レクサスならではの良さを感じるレクサスRZ450e(森口将之)
「最もレクサスらしいレクサスは?」
こんな質問を投げかけられたとき、あなたはなんと答えるでしょうか。
このブランドの歴史を誕生当初から知っている人なら初代「LS」、つまり日本では初代「トヨタ・セルシオ」として販売されていたモデルを挙げる人が、それなりにいるのではないかと思っています。
1989年に登場した初代LSは、「メルセデス・ベンツSクラス」や「BMW 7シリーズ」などをライバル視して開発された、レクサスのフラッグシップでした。当然ながらライバルに比べるとブランドとしての歴史は浅いうえに、相手は速度無制限の区間を持つアウトバーンで鍛えられてきました。
となれば、高速性能では勝負してもかなわないことは容易に想像できます。そこで初代LSでは異なる価値観をアピールしてきました。
まずは静粛性。遮音材をおごったりすることよりも、エンジンやドライブトレインなど、各部が出す音を元からなくすという「源流主義」と名づけられた思想のおかげで、初代LSは驚くほど静かで滑らかなクルマになっていました。
もうひとつ、自動車のメーターといえばいかにも機械式なデザインが当たり前であるなかで、エンジンをかけると黒いメーターパネルに白い数字や目盛り、指針が浮かび上がる自発光式のオプティトロンメーターを採用したことも画期的でした。快適性や先進性という、当時の日本が得意としていた分野を積極的にアピールした、攻めのプレミアムブランドだったといえるのです。
しかしながら、まだ若かった当時の僕には、その良さがしっかり理解できなかったというのが、正直なところでした。当時すでに身を置いていた自動車ジャーナリズム業界もそうで、どうしても走りの評価を優先しがちで、高速時の安定性でドイツ車に及ばないなどのコメントが残されたと記憶しています。
それでも21世紀に入ると、レクサスはプリウスなどで実績を積んだハイブリッドシステムを投入していきます。これもまたプレミアムブランドでは画期的なことであり、持ち前の静かさや滑らかさは電動走行によってさらに際立っていました。
こうなると専用開発された電気自動車も見てみたい。そう考えたのは僕だけではないでしょう。本音を言えばハイブリッドのように、この分野でも欧州勢に先駆けてほしかったところではありますが、今回「RZ450e」をドライブして、レクサスならではの良さに対して抱いた気持ちは間違っていなかったと思いつつあります。
(文:モータージャーナリスト・森口将之)
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森口将之さんが解説するレクサスRZ450e“version L”の注目ポイント
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