ホンダのものづくりの原点が込められたアコード
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ホンダ・アコードe:HEV
ホンダに関する昔の文献を読み返していて印象的だったのは、「1976年に誕生した『アコード』は、1972年に誕生して大ヒットモデルとなった『シビック』を卒業した人たちのために生まれたモデルだ」という一文でした。
それまで新型車開発の陣頭指揮をとり続けてきたホンダ創設者の“オヤジさん”こと本田宗一郎氏が、初代シビックの開発を若手エンジニアに委ね、見事成し遂げられたことで「安心して今後を任せられる」と引退を決意したとされていますから、それに続いたアコードも当時の新世代エンジニアたちが生み出したモデルということになります。
きっと、「オヤジさんをガッカリさせるようなクルマにだけはしないぞ!」という、エンジニアたちの意気込みと緊張感が開発現場にはあふれていたのではないかと想像できるのです。
その精神が40年以上たっても連綿と受け継がれていることを実感したのは、先代の10代目アコードのエンジニアにインタビューした時でした。「ホンダのものづくりの原点は『人の気持ちを研究すること』にあり、世界120の国と地域へ送り出すグローバルモデルへと成長したアコードでは、それらすべての人々が満足するクルマにする必要がある」「だからこそ数値ではなく感性での評価にこだわって、“クルマのあるべき姿”を追求するよう心がけた」という言葉が、心に響いたのを覚えています。
そして11代目となった新型アコードは、ゼロからつくり上げた先代のプラットフォームを受け継ぎつつ、「ダイレクトアクセル」や「リニアシフトコントロール」、「モーションマネジメントシステム」といった技術が注がれ、Honda SENSING 360やGoogleビルトインなど先進装備も搭載。さらに自信に満ちた走りと気持ちよさを実現するとともに、より大きな安心感が得られるよう磨き上げられていると感じました。
運転席に座っても後席に座っても、ホッと心が安らぐような居心地のよさがある。それでいて、操る楽しさと一体感に浸れる走りも忘れてはいない。大人っぽくエレガントなスタイルとも相まって、「セダンっていいものだな」と感じさせてくれる一台になっていると思います。
(文:カーライフ・ジャーナリスト・まるも亜希子)
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