【BMW 3シリーズ GT 試乗】本当は凄く使い勝手がいいんだけどなぁ…中村孝仁
2013年にラインナップに加わった『グランツーリスモ(GT)』なる名前を持つBMW『3シリーズ』。なだらかなスロープのファーストバックスタイルと、大きな開口部を持つテールゲートを特徴とする。
実はこのクルマ、昨年10月に販売が開始されたモデルであるにもかかわらず、ネット上でもほとんど話題になることがなかった。やはりBMW3シリーズというと、どうしてもセダンであったり、あるいはディーゼルの話題が先行するようだが、この昨年10月にデビューした3シリーズは、新たなB48という呼称を持つ新エンジンが搭載されているのだ。
いわゆるモジュラーエンジンと言われるこのエンジンは3気筒も6気筒も存在し、いずれの場合も気筒当たりの排気量が500ccで、ボア、ストロークも共通。つまり、今の技術で行けば同じ生産ラインで生産できるということで、コストを大きく削減できるもの。だから、排気量換算も簡単で、3気筒なら1500cc、4気筒なら2000cc、6気筒なら3000ccと言いうことになり、まあ、ボア×ストロークが82.0×94.6mmだから正確に2000ccとはいかず、1998ccとなるが、要するに新世代エンジンに切り替わったということである。
最近はプラットフォームもモジュラー化されて益々共用範囲が進んでいる。では一体ユーザー側が享受できるメリットは何かと問われると、これが今のところ少々希薄なことが残念であるが、少なくとも環境性能や燃費性能は先代エンジンよりも向上している。ただし性能は184ps、270Nmで変化はない。
メーカーのPR文句をそのまま引用するならば、「クーペのようにエレガントでダイナミックなフォルムでありながら、快適で広々とした室内空間と機能的で実用性に優れたラゲッジ・スペースを兼ね備えた全く新しいコンセプトのモデル」ということなのだが、そのクーペのようなデザインはともかくとして、少なくとも機能性、使い勝手に関してはセダンの3シリーズよりも確実にこちらの方が上だ。
室内はとにかく広い。そもそもボディもセダンと比べるとかなり大きめで、どのくらい違うかというと、3サイズがセダンの4645×1800×1440mmに対して、GTは4825×1830×1510mm。そしてホイールベースはセダンの2810mmに対して2920mm。だから室内空間に大きなゆとりがあるのは容易に想像が付くと思う。
ラゲッジ容量だって、セダンのトランクは480リットルであるのに対し、GTの場合通常で520リットル、シートを倒せば1600リットルに拡大させることが出来る。というわけで、ほぼサイズ的には3シリーズ以上『5シリーズ』未満というところに落ち着く。
だから、5シリーズほどのサイズはいらないけれど、3シリーズよりもっと使い勝手の良いクルマをとなると、このGTが俄然脚光を浴びるということになる。余談ながらワゴンの3シリーズツーリングは、基本的にセダンと同じサイズ感を持っているから、このGTと比較した場合ラゲッジの容量などは負けてしまうのである。
新しいエンジンのフィールはどうか。性能的には全く同じだし、大きな違いはないように感じるが、旧型となったN20よりもよりロングストローク化されたエンジンとなっているから、日常使用では中速トルクを出しやすい設計で、回転で稼いでいくタイプではない。とは言うものの、スポーティーさが損なわれているかというとそんなことは微塵も感じなかった。運動性能だってGTを名乗るだけのことはある。相変わらず8速ATとの相性も優れ、1台でこなすには理想形のような気がするのだが、巷を見渡してもGTに遭遇する確率はセダンと比べて圧倒的に低い。ちょっと残念な感じだ。
■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
(レスポンス 中村 孝仁)
実はこのクルマ、昨年10月に販売が開始されたモデルであるにもかかわらず、ネット上でもほとんど話題になることがなかった。やはりBMW3シリーズというと、どうしてもセダンであったり、あるいはディーゼルの話題が先行するようだが、この昨年10月にデビューした3シリーズは、新たなB48という呼称を持つ新エンジンが搭載されているのだ。
いわゆるモジュラーエンジンと言われるこのエンジンは3気筒も6気筒も存在し、いずれの場合も気筒当たりの排気量が500ccで、ボア、ストロークも共通。つまり、今の技術で行けば同じ生産ラインで生産できるということで、コストを大きく削減できるもの。だから、排気量換算も簡単で、3気筒なら1500cc、4気筒なら2000cc、6気筒なら3000ccと言いうことになり、まあ、ボア×ストロークが82.0×94.6mmだから正確に2000ccとはいかず、1998ccとなるが、要するに新世代エンジンに切り替わったということである。
最近はプラットフォームもモジュラー化されて益々共用範囲が進んでいる。では一体ユーザー側が享受できるメリットは何かと問われると、これが今のところ少々希薄なことが残念であるが、少なくとも環境性能や燃費性能は先代エンジンよりも向上している。ただし性能は184ps、270Nmで変化はない。
メーカーのPR文句をそのまま引用するならば、「クーペのようにエレガントでダイナミックなフォルムでありながら、快適で広々とした室内空間と機能的で実用性に優れたラゲッジ・スペースを兼ね備えた全く新しいコンセプトのモデル」ということなのだが、そのクーペのようなデザインはともかくとして、少なくとも機能性、使い勝手に関してはセダンの3シリーズよりも確実にこちらの方が上だ。
室内はとにかく広い。そもそもボディもセダンと比べるとかなり大きめで、どのくらい違うかというと、3サイズがセダンの4645×1800×1440mmに対して、GTは4825×1830×1510mm。そしてホイールベースはセダンの2810mmに対して2920mm。だから室内空間に大きなゆとりがあるのは容易に想像が付くと思う。
ラゲッジ容量だって、セダンのトランクは480リットルであるのに対し、GTの場合通常で520リットル、シートを倒せば1600リットルに拡大させることが出来る。というわけで、ほぼサイズ的には3シリーズ以上『5シリーズ』未満というところに落ち着く。
だから、5シリーズほどのサイズはいらないけれど、3シリーズよりもっと使い勝手の良いクルマをとなると、このGTが俄然脚光を浴びるということになる。余談ながらワゴンの3シリーズツーリングは、基本的にセダンと同じサイズ感を持っているから、このGTと比較した場合ラゲッジの容量などは負けてしまうのである。
新しいエンジンのフィールはどうか。性能的には全く同じだし、大きな違いはないように感じるが、旧型となったN20よりもよりロングストローク化されたエンジンとなっているから、日常使用では中速トルクを出しやすい設計で、回転で稼いでいくタイプではない。とは言うものの、スポーティーさが損なわれているかというとそんなことは微塵も感じなかった。運動性能だってGTを名乗るだけのことはある。相変わらず8速ATとの相性も優れ、1台でこなすには理想形のような気がするのだが、巷を見渡してもGTに遭遇する確率はセダンと比べて圧倒的に低い。ちょっと残念な感じだ。
■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
(レスポンス 中村 孝仁)
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