ。それはもはや快適を通り越して、快感の域にある。この乗り心地だけでDS 4を選びたくなっても不思議ではない。

一方スポーツモードを選ぶと、たしかに乗り心地は硬めになるものの、身のこなしが格段にクイックになるわけでもない。でも、そういうスポーティーなクルマを望むならば、同じCセグメントであれば「プジョー308」を選べばいい。

そもそもデザインだって好き嫌いが分かれるものだし、八方美人を目指した結果、印象に残らない製品というのはクルマに限らずよくある話。DS 4に引かれてしまうのは、超然とした存在に憧れる気持ちゆえなのかもしれない。

(文:モータージャーナリスト・森口将之)

[GAZOO編集部]

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