レクサスRZ450eには日本の「おもてなし」が息づいている(森口将之)

  • レクサスRZ450e“version L”

僕は二輪車で路上デビューしたこともあり、最近まで何の疑いもなくアールゼットと、このクルマを呼んできました。でも、今回は動画撮影があるということで確認してみたところ、“アールズィー”が正式名称でした。アブナイアブナイ。

トヨタブランドの「bZ4X」も“ビーズィーフォーエックス”なので、開発陣の流儀なのかもしれないけれど、二輪の「RZ(アールゼット)」を生み出したメーカーであるヤマハは、エンジン開発などでレクサスやトヨタと関係があるので、配慮したのかもしれません。

それはともかく「RZ」、レクサス初の専用設計の電気自動車という成り立ちを裏切らない、レクサスらしさにあふれた一台になっていることに感心しました。

電気自動車なので静かでスムーズというのは当然と思うかもしれません。でも実際は、発進・停止の動作が唐突だったり、逆にタイムラグがあったりするクルマもあって、それ以外のシーンがスムーズであるだけに、余計に気になってしまうのです。

ところが「RZ450e」では、そういう不満を抱きません。DIRECT4(ダイレクトフォー)と呼ばれる2モーター4WDがきめ細かい制御をすることで、ショックやタイムラグを封じ込めていることもあるでしょう。日本ならではのおもてなしが、電子制御にまで息づいているわけですが、基本となるモーターやインバーターなどの制御が並だったら、こうはなりません。

僕は、初代「レクサスLS」が掲げた「源流主義」と、それによって実現した圧倒的に静かで滑らかな走りっぷりを思い出しました。

これに似た感触は、パワーウィンドウでも味わうことができます。閉まり切る直前に動きが緩やかになっていって、フワッと動作が完了するのです。こちらもまた、ドアの剛性やガラスの支持がしっかりしていないと、ものにできなかったでしょう。

世界で一番有名な日本の電動車両は、おそらく自動車メーカーがつくる電気自動車ではなく、新幹線でしょう。その新幹線、実は画期的な技術はあまり使われておらず、既存技術の磨き上げによって支えられています。しかも単に速いだけでなく、正確性や安全性も世界トップレベルです。

これが日本の良さなんだと、この国で長年暮らしているおかげで自分たちの良さをあまり理解していない僕は感じました。外野の挑発に乗ることなく、これからも日本は日本らしさを磨き上げていけば、振り向いてくれる人は少なからずいることを、レクサスRZ450eに乗って思い出したのでした。

(文:モータージャーナリスト・森口将之)

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森口将之さんが解説するレクサスRZ450e“version L”の注目ポイント

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