「日産セレナ」走りの進化を竹岡 圭が運転席と後席からリポート

見るからに洗練された印象の、新型「日産セレナ」。その走りはどのように進化したのか、運転席と後席、それぞれの印象をモータージャーナリスト竹岡 圭がリポートする。

ミニバンにはどんな機能が必要なのか? どんな装備があるとうれしいのか? ライフスタイルや使い方によって人それぞれだとは思うのですが、個人的な見解を今回は書いてみようと思います。

まず必要な機能として絶対外せないのが「多人数乗り車であるからして、どの席でも快適に過ごせること」です。“運転席だけ楽しいミニバン”では、乗せてもらっている人たちがツライですからね。特に5ナンバーサイズだと、3列目は……って、スポイルされがちではありますが、だったら2列タイプのミニバンでいいわけで。セレナのように3列目がスライドするクルマって、今は本当に数が少なくなりましたが、荷物が積めるというのもミニバンの大切な機能ですから、こうした点でフレキシブルに調整できるのは、やっぱり利便性が高いと思います。

セレナの場合は、2列目シートが前後方向にも横方向にもスライドできて、さらにセンターコンソール兼2列目中央席は驚くほどのロングスライドが可能。フレキシブル性は、もうとんでもなく高いわけですが(笑)、2列目シートが中央にギュッと寄せられるというのは、例えば2列目に赤ちゃんを寝かせておいたまま3列目へのアクセスができるわけで、便利に使えるかもしれませんね。

続いて「あったらいいな~」の装備。これは、ガラスハッチを挙げておきましょう。例えば、駐車する際に後方ぎりぎり近くまで寄せてしまうと、バックドアが開かないなんてことよくありますよね。そんな時、ガラスハッチだけ開けられるのはやっぱり便利です。ちょっと荷物を取り出すなんていうことができますからね。今回のセレナは、ガラスハッチの開口部から手を伸ばせば荷室の床まで手が届くようになったので、一段と利便性は高まったと思います。

そして、ワンちゃんを飼っていらっしゃる方は、このガラスハッチがとても便利なんだそうです。バックドア自体を開けてしまうと、ワンちゃんは簡単に飛び出してしまいますが、ガラスハッチだけなら車内にとどまる子がほとんど。例えば、オートキャンプやBBQに出かけた時、道具等をしつらえる間、ガラスハッチだけ開けてワンちゃんに待っていてもらうと、安心していろんな作業ができますし、ワンちゃんも息苦しくもなければ寂しくもないですからね。

こういう細かい心配りが生きた利便性は、ミニバンのようなクルマでは意外と大切なポイントなんじゃないかな、と思います。

(文:モータージャーナリスト・竹岡 圭)

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