【トヨタ カムリ 試乗】トヨタ車とは思えない、コクのある個性派ぶり…島崎七生人
時代の空気がそうなのか、レポーターもこの春、レクサス『LC』に試乗した際、新型『カムリ』のCMのように“自分にとっての思い出のクルマ”に思いを巡らせていた。もう1度乗りたいあのクルマ、あのクルマの再来のようなこのクルマ…といった風に。
“セダンを再定義”のコピーは、おそらく「いやいやセダンは変わらずずっと私のスタンダードだから」とベテランのクルマ通に言わせるためのフックだったのだろう。それと輸入車に行ってしまったユーザーを呼び戻すためにも。そういう意気込みはヒシヒシと感じるし、実際のクルマの出来も、そうした任務に見合う仕上がりだ…と感じた。
すでに街中でオーナーカーが目の前を横切るのを見かけたが、“スティールブロンドメタリック”の珍しいボディ色だったこともあり、非常に存在感があった。フロントはもちろんだが、リヤクォーターからリヤエンドにかけての形は独特で、車名が思い出せないがかつてルノーかどこかの上級セダン(5ドアだったか?)に趣の似たクルマがあったが、失礼ながらこれまでの感覚からすればとてもトヨタ車とは思えない、コクのある個性派ぶりだ。走る姿は実に妖艶で目を惹く。
インテリアも、いかにも既成概念にとらわれないデザイン。ここでもかなり個性的なデザインが与えられるも、各部の上質さと雰囲気で新時代のクルマ感を味わわせ、気持ちを引き込む。『カムリ』らしいのは後席が広大といえる広さをもつことで、寝過ぎていない背もたれによって、身体の収まりのいい、快適な着座姿勢がとれる。トランク容量もメカニズムの犠牲になっておらず、車格に見合って、たっぷりと荷物が積み込める。
走りも納得がいく仕上がり。とくに17インチタイヤが標準装着の「G」グレードは、快適なフラットライドを実現させつつ全体としてゆったりとした、クルマのイメージに合った乗り味に設えてある(SPORTモードはステアリングフィール等、心地よく引き締まる)。4気筒の2.5リットルエンジンがベースのハイブリッドシステムは1570kgの車重に対して十二分といえる性能を発揮してくれ、上級・上質な味わいだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
(レスポンス 島崎七生人)
“セダンを再定義”のコピーは、おそらく「いやいやセダンは変わらずずっと私のスタンダードだから」とベテランのクルマ通に言わせるためのフックだったのだろう。それと輸入車に行ってしまったユーザーを呼び戻すためにも。そういう意気込みはヒシヒシと感じるし、実際のクルマの出来も、そうした任務に見合う仕上がりだ…と感じた。
すでに街中でオーナーカーが目の前を横切るのを見かけたが、“スティールブロンドメタリック”の珍しいボディ色だったこともあり、非常に存在感があった。フロントはもちろんだが、リヤクォーターからリヤエンドにかけての形は独特で、車名が思い出せないがかつてルノーかどこかの上級セダン(5ドアだったか?)に趣の似たクルマがあったが、失礼ながらこれまでの感覚からすればとてもトヨタ車とは思えない、コクのある個性派ぶりだ。走る姿は実に妖艶で目を惹く。
インテリアも、いかにも既成概念にとらわれないデザイン。ここでもかなり個性的なデザインが与えられるも、各部の上質さと雰囲気で新時代のクルマ感を味わわせ、気持ちを引き込む。『カムリ』らしいのは後席が広大といえる広さをもつことで、寝過ぎていない背もたれによって、身体の収まりのいい、快適な着座姿勢がとれる。トランク容量もメカニズムの犠牲になっておらず、車格に見合って、たっぷりと荷物が積み込める。
走りも納得がいく仕上がり。とくに17インチタイヤが標準装着の「G」グレードは、快適なフラットライドを実現させつつ全体としてゆったりとした、クルマのイメージに合った乗り味に設えてある(SPORTモードはステアリングフィール等、心地よく引き締まる)。4気筒の2.5リットルエンジンがベースのハイブリッドシステムは1570kgの車重に対して十二分といえる性能を発揮してくれ、上級・上質な味わいだ。
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島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
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(レスポンス 島崎七生人)
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